今回は、Fabfilterが解説する「ドラムミックスに使えるサイドチェインのコツ」をまとめました。
例えばドラムBus(ドラム全体をまとめたグループ)をミックスするとき、「スネアの高音域を足したいけど、シンバルとハイハットの高音域は足したくない」というシーンがあるでしょう。
そんなときFabfilter社のPro-MBを使えば、スネアの高音域だけをブーストして上手にミックスすることができます!
とても簡単な方法ですので、ぜひお試しください。
ドラムBusでスネアの高音域だけをブーストする手順
今回は、ドラムBusのミックスにおいて「スネアの高音域をブーストして音を明るくしたいが、シンバルやハイハットの高音域はブーストしたくない」という時の例をご紹介します。
1.Fabfilter「Pro-MB」をドラムBusに追加し、High Shelfのバンドを1つ追加する

2.追加したバンドを「EXPANDモード」「FREEモード」に設定する

EXPANDモードに設定するには、パラメーター欄の左下にある「COMPRESS」の隣にある「EXPAND」をクリックします。
EXPANDに設定すると、コンプレッサーではなくエキスパンダーの機能に切り替わります。
コンプレッサーとエキスパンダーの違いについてはこちらの記事で解説しています🔻
FREEモードに設定するには、パラメーター欄の右端にある「EXPERT >>」ボタンをクリックしてメニューを拡大させ、一番上の「Band」の右隣にある「Free」をクリックします。
BANDモードとFREEモードの違い
BANDモードは、いま使っているBandの範囲内で鳴っている音を基準としてサイドチェインを行います。
(例えばBandが2000Hz以上の高音域を選択している場合は、サイドチェイン元の音のうち2000Hz以上の音の音量に応じてサイドチェインがかかります)
対してFREEモードでは、Bandの範囲ではなく自分で設定した範囲の周波数帯域を基準としてサイドチェインを行います。
なぜBANDモードからFREEモードに切り替える?
FREEモードでは「コンプレッサー(エキスパンダー)をどれだけかけるかどうか」の基準となる周波数帯域を自由に決めることができます。
例えば今回のようにドラムBusに対してPro-MBをEXPANDモードにして使うとき、高音域にはスネアの高音域だけでなく、シンバルやハイハットなどの高音域も含まれています。
つまり、BANDモードにして「高音域が増えたときに高音域をブーストする」にしてしまうと、「スネアもシンバル・ハイハットも両方鳴っているとき」「スネアだけが鳴っているとき」だけでなく「スネアは鳴っていないが、シンバルやハイハットが鳴ったとき」にも高音域をブーストしてしまうことになります。
そのため高音域に対してPro-MBを使う場合であっても、基準にするのは中低音域(=スネアの基音となる音)にした方がよい時があります。
シンバルやハイハットには中低音域が含まれていないことが多いので、「スネアが鳴ったとき」をピンポイントで狙いやすいからです。

例えば上記画像のように、基音となる中低音域の部分だけを範囲指定(ピンクのバー)すると、この指定範囲の周波数帯域の音量が上がったときに、高音域(ピンクのバンド)にサイドチェインがかかります。
今回はドラムBusに対してPro-MBを使っている+EXPANDモードにしているので、「スネアが鳴った瞬間だけ高音域がブーストされる」という設定になります。
Lookaheadを増やしてより早く反応する
Pro-MBのように、コンプレッサーには「Lookahead」というパラメーターがついていることがあります。
これは「音の出始めをどれだけ早く検知するか」というパラメーターです。
特に中低音域は少し遅く聞こえることが多いので、今回のようにスネアの中低音域を基準にしてPro-MBを使いたい場合は、Pro-MBの動作も少し遅くなることがあります。
そのためLookaheadのパラメーターを少し増やすことにより、少し早めにPro-MBを動作させることができます。
それでは、一連の流れを確認しながら、最終的な音も聞いてみましょう。
以上で解説は終了です。
当サイトではPro-MBを効果的に使いこなす方法についてもまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓