今回は、Native InstrumentsとBen Cantilが解説する「Glitch Hop(グリッチホップ)の作り方」をまとめました。
この記事では「作り方編」として、Glitch Hopの楽曲の作り方を解説します。
Glitch Hop(グリッチホップ)の作り方
ここからは、Glitch Hopアーティストの「Zebbler Encanti Experience」のメンバーであるBen Cantilによる「Glitch Hopの作り方」をご紹介します。
Glitch Hopの作り方1:クリエイティブなアイデアからはじめる
まずは、自分が「おもしろいな」「使ってみたいな」「これをやったらどうなるんだろう?」と思うようなサウンドを見つけたり、作ってみるところから始めましょう。
言い換えれば「興味のある音」を見つけて、それを作ってみるのです。
例えば「もしこのバンドが、昔のこのアーティストに楽曲提供をするとしたらどうなるだろう?」などの疑問や興味でもOKです。
このような「相入れない2つの要素が混じり合ったらどうなるか?」という疑問や興味は、Glitch Hopを作るにあたって非常にいいモチベーションになります。
またNative Instruments社の超人気製品「Massive」を使って、「ウォンウォンウォン」とうねるようなおもしろいサウンドを作ってみて、それを「はじめのアイデア」とするのもよいでしょう。
アイデアを作るときのコツ
Glitch Hopのアイデアを作るときのコツは、「自分がいいなと思える音が作れたら、それをバウンス(保存)しておくこと」です。
これを繰り返していると、自分にとってお気に入りの音が溜まっていき、それらを組み合わせて1つの面白いフレーズを作ることができたり、カットアップ(切り刻む)などをしやすくなります。
バリエーションを豊富にさせることができるので、自分が「好きだな」と思った音はぜひバウンス(あるいは保存)しておくようにしましょう。
Glitch Hopの作り方2:ドラムパターンを作る
Glitch Hopにおいて、ドラムパターンは非常に重要な要素の一つです。
パンチのあるキック、スナップの効いたスネア、そしてクリエイティブなパーカッシブなサウンドを作ることがキーポイントです。
音をレイヤーしても良いですし、何かエフェクトをかけてパンチのある音にしてみてもよいでしょう。
音にパンチを加えたり、Glitch Hopらしいエフェクトを加えたいのであれば、Native Instruments社の「Crush Pack」を使うのがおすすめです。
もちろん、ドラムのループ素材を使うのもOKです。
Glitch Hopのドラムグルーヴとして使えそうなループ素材を見つけ、それらを自由に切り貼りしてみましょう。
Glitch Hopの作り方3:ベースラインを作る
覚えやすくパワフルなベースラインは、Glitch Hopを作る上で非常に重要な要素です。
ベースラインは、サンプルを使っても良いですし、シンセを使ってプログラムして作っても良いですし、両方を使ってもOKです。
低音域をよりプロらしいサウンドにしたいのであれば、ベースに少しディストーションやフィルター、モジュレーションエフェクトをかけて、ベースラインに動きをつけてみましょう。
iZotope社の「Neutron」に入っているディストーションエフェクトを使うのがおすすめです。
Neutronにはディストーションのほか、広がりやパンチを加えるためのエフェクトが使えるだけでなく、ミキシングのアシスタント機能もついている万能のプラグインです。
Glitch Hopの作り方4:メロディックな要素を入れていく
次は、メロディックな要素を入れていきます。
ボーカルサンプルを切り刻んでボーカルチョップを作ったり、シンセのループを入れたり、いろいろなアプローチの仕方があります。
「Glitch」な要素を入れたいのであれば、iZotope社の「Stutter Edit」がおすすめです。
Stutter Editを使えば、すぐにユニークなサウンドを作ることができます。
ワイルドな音にしたいのであれば、iZotope社「RX」を使って、タイムストレッチをしたり、ピッチシフト(ピッチ変更)をすると、メロディックな要素にユニークな動きをつけることができます。
Glitch Hopの作り方5:Glitchさせる
最後は「Glitch Hop」らしく、Glitchのエフェクトをつけていきます。
音をスライスしてカットアップを作ってみたり、iZotope社「Stutter Edit」を使ってGlitchなサウンドに仕上げていきます。
Glitch Hopの作り方6:トラックをアレンジする
ここまで作ったサウンドを全て合体させると、8小節程度のフレーズができていると思います。
あとはこれらにAメロ、Bメロ、サビ(ドロップ)、Cメロ(ブリッジ)などを加えて、1つの楽曲にしていきます。
1番と2番で使うエフェクトの種類を変えてみたり、フレーズを変えてみたりしてもよいでしょう。
Glitch Hopは「びっくり…だけど楽しい!」がキーポイントになりますので、これが達成できるような楽曲構成を目指しましょう。
Glitch Hopの作り方7:トラックをミックスする
楽曲が一通りできたら、いよいよミックスの作業に入ります。
これまで作った要素がすべてマッチし、1つのサウンドとしてしっかりブレンドされているかどうかを確認しましょう。
先ほどもご紹介したiZotope社の「Neutron」にはミックスのアシスタント機能がありますので、簡単にマスキング問題を見つけたり、自分の楽曲に最適なミックス案を提供してくれます。
Glitch Hopの作り方8:トラックをマスタリングする
最後に行うのは、マスタリングです。
iZotope社の「Ozone」を使えば、簡単にマスタリングすることができます。
Ozoneシリーズには初心者向けの「Elements」、中級者以上の方向けの「Standard」と「Advanced」の3種類あります。
Advancedは最も使える機能が多く、マスタリングには困らなくなるプロ仕様になっていますので、キレイにマスタリングをしたい方はぜひGETしてください。
Ozoneにはマスタリングのアシスタント機能が搭載されていますので、この機能を使って自分の楽曲を客観的に分析しながら、あとは自分で微調整していくのもよいでしょう。
同じくiZotope社の「Insight」もマスタリングにおすすめのツールですので、Ozoneと併用するとベターです。
Glitch Hopを作るときの3つのコツ

最後に、Glitch Hopを作るときのコツを3つご紹介します。
Glitch Hopを作るときのコツ1つ目
Glitch Hopのようなエレクトロニック系の音楽を作るときは、どのツール(プラグイン)を使うかが非常に重要になります。
使うツール・プラグインによって特徴はさまざまですが、使う場面を間違えるとなかなか理想の音作りができないなど、音作りに余計に時間がかかってしまうこともあります。
逆に、使うツールを適切に選べば、自分の理想の音作りをより早く行うことができます。
例えばNative Instruments社の「Massive」であれば、Glitch HopやDubstepなどによくある「ウォンウォンウォン」としたワブルサウンドや、「ウォーッ」とうなるようなサウンドを作るのに適しています。
また「ランダマイズ」系の機能が使えるツール・プラグインであれば、音を予想外の方向に動かして、びっくりするようなサウンドを作ることもできます。
自分のテイストや、自分が作りたいと思っているサウンドを実現できるツール・プラグインを選ぶようにしましょう。
Glitch Hopを作るときのコツ2つ目
Glitch Hopで重要なのは、クリエイティブで新しく、おもしろい方法で音楽を作るということです。
あなただけのサウンドを、あなたらしいユニークなサウンドを作れるようにしましょう。
日本語での「ユニーク」を英語では「Unique」と書きますが、どちらかというとGlitch Hopでは「You-nique」を目指していきたいですね。
Glitch Hopを作るときのコツ3つ目
Glitch Hopを作りたいと思うのであれば、まずはさまざまなGlitch Hopのアーティストを聞くことが大切です。
ぜひチェックしていただきたいアーティストと楽曲を掲載しますので、ぜひ参考にしてみてください。
Zebbler Encanti Experience
Father Funk
Mr. Bill
Tipper
Kursa
Of The Trees
K.L.O.
Frequent
Ableation
Voljum
eliderp
JoeB
Glitch Hopに使えるおすすめDTMプラグイン
最後に、Glitch Hopに使えるおすすめDTMプラグインをご紹介します。
いずれもGlitch Hop以外のジャンルでも使える便利プラグインですので、まだお持ちでない方はぜひGETしてください。
Vengeance Sound社「Glitch Bitch」
Vengeance Sound社「Glitch Bitch」は、名前の通りグリッチエフェクトやスタッターエフェクトを加えることができるプラグインです。
「グリッチ」「スタッター」と言ってもスタイルは非常にさまざまで、140個にも及ぶ豊富なプリセットからさまざまなサウンドを作ることができます。
Glitch Hopを作るならぜひ持っておきたいプラグインの1つです。
iZotope社「Stutter Edit 2」
iZotope社「Stutter Edit 2」は、グリッチエフェクトやスタッターエフェクト(音を細かく刻んだようなエフェクト)を手軽に作ることができるエフェクトです。
プリセットも非常に豊富な上に調整できるパラメーターもたくさんあるので、さまざまなスタイルでエフェクトをかけることができます。
Cableguys社「ShaperBox」
ShaperBoxは、あらゆるエフェクトを好きなタイミングで好きな強さで使うことができるプラグインです。
エフェクトを使うタイミングと強さは、グラフを描くように自由自在に調整することができます。
「Glitch」という名前のエフェクトはありませんが、「Volume」「Filter」「Time」などのエフェクトを使うとグリッチエフェクトを作ることができます。
グリッチエフェクトを効かせたい瞬間はグラフを描いて自由自在にコントロールできますので、非常に使いやすいです。
ShaperBoxの使い方解説記事はこちら🔻
以上で「作り方編」の解説は終了です。
当サイトでは他にも音楽ジャンルの解説を多数掲載していますので、ぜひこちらもご覧ください↓






