【ドラムMIX】EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法
- 2024.07.21
- 2024.12.02
- ミキシングのコツ
今回は、Kohlekeller Studioが解説する「太くてパンチのあるスネアを作る方法」をまとめました。
そんなとき、実はEQ1つだけで問題を解決できるということをご存知ですか?
ミックスをしている全ての方におすすめのテクニックですので、ぜひお試しください。
※動画内ではロック・メタルドラムを取り扱っていますが、内容を理解すれば他のジャンルのスネアにも応用できます
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なぜスネアの音にこだわる必要があるのか?
ドラムセットにはスネアだけでなく、キックやハイハット、タムなどの楽器があります。
しかし、この中でも特にドラムのキャラクター性を決めるほど重要なのは、スネアです。
キックはスネアほど音の種類が少なく、大きな変更も加えにくい楽器です。
対してスネアは、高い音・低い音・乾いた音・響きを多く含んだ音など、さまざまな音色があります。
そのため、今回ご紹介するようなスネアに関するテクニックを知ることは非常に重要なのです。
ミックス前の音を聞いてみよう
それではまず、ミックス前のスネアの音を聞いてみましょう↓(1:57~2:04)
これはスネアの中でも非常に有名な「Ludwig Black Beauty(14” x 5.5”)」というスネアです。
このままの音でも十分良いのですが、少しボワっとしているところが気になります。
また、もう少しアタックがクリアになり、さらにパンチが欲しいなと思うので、ここから処理していきましょう。
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EQのスペクトラムで音の状態を確認
まずはEQを使って、音の状態を確認します。
Fabfilter社「Pro-Q3」のようにスペクトラムが確認できるEQを使うと、今の音がどのような状態で、これから何をすればいいのかがわかりやすいので、とてもおすすめです。
Pro-Q3では、グラフの白(グレー)の部分にカーソルを当てたまましばらくすると、以下のようによりわかりやすくスペクトラムが表示されます。
このスペクトラムで言うと、少し左側の100~200Hzはスネアにとって「メインのパンチ」となる周波数です。
少し右側の2kHz~5kHz付近は、スネアの「アタック」がある周波数です。
この2つの間の画面中央部分の400hz~900hz部分は、「木製独特の鳴りや部品の響き」がある周波数です。
そこから少し上の1kHz~1.5kHzは、「ローファイ(LoFi)」を感じさせるような周波数です。
今回はパンチを出したいので、「100~200Hz」だけを処理していきます。
「この音域だけ処理するの?」と思うかもしれませんが、実はここを処理するだけでも劇的な変化が見込めます。
パンチを出す(100~200Hz)
スペクトラムを見ると、パンチに関する周波数である100~200Hz付近では194Hzが一番大きく出ていました。
つまり、このスネアにとって根幹となる部分=パンチを出している部分は「194Hz」ということになります。
ここをブーストすればよりパンチが出ますので、EQで上げてみましょう。
それより上の周波数(200~400Hz)は?
この194Hzの少し上にも、山がいくつかできています。
455Hzや、194hzと455Hzの間の部分です。
この部分は、メインのパンチ(100~200Hz)部分の倍音成分や、スネアのシェル・ヘッドが独自に持つ周波数であることがあります。
しかし、ロックやメタルの場合はこの周波数帯域がメインのパンチ(100~200Hz)を邪魔してしまうことがあるため、注意が必要です。
試しに、この小さい山になっている部分をブーストして聞いてみましょう↓(5:25~5:33)
194Hzの山の隣にある292Hzの山をブーストしてみると、ヘッドから出る音が変に強調され、音がこもってしまいました。
逆に減らしてみると、音にパンチはありつつも、すっきりして聞こえるようになりました。
では次に、455Hzの左隣にある小さい山(368Hz)をブーストしてみましょう↓(5:59~6:08)
こちらも大きくブーストすると、シェルの響きが強調されすぎてしまいました。
そのため、少しだけ減らしてちょうど良い響きにしていきます。
それでは、このEQをONにしたときとOFFにしたときで聞き比べてみましょう↓(6:29~6:41)
198~455Hz付近を少し処理しただけで、これだけ大きな差を出すことができました。
ただパンチを出すことができただけでなく、音が全体的に非常にすっきりしてクリアになっています。
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極端にEQをした例
ちなみに、先ほどのEQをさらに極端にブースト・削った例がこちらです。
メインのパンチの周波数より少し上の周波数は、メインのパンチを邪魔してしまうことになりますので、メインのパンチの音量によってそれより上の周波数も対処が必要です。
場合によっては、このような大幅なEQもアリでしょう。
ローカット(100Hz以下)
最初にご説明を飛ばしてしまいましたが、スネアには不要な低域も含まれています。
先ほどの100~200Hz(メインのパンチ)よりも下の音域です。
スペクトラムを見てみるとここにも音の成分があることがわかりますが、スネアにとって不要な場合はカットします。
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EQだけを使って太くてパンチのあるスネアを作る方法まとめ
今回はロックやメタルドラムに使うようなスネアの音で解説しましたが、もちろん他のジャンルや音色のスネアでも応用が可能です。
上手にスネアの音色をコントロールして、よいミックスができるといいですね。
当サイトでは他にも「ドラムのMIXテクニック」についての解説記事を掲載していますので、ぜひこちらもご覧ください↓
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