ゲーム・映像音楽 音楽理論

【音楽理論】クロマティック・ミディアントとは?【映画音楽】

今回は、イギリスの作曲家・Guy Michaelmoreが教える「クロマティック・ミディアント(Chromatic Mediant)とは?」をまとめました。

映画音楽界で活躍するGuyが、映画音楽でよく使われるクロマティック・ミディアントについて解説します!

Music Theory - Chromatic Mediants in 7 Minutes!

クロマティック・ミディアント(Chromatic Mediant)とは?

一言で言うと、スケールのダイアトニックコードにはない「3度上下」したコードを使う手法です。

映画音楽でもよく使われるテクニックで、例えば「バットマン」や「ロードオブザリング」の楽曲でも使われています。

「バットマン(1989)」より「Are You a Kenzie or a Can't-zie?」0:48~

The Batman Official Soundtrack | Are You a Kenzie or a Can't-zie? - Michael Giacchino | WaterTower

「ロードオブザリング」より「The Fellowship」5:36~

The Lord of the Rings Music - The Fellowship

映画音楽だけでなく、ビリーアイリッシュなどのポップアーティストの楽曲でも見られます。

Billie Eilish「Happier Than Ever」0:11~歌詞が「Happier Than Ever」の部分

Billie Eilish - Happier Than Ever (Official Music Video)

名前がとても難しそうに見えるので、このワードを聞いただけで頭を抱えてしまう人もいるでしょう。

しかし、今回は1からじっくり解説しますのでご安心ください。

そもそも「クロマティック(Chromatic)」の意味とは?

はじめに、「クロマティック」の意味を解説します。

クロマティックとは、一言で言うと「スケールに入っていない音」です。

例えばCメジャースケールでは、C,D,E,F,G,A,Bの7音が使われます。

クロマティック・ミディアント(Chromatic Mediant)とは
https://youtu.be/EIvV77tLK9c?si=hw7WzGT5K5O8NS3L

それでは次は、コードについて考えてみましょう。

上の画像は「Cメジャーコードで、「C,E,G」の3つの音が使われます。

このC,E,Gは、どれもCメジャースケールに入っている音です。

https://youtu.be/EIvV77tLK9c?si=hw7WzGT5K5O8NS3L

上の画像はEマイナーコードで、「E,G,B」の3つの音が使われます。

この3つの音も、Cメジャースケールに入っている音です。

https://youtu.be/EIvV77tLK9c?si=hw7WzGT5K5O8NS3L

それでは、こちらはどうでしょうか?

これはEメジャーコードで、「E,G#,B」の3つの音が使われています。

Cメジャースケールでは、ピアノの鍵盤で言う白鍵しか使われていないのに、Eメジャーコードでは黒鍵(G#)の音が入っています。

このように、楽曲でベースとしているスケールに入っていない音のことを「クロマティック」と言います。

そもそも「ミディアント(Mediant)」の意味とは?

次は「ミディアント(Mediant)」の意味を解説します。

例えばCメジャースケールでは、C,D,E,F,G,A,Bの7音が使われます。

スタートの音(スケールの1番目の音)はCで、これは「トニック」とも呼ばれます。

スケールのスタート音以外にもそれぞれ名前がついており、以下のように呼ばれています。

1(C):トニック
2(D):スーパートニック
3(E):ミディアント
4(F):サブドミナント
5(G):ドミナント
6(A):サブミディアント
7(B):リーディングトーン
(カッコ内はCメジャースケールの場合の音)

3番目に「ミディアント」が、6番目に「サブミディアント」が入っていることにお気づきでしょうか?

そう、この2つ「3番目」と「6番目」がキーポイントになるのです。

ミディアントのポイントは「3度上下」

ミディアントのポイントは、「3度上下」であることです。

https://youtu.be/EIvV77tLK9c?si=C5g0aEGInTz9aVsB

スケールの1番目の音(トニック)から数えて、上に3度=メジャー3rd(半音4つ上)にあたるのが「ミディアント」

https://youtu.be/EIvV77tLK9c?si=C5g0aEGInTz9aVsB

スケールの1番目の音(トニック)から数えて、下に3度=マイナー3rd(半音3つ下)にあたるのが「サブミディアント」です。

「クロマティック」と「ミディアント」の意味をまとめると?

つまり「クロマティック・ミディアント」とは、直訳で「スケール上にない音・3度上下」ということになります。

正直これだけではまだパッとしませんが、これは具体的にどのように使えばいいのでしょうか?

クロマティック・ミディアントは使える音が増える!

クロマティック・ミディアントは基本的に「コード」をベースにして考えられるため、使えるコードが増えるのが特徴です。

例えばCメジャースケールにおいて、トニックのコードはCメジャーコード(C,E,G)です。

https://youtu.be/EIvV77tLK9c?si=C5g0aEGInTz9aVsB

そして、ミディアント(メジャー3rd、トニックから半音4つ上)はEマイナーコード(E,G,B)、サブミディアント(マイナー3rd、トニックから半音3つ下)はAマイナーコード(A,C,E)です。

ここで重要なのは、コードの場合、メジャー3rd上(半音4つ上)とマイナー3rd分下(半音3つ下)だけでなく、メジャー3rd下(半音4つ下)とマイナー3rd上(半音3つ上)も使えるという点です!

https://youtu.be/EIvV77tLK9c?si=C5g0aEGInTz9aVsB

例えば、ミディアントはCからメジャー3rd上(半音4つ上)のEだとお伝えしましたが、マイナー3rd上(半音3つ上)のEbも使えるということになります。

同様に、サブミディアントはCから半音3つ下のAだとお伝えしましたが、メジャー3rd下(半音4つ下)のAbも使えるということになります。

一覧にまとめると、クロマティック・ミディアントでは以下の4音をルート音としたコードが使えるようになります。

Cから数えてメジャー3rd上(半音4つ上):E
Cから数えてマイナー3rd上(半音3つ上):Eb

Cから数えてマイナー3rd下(半音3つ下):A
Cから数えてメジャー3rd下(半音4つ下):Ab

ここでポイントなのが、「この4音をルート音とするコードなら何でも使えるようになる」という点です。

コードの中に、先ほどの「3度上下」して出てきた4つの音「E,Bb,A,Ab」以外の音が入っていてもOK。

つまり、クロマテイック・ミディアントを使うと以下8つのコードが使えるようになります。

Eメジャーコード(E,G#,Bb)
Eマイナーコード(E,G,B)※Cメジャーのダイアトニックコード
Ebメジャーコード(Eb,G,Bb)
Ebマイナーコード(Eb,Gb,Bb)

Aメジャーコード(A,Db,E)
Aマイナーコード(A,C,E)※Cメジャーのダイアトニックコード
Abメジャーコード(Ab,C,Eb)
Abマイナーコード(Ab,B,Eb)

最初からCメジャースケールのダイアトニックコードに入っている「Eマイナーコード」と「Aマイナーコード」は、「ダイアトニック・ミディアント」と「クロマティック・ミディアント」が被っています。

クロマティック・ミディアントの使い方

それでは、実際の曲でクロマティック・ミディアントをどのように使っていけば良いのかを解説していきます。

使い方は非常にさまざまありますが、例えば…

C - Abm
(映画音楽界の巨匠・ダニーエルフマンの楽曲のような怪しげな雰囲気に)

6:07~6:14

Music Theory - Chromatic Mediants in 7 Minutes!

「C - Ebm」をボイシングとオクターブを変えながら繰り返す
(ファンタジー映画のような不思議なサウンドに)

6:17~6:26

Music Theory - Chromatic Mediants in 7 Minutes!

「単純すぎるコード進行に、スパイスを足したい」
「次にどのコードに行けばいいのかわからなくて、行き詰まっている」

というときには、ぜひ一度このクロマティック・ミディアントをお試しください!


以上で解説は終了です。

当サイトでは、リディアンモードとクロマティック・ミディアントを組み合わせたゲーム音楽の例や、映画音楽で使えるテクニックもご紹介していますので、ぜひこちらもご覧ください↓


人気記事

1

今回は、Better Mixesが解説する「ボーカルMIXで声が前に出る&音抜けを良くする方法」をご紹介します。高価な機材は必要なく、DAW付属のプラグインしか持っていない方でもお試しいただけます!

2

今回は、アメリカのプロデューサーNathan James Larsenが解説する「僕のお気に入りのボーカルチェイン」をまとめました。「どんな曲であっても、ミックスの83%はこのボーカルチェインを使っている」というぐらい汎用性が高い内容ですので、ぜひお試しください。

3

ボーカルのレコーディングがうまくできない…どれぐらいの音量で録音すればいいの?という方のための記事です。海外エンジニアが教える「ボーカルをプロのクオリティで録音するためのコツ」をご紹介!コツはたったの2つ、今日からすぐ実践できます!

4

今回は「DTMにサブウーファーは必要なのか?」をまとめました。サブウーファーは、低音域のみを再生することに特化したスピーカーです。「低音域は普通のスピーカーでも出せるから必要ないのではないか?」「何でわざわざ低音域しか出せないスピーカーを買う必要があるのか?」「サブウーファーを買えばDTMが上達するのか?」このような疑問に回答します。

5

今回は「音楽制作用にパソコンのパフォーマンスを最適化する方法」をまとめました。映像音楽制作などで何百トラックも扱っていても、DAWの動作が遅くならない方法があります。しかもこの記事でご紹介する方法は「すべて無料で実践できる上に、最低20%はCPU負荷を削減できる方法」です。ぜひお試しください。

6

今回は、Waves社のリミッタープラグイン「L4 Ultramaximizer」の新機能と基本的な使い方をまとめました。最新作「L4 Ultramaximizer」は、これまでLシリーズを使ってきた方にもそうでない方にも非常におすすめできるプラグインですので、ぜひチェックしてみてください。

7

今回は、BeatsbyVinityTVが解説する「Skrillexのようにリミッターとクリッパーを使って音圧を上げる方法」をまとめました。Skrillexと言えば、激しい音楽と爆発的な音圧が特徴的です。今回は、彼のように音圧を爆上げするにはどうしたらいいのか、その方法を解説していきます。

8

今回は、音響関連の商品を開発しているGIK Acousticsが解説する「ステレオスピーカーの置き方」をまとめました。特にDTMなどの音楽制作では、正しく音を聞くためにスピーカーの置く位置が非常に重要になります。この記事では、ステレオモニタースピーカーとサブウーファーの正しい置き方を図を用いて解説します。

9

今回は、大人気プラグインメーカーのCableguysが解説する「音にまとまりを出す方法4選」をまとめました。ボーカル、ギター、ベース、キーボード、ドラム...どれも1つ1つしっかり作っているのに、全体で聞くとなんとなくまとまりがなく、バラバラに聞こえる…こんなお悩みにお答えする「音にまとまりを出す方法」を4つご紹介します!

10

今回は、世界中の作曲プロの声を参考に「DAWの選び方完全ガイド」をまとめました。これからDTMをはじめようと思っている方、DAWの種類が多すぎて迷っている方、これから複数のDAWを使い分けて効率よく作曲をしていきたい方のための内容です。

-ゲーム・映像音楽, 音楽理論