今回は、音楽プロデューサーのOceanが教える「Cash CobainのようなSexy Drillの作り方」をまとめました。
Sexy Drillとはヒップホップの派生ジャンルで、名前の通りセクシーでメロディアスな雰囲気がありながら、Drillらしいビートの力強さもあります。
特にラブソングにはぴったりの雰囲気です
有名なアーティストとしては、Cash CobainやJordan Jordan Adetunjiなどが挙げられます。
この記事では、そんなSexy Drillの作り方を解説していきます。
Sexy Drillの作り方1.BPMの設定

Sexy DrillはBPM140以上で作られることが多いです。
今回はBPM160に設定します。
Sexy Drillの作り方2.やわらかい音でコード進行を作る
Sexy Drillはやわらかい音でメロディアスなフレーズを演奏することが多いです。
そのため、まずはじめにやわらかい音が出るキーボードやシンセサイザーの音を探します。
今回はArturia社「ANALOG LAB PRO」にあるキーボードの音を使います。
この解説で使った音源のリンクは、記事の最後にまとめて掲載します
コード進行は、使用しているMIDIキーボード(Novation Launchkey)を使って作ります。
また、キーボードの音に低音域や高音域が多く含まれているので、EQでカットします。

Sexy Drillの作り方3.リバーブで水のようなサウンドにする
先ほど作ったやわらかいキーボードに、リバーブを加えて水の中にいるような雰囲気を作ります。
今回はujam社「FINISHER FLUX」を使います。
Sexy Drillの作り方4.リード(メロディー)を作る
次はメロディーを演奏するリード(Lead)を加えます。
今回ははっきりとした音ではなく、パッド(Pad)に近いようなやわらかいサウンドを使います。
音を伸ばすときは、使う音程によって雰囲気が少し異なります。
例えば今回はDマイナースケールなので、Dがルート音、Fが3rd、Aが5thの音になります。
このとき、ルート音をずっと伸ばすのと、3rdや5thの音をずっと伸ばすのとでは、雰囲気が少し変わります。
ルート音:落ち着きがあり、安定している雰囲気
3rd:ルート音よりも少し不安定な雰囲気
5th:少しキツく、緊張感がある雰囲気
自分が出したい雰囲気に合わせて、リードで使う音を変えてみましょう。
とても長いリバーブでドローンサウンドを作る
1つの音を長く伸ばすときに使えるのが、とても長いリバーブです。
例えばストリングスで1つの音をずっと伸ばすとき、とても長いリバーブを同時にかけると、怪しい雰囲気のあるサウンドにすることができます。
Sexy Drillの作り方5.ボーカルチョップを作る
メロディアスな要素として、ボーカルチョップも追加します。
ボーカルチョップの作り方
- ボーカルの素材をサンプラーに取り込み、MIDIで演奏する
- ボーカルチョップをバウンスする
- リバーブやディレイ、EQなど、好きなエフェクトを加える

EQで中音域以上をカットすると、メインボーカルを邪魔しないサウンドにすることができます。
Sexy Drillの作り方5.ハイハット・パーカッションを作る
次はハイハットとパーカッションを打ち込みます。
Drill系のサンプルパックがあれば、そこから好きな音を選びましょう。

ハイハットは、4小節目に少し変化を加えるために、4小節目だけに音を打ち込んだトラックも用意します。
このトラックはPanを+15だけズラして、音量も少しだけ減らして、程よい変化を加えます。
またスナップ(Snap)やパーカッションも加え、リバーブを少し加えます。
あまり音を足しすぎるとSexy Drill特有のムードがなくなってしまうので、あくまでも自分が出したいグルーヴ感を出すために要素を追加するのがコツです。
Sexy Drillの作り方6.ベースを作る
次は、Sexy Drillで最も重要な要素の1つであるベースを加えます。
このようなジャンルでは808系のベースが使われることが多いですが、今回はサブベースを使います。

ここではArturia社「ANALOG LAB PRO」でシンセベースを作ったあと、EQで中音域以上をカットしています。
Sexy Drillの作り方6.キックを作る
次はキック(バスドラム)を作ります。
まずは、一般的なDrillで使われるようなキックの音を使い、ベースと同じタイミングでキックが鳴るようにします。
次は、ドシャッとした爆発音のようなキックの音を追加します。
サンプルを探すときは「Stomp」などで検索するのがおすすめです
1つ目のキックのパターンをコピーし、音色だけ変えます。
Sexy Drillの作り方7.フィルインを追加する
パーカッションなどを使って、フィルインを作ります。
完成!
これでSexy Drillのトラックが完成です。
最後に、最初から最後まで聞いてみましょう。
今回の解説で使ったプラグイン・音源・機材
最後に、今回の解説で使ったプラグイン・音源・機材をまとめてご紹介します。
MIDIキーボード:Novation Launchkey
鍵盤の他に、モジュレーションホイール、フェーダー、MIDIパッドなども付いています。
MIDIパッドを使ってコード作成も手軽にできるので、コード作りに自信がない方にもおすすめです。
49鍵以上のモデルだとフェーダーがついていますので、音量の調整やオートメーション使用時にとても便利です。
Arturia社「ANALOG LAB PRO」

ujam社「FINISHER FLUX」
Valhalla DSP社「ValhallaVintageVerb」
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