ミキシングのコツ

【DTMバンドMIX】メタルギターの音作りのコツ 後編

今回は、Wage Warの楽曲「Stitch」のミキシングを担当した Andrew Wadeが教える「メタルギターの音作りのコツ」をまとめました。

THE ACTUAL SECRET TO METAL GUITAR TONE w/ Wage War & Andrew Wade

ギターについてレコーディング時とレコーディング後(ミキシング)の両方で使える考え方やテクニックが満載ですので、ぜひご活用ください。

この記事で解説する楽曲はWage Warの「Stitch」です↓

Wage War - Stitch (Official Music Video)

はじめに

今回Andrewが教えるテクニックは、大きく分けて2つのトピックに分けられます。

・レコーディング時のギターの音作り(プラグイン、ピック選びなど)
・ミキシング時のギターの音作り(EQ、Imagerなど)

この記事では後編として、「ミキシング時のギターの音作り」に関する部分をまとめています。

前編はこちら↓

1つ1つのトピックだけ見ても非常に勉強になりますので、ぜひ目次から気になるトピックを選んでみてください。
(前述「はじめに」の前にあります)

EQで中高音域をたった2dBブーストするだけで大きな変化

ギターにはWaves社「SSL EQ」を使い、中高音域(緑のツマミ)を少しブーストしています。

THE ACTUAL SECRET TO METAL GUITAR TONE w/ Wage War & Andrew Wade

2dB程度しか上げていませんが、バイパス時と聞き比べると、その変化の大きさがわかります。

バイパス時よりもギターがより前に聞こえるようになります。

THE ACTUAL SECRET TO METAL GUITAR TONE w/ Wage War & Andrew Wade

Waves社のSSL系プラグインは「SSL 4000 Collection」でお得に購入できます↓

Ozone Imagerで音に広がりを加える

次はギターをより広げるために、iZotope社の「Ozone Imager」を使っています。

僕が使っているのはOzone6なので少し古いですが、中音域(グラフ上の青と黄色部分)を広げるために使っています。

他のImager系プラグインだと、音を広げた時に変な音になることがあります。

このOzone Imagerなら広げたい帯域を限定して使えるため、とても便利です。

THE ACTUAL SECRET TO METAL GUITAR TONE w/ Wage War & Andrew Wade

聞き比べて違いを感じていただけたら嬉しいのですが、狭い空間の中で耳の近くにいるようなギターが、より広い空間に存在しているかのような広がりを出せています。

広がりは出しつつも、ギターは遠くににいるのではなく、しっかりと前にいるように聞かせられています。

ほんの少しの違いですが、これによりサウンドがよりビッグに聞こえるようになります。

Ozone Imagerのみであれば、コチラから無料でダウンロードできます

「Ozone」シリーズであれば、Imagerを含むプラグイン・機能がたくさん同梱されています↓

上級者向け「Ozone Advanced」の購入はコチラ
中級者向け「Ozone Standard」の購入はコチラ
初心者向け「Ozone Element」の購入はコチラ

EQで中低音域をたった1dBブーストするだけで大きな変化が出せる

Ozone Imagerのあとにもう一度SSL EQを使っていますが、こちらは中低音域を1dB程度ブーストしています。

このセクションのようなギュンギュンするようなプレイを、もう一押しするような役割です。

THE ACTUAL SECRET TO METAL GUITAR TONE w/ Wage War & Andrew Wade

Waves社のSSL EQは、特に今回のような中低音域に関して言うと、うまく言えないのですが「すごくSSLらしい音」がします。

「ある特定の周波数が足される」というよりも、「音が前に出る」というイメージでしょうか。

今回のように中低音域をたった1dBブーストしただけで、とても力強さが増しています。

EQ(EQ III)で重みのあるフレーズに

次はPro Tools付属の「EQ III」で、特定の帯域を削ったりブーストしています。

THE ACTUAL SECRET TO METAL GUITAR TONE w/ Wage War & Andrew Wade

2khz付近は3dB程度上げて、ギターの存在感を足しています。

THE ACTUAL SECRET TO METAL GUITAR TONE w/ Wage War & Andrew Wade

150hz付近も3dB程度上げて、特にこのような重みのあるフレーズに適したサウンドにしています。

THE ACTUAL SECRET TO METAL GUITAR TONE w/ Wage War & Andrew Wade

このようなスタイルでバンドがあるEQの場合は、一度思い切って値を増やす・減らしてから、ちょうどいいところまで値を変えていくとよいでしょう。

試しに、中低音域でこれをやってみます。

THE ACTUAL SECRET TO METAL GUITAR TONE w/ Wage War & Andrew Wade

中音域は、ボーカルに場所を空けるために少し減らします。

THE ACTUAL SECRET TO METAL GUITAR TONE w/ Wage War & Andrew Wade

Waves社「Trans-X Wide」でギターの1音目だけにアタックをつける

最後に使っているのは、Waves社「Trans-X Wide」です。

フレーズのはじまり部分だけにアタック感を加えることができるため、弦を弾いた時に毎回この影響を受けなくなります。

言葉で言うと、「ラララララ」が「ガララララ」になるようなイメージです。

THE ACTUAL SECRET TO METAL GUITAR TONE w/ Wage War & Andrew Wade

ずっと同じような発音に聞こえるとおもしろくないので、発音に変化を加えたい時にも使えますし、このようなフレーズになったときに楽器全体で一気にアタック感を出したい時にも使えます。

このようなリズムギターには非常に使えるプラグインです。

「Trans-X Wide」はWavesの人気バンドルのうち「Diamond」に同梱されています(単体で購入するよりもバンドルで購入した方がお得です)↓


以上で解説は終了です。

当サイトでは他にもバンドサウンドに関するテクニックをご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓


人気記事

1

この記事では、ヒット曲を作曲するための方法を解説した記事をまとめています。作曲・編曲・ミキシング・マスタリングなど、音楽制作の工程ごとに分けてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

2

今回は、Doctor Mixが解説する「歴代のシンセサイザーTOP10」をご紹介します。みなさんがよく耳にする「あの音」は、実はこれらのシンセサイザーの音かも…!?「聞いたことある!」「あの音って、このシンセの音だったんだ!」と驚くこと間違いなしです!

3

CメジャーキーとAマイナーキーって、どう違うの? 聞き分け方はある? 今回はこのような疑問にお答えする内容です。 https://www.youtube.com/watch?v=lPDVo-7Ua28 ...

4

今回はバークリー音大卒業生のBasiaによる「バークリーQ&A バークリーに行く前に知っておくべきこと」をまとめました。Basiaはバークリー音大の作曲専攻を卒業しており、現在はシンガーソングライターとして活動しています。そんな彼女が、バークリー音大に憧れている人や受験を真剣に考えている人のために15の質問に答えます。

5

今回は、オーディオエンジニアのSean Divineが教える「複数楽曲のLUFS(ラウドネス)を統一する方法」をまとめました。曲のアルバムには複数の楽曲が入っており、「1曲目から最後の曲まで通して聴く」というリスナーもいます。そんなリスナーのために、LUFS(ラウドネス)を統一する方法をご紹介します。

ミクソリディアンモードを使ったゲーム音楽 6

今回は、8-bit Music Theoryが解説する「ミクソリディアンモードを使ったゲーム音楽」をまとめました。ゼルダ、FF、ポケモン、マリオなど、ゲーム音楽にはミクソリディアンモードを使った楽曲が数多くあります。「モードを使った作曲にチャレンジしたい!」という方には必見の内容です!

大きいスピーカーを買った方がいいミックスができるのか?おすすめのスピーカーは? 7

今回は「大きいスピーカーを買えばいいミックスができるのか?」をまとめました。一般家庭の部屋に置くには大きすぎるサイズのものもありますが、プロになるのであれば大きいスピーカーを買わなければならないのでしょうか?言い換えれば、大きいスピーカーを買えば、いいミックスやマスタリングができるようになるのでしょうか?

8

今回は、人気音楽プロデューサーのVirtual Riotが解説する「Serum 2の全新機能の解説」をまとめました。Xfer Records社「Serum2」で新しく追加されたプリセットの制作にも携わったVirtual Riotが、新機能17項目を徹底解説します。

9

今回は「カリッとしたボーカルにするためのMIXテクニック」をまとめました。全部で9個あり、組み合わせて使うことで非常に魅力的な音にすることもできます。初心者の方から上級者の方までお試しいただける内容ですので、ぜひご覧ください。

クロマティック・ミディアント(Chromatic Mediant)とは 10

今回は、イギリスの作曲家・Guy Michaelmoreが教える「クロマティック・ミディアント(Chromatic Mediant)とは?」をまとめました。映画音楽界で活躍する本人が、映画音楽でよく使われるクロマティック・ミディアントについて解説します!

-ミキシングのコツ