ミキシングのコツ

ドラムに使える9つのリバーブ(Reverb)テクニック【前編】

今回は、世界的に有名なプラグイン・ソフトウェアを開発しているiZotope社が解説する「ドラムに使える9つのリバーブ(Reverb)テクニック」をまとめました。

今回は前編として、9つのうち1~4個目のコツをご紹介します。

後編

これらの方法は、音に微妙な重み、深み、まとまり、インパクトを加えるためのテクニックです。

音がわかりやすく変わるわけではありませんが、プロっぽいサウンドにするためには不可欠な方法ですので、ぜひご覧ください。

悪いリバーブの例

まずは、悪いリバーブの例を聞いてみましょう。

こちらがDryの状態で、リバーブを加えていないバージョンです。

一方、よくない使い方でリバーブを使用した例がこちら。

いかにも「後からリバーブを足しましたよ」という後付け感があります。

今回はこのような悪い例にならないように、リバーブを上手に使うコツを9つ紹介します。

リバーブのコツ1.コンプレッサーを使う前に、ドラムに直接リバーブを使う

1つ目のコツは「コンプレッサーを使う前に、ドラムのBusにダイレクトにリバーブを使う」です。

実際に例を聞いてみましょう。

1つ目がDryの状態で、2つ目はドラムBusに大使、コンプレッサーの前にリバーブをかけたものです。

2つ目の方が、厚みがあり、しっかりとしたサウンドに聞こえます。

リバーブもドラムの音の1つの成分として処理すれば、リバーブ音もなじみやすくなります。

そのため、コンプレッサーをかける前にリバーブをかけ、コンプレッサーをリバーブ音にもかけるようにすればうまくなじむようになります。

リバーブのコツ2.タム(Tom)に直接リバーブをかける

2つ目のコツは「タム(Tom)に直接リバーブをかける」です。

特にChamber系のリバーブと相性がいいです。

タムをタム用のBusにルーティングし、そのBusにインサートでReverbをかけるのがおすすめです。

こちらはLarge Chamberを使った例です。

Earley ReflectionがTailよりも大きく、ローパスフィルターが加わっています。

Tailにはクラック部分(バリっと当たった時)にバンドパスフィルターを使っています。

リバーブのコツ3.ゲート・タム・リバーブをかけてインパクトを加える

3つ目のコツは「ゲート・タム・リバーブをかけてインパクトを加える」です。

ためしに、Large Plate系リバーブをタムに使ってみましょう。

このようになります。

少し音にごっただけで、音に厚みは感じられません。

ここで、リバーブを修正していきましょう。

まず、リバーブにヒットした信号の後ろの部分がより強くなるように、Attackを調整します。

これでリバーブが際立つようになります。

またにごりを消すために、Early Reflectionがよりクラック部分に反射されるよう、Early Reflectionにバンドパスをかけます。

また、warpパラメーターなどで少しだけコンプレッションやディストーションを行うことと、よりよいサウンドになります。

まだちょっとやりすぎ感があるので、ここでGateを使ってみます。

タムが叩かれた時、リバーブだけを通すようにGateがかかるようにしたいところです。

そのため、Reverbの後にGateプラグインをインサートし、リバーブの最後の部分だけに突然Gateがかかるようにします。

リバーブのコツ4.オーバーヘッドに少しだけシズルを加える

4つ目のコツは「オーバーヘッドに少しだけシズルを加える」です。

オーバーヘッドマイクの音に適切なリバーブを加えると、きらびやかなサウンドにすることができます。

今回はSendでリバーブを使っていきましょう。

Early Reflectionはレベルを下げ、すぐに鳴らないようにします。

代わりに、時間とともに上がっていくようにします。

こうすることで、Pre Delayを長くしなくても少しスペースを作ることができます。

関連記事

これで、スネアがヒットする前にTailをなくすようにすることができました。

これなら最初に出した音が次の音にかぶらずに済みます。

最後はリバーブの後にEQをかけます。

1.6kHz部分は残しておきたくないので、この部分を少しカットします。

こちらがオーバーヘッドのリバーブ成分だけの音です。

そして、こちらが全て鳴らした時の音です。

ドラムに使えるリバーブ(Reverb)テクニックまとめ

今回ご紹介したテクニックはこちらです。

ポイント

  • コンプレッサーを使う前に、ドラムに直接リバーブを使う
  • タム(Tom)に直接リバーブをかける
  • ゲート・タム・リバーブをかけてインパクトを加える
  • オーバーヘッドに少しだけシズルを加える

どれも音をより豊かに、プロっぽくすることができるテクニックですので、ぜひおためしください。

9個のテクニックのうち、残り5つのテクニックは後編でご紹介しています!

後編はコチラ


人気記事

1

今回は、主にポップスやダンスミュージックで使えるシンセサイザープラグインをご紹介します。いずれも世界的プロも愛用する人気プラグインですが、それぞれ特色が異なりますので、できるだけたくさん持っておくと目的に合った音作りがしやすくなります。まだ持っていないプラグインがあれば、ぜひチェックしてみてください!

2

https://youtu.be/bjqArFjaZLI 今回は、ジャズのスペシャリスト・Kevin Castroが解説する「ジャズの基本コード進行3つ」をまとめました。 ここでご紹介する3つのコード ...

3

今回は、大人気プラグインメーカーのCableguysが解説する「音にまとまりを出す方法4選」をまとめました。ボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラム...どれも1つ1つしっかり作っているのに、全体で聞くとなんとなくまとまりがなく、バラバラに聞こえる…こんなお悩みにお答えする「音にまとまりを出す方法」を4つご紹介します!

4

今回はChris Selimが解説する「1176コンプレッサーの使い方」をまとめました。 「有名なコンプレッサー」としてよく名前が挙げられる製品の1つが「1176コンプレッサー」です。この記事では、なぜこのコンプレッサーは世界中のDTMerに愛されているのか、その魅力と使い方を解説していきます。

5

今回は、Jonah Matthewsが解説する「サラウンドサウンドチャンネルの数字の意味とは?」をまとめました。映画を見るときや音楽を聞くとき、「5.1サラウンド」など「小数点の付いた数字+サラウンド」の文字を目にすることがあります。一体これは何を意味しているのでしょうか?

ファンクとは? 6

今回は、Antoine Michaudが解説する「Add9コードとMaj9コードの違い」をまとめました。どちらもコードネームに「9」が付いていますが、一体何が違うのでしょうか?「Add11とMaj11」「Add13とMaj13」の違いなども同様の考え方で見分けられます!

7

世界的にヒットしている曲の構成はどうなってる?ヒット曲の公式はある?今回はこのような疑問にお答えします。「曲を作るときはこれを使え!」と言うほど、多くの世界的ヒット曲に使われている楽曲構成をご紹介します。主に洋楽に使われている構成ですので、特に「世界中で自分の曲を聞いてもらいたい」という方はぜひ実践してみてください。

8

今回は、Universal Audio社が解説する「API 2500 Bus Compressorを使うコツ」をまとめました。コンプレッサーの中でも非常に有名なこの人気製品について、同社がリリースしているプラグイン版を使用しながら、このコンプレッサーを使いこなすためのコツをご紹介します。

9

今回は、Tim Heinrichが解説する「リバーブを削除する方法 ~5つのプラグイン~」をまとめました。前回はリバーブを除去する方法を4つご紹介しましたが、今回は「リバーブ除去専用プラグイン」をまとめています。機能も値段もプラグインによってさまざまですので、ぜひご自身に合ったプラグインを見つけてみてください。

大きいスピーカーを買った方がいいミックスができるのか?おすすめのスピーカーは? 10

今回は「大きいスピーカーを買えばいいミックスができるのか?」をまとめました。一般家庭の部屋に置くには大きすぎるサイズのものもありますが、プロになるのであれば大きいスピーカーを買わなければならないのでしょうか?言い換えれば、大きいスピーカーを買えば、いいミックスやマスタリングができるようになるのでしょうか?

-ミキシングのコツ
-,