今回は、人気音楽プロデューサーのVirtual Riotが解説する「僕のアルバムで使ったパーカッションを作る方法」をまとめました。
Virtual Riotはエレクトロ・ダンスミュージックで有名なプロデューサーですが、実はシンセサイザーだけでなく、自宅にある身近なものを使って作曲をしています。
この記事では、自宅にある紙製の箱を使ってパーカッションを作る過程と、身近なものをサンプリングして曲を作るときのコツを5つご紹介します。
DTMでサンプリングをするときのコツ5つ
DTMでサンプリングをするときのコツは、こちらの5つです。
サンプリングのコツ
- クオンタイズする(スイング調整含む)
- ループを切り貼りする
- 音程、EQ、パンを調整する
- ループモードを変更する
- トランジェントを調整する
それではここからは、これら5つのコツを使いながら、家にある身近なものを使ってサンプリング&ビートメイキングをしていきます。
家にあるもので曲を作る方法1.紙製の箱をサンプリングしてみる

まずは、家にあるものでサンプリングをします。
今回は、今朝モーニングコーヒーを買ったときについてきた紙製の箱を、打楽器用のマレットで叩いてサンプリングします。

ここでのポイントは、音量やテンポに気をつけながら規則正しく叩くのではなく、かなり適当に叩いたり擦ったりするという点です。
適当に箱をいじるというランダム性が、クリエイティブなサンプリングにつながります。
録音した結果、このようなサウンドになりました。
ちなみに今回の解説でVirtual Riotが両手に持っていたマレット・スティックは、このようなタイプの製品です。
鍵盤打楽器用のマレット
竹製のドラムスティック(ジャズドラムなどによく使われます)
家にあるもので曲を作る方法2.メインのドラムビートを作る
次は、サンプリングした音を乗せるためにメインのドラムビートを作ります。
今回は超シンプルなハウスミュージックのビートを作りました。
家にあるもので曲を作る方法3.クオンタイズする
次は、サンプリングしたオーディオデータをテンポに合わせてクオンタイズします。
まず、オーディオファイルの尺をメインのドラムビートの尺と合わせます。
今回は4小節になるようにオーディオファイルを切り取りました
そして、鳴っている音がテンポに合うようにクオンタイズします。
例えば16分音符単位でクオンタイズをすると、このようなビートになります。
オーディオクオンタイズをする方法
例えばAbleton Liveでは「Beat Warp Mode」という機能があります。
他DAWユーザーの方は「DAW名 オーディオファイル 自動 クオンタイズ」などで検索してみましょう

他にも、Native Instruments社「Kontakt」などのサンプラープラグインにオーディオファイルを取り込んでもOKです。
サンプラーによっては、クオンタイズをするときの細かい調整ができます
リズムに動きをつけたい場合は、16分音符ジャストのクオンタイズではなく、少しスイング(Swing)させてクオンタイズしてもよいでしょう。
サンプリングした音を重ねてみる

1ループ分だと物足りない場合は、数ループ分を重ねて鳴らしてみてもよいでしょう。
例えば今回は4小節x4つ分のループが出来上がりましたので、試しに4つ全部同時に鳴らしてみます。
かなりいい感じのビートになりました。
もちろん、音が多すぎると感じた場合は、音を切り取っても構いません。
家にあるもので曲を作る方法4.音程・パン・EQを調整する
音程(ピッチ)やパン(Pan)調整すると、印象が大きく変わります。

また不要な低音域がある場合は、EQでローカットしてもよいでしょう。
家にあるもので曲を作る方法5.微調整をする
その他、リズムを少しスイングさせたり音量を調節したり、繰り返し部分を増やしたりなど、微調整を行います。
ループモードを変えてみよう
サンプラーによっては、ループモードを変更できます。
例えばAbletonのBeats Warp Modeでは、ループモードを以下3種類から選択できます。

Loop Off:オーディオの最後まで再生したら、停止する
Loop Forward:オーディオの最後まで再生したら、最初に戻って再生する
Loop Back-and-Forth:オーディオの最後まで再生したら、逆再生して始点に戻る
ループモードを「Loop Back-and-Forth」にすると、逆再生するようなサウンドも作ることができます。
ループモードを変えたことにより、目立つサウンドが新しく出てくることもあります。
いいサウンドになったら、EQなどで再度微調整してもよいでしょう。
音域ごとに再生スピードを変える
例えばAbletonのWarp Modeを使うと、音程が低いほど再生スピードを遅く、音程が高いほど再生スピードを速くすることができます。
例えば高い音が鳴るときは金属音のような音になったり、低い音を高速で再生するとシンセベースのような音になったりするため、とてもユニークなビートに変身します。
DAWの機能やサンプラーによっては、このように再生スピードに関するパラメーターがありますので、ぜひ活用してみてください。
トランジェントを強化する
もともとトランジェント(アタック)が弱い場合や、これまでの微調整の過程でトランジェントが失われてしまった場合は、トランジェントシェイパーを使って調整するよいでしょう。
さらにパンチのあるサウンドになります。
また、トランジェントを強化するには「リリースを減らす」という方法もあります。
音が減衰しているリリース部分を減らすor切り取ることで、音がスタッカートのように短く聞こえ、トランジェントが強い音に聞こえやすくなります。
トランジェントシェイパーなどでは「リリース」「サステイン」というパラメーターで表記されていることが多いので、ぜひこちらも調整してみてください。
おすすめのトランジェントシェイパー
ShaperBox
グラフを描くように音量やエフェクトをかける量を調整できるプラグインです。
Virtual Riot本人も、今回の解説の後半で使用しています。
おすすめプラグイン「ShaperBox」
ST4b
音域ごとにトランジェントを変更できる、マルチトランジェントシェイパーです。
空き缶でサンプリングしてみよう
次は、同様に空き缶を使ってサンプリングをしてみます。
先ほどの紙製の箱で行ったサンプリングのテクニックを使い、また異なるビートを作ります。
- クオンタイズする(スイング含む)
- ループを切り貼りする
- 音程、EQ、パンを調整する
- ループモードを変更する
- トランジェントを調整する
紙製・プラスチック製の袋でサンプリングしてみよう
次は、紙製やプラスチック製の袋を使ってサンプリングしてみます。
以上で解説は終了です。
当サイトでは他にもサンプリングやユニークなサウンドの作り方をまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓