プロになる方法・音大進学

高い学費を払ってでも音大に行くべきか?特待生になる方法は?

Is Berklee Worth It? My honest opinion

今回は、Basiaが解説する「バークリー音楽大学は行く意味があったか?私の正直な意見」をまとめました。

バークリー音大を卒業して3年が経過してシンガーソングライターとして活動するBasiaが、バークリー音大の受験やバークリー音大で経験したこと、高額な学費をどうやって支払ったか、そして音大に行く意味について語ります。

バークリー音楽大学に行く前の私について

バークリー音大に行く前の私(Basia)は、毎日のようにYouTubeでバークリーについて調べていて、本当に音大に行くべきか、入学試験はどんな感じなのかを調べていました。

私は幸いにも素晴らしいメンターであるMikolai Stroinskiにアドバイスをもらえたので、無事入学することができました。
※ゲーム「The Witcher 3」の作曲家

ここでは、そんな彼からもらったアドバイスも含めてみなさんにお伝えしていきます。

バークリー音楽大学を知ったのはいつ?

私がバークリー音大を知ったのは、12〜13歳のときでした。

私は音楽が好きだったので、バークリーはまさに夢のような場所だと思っていました。

音楽を真剣に志しているさまざまな人たちが1か所に集まるなら、本当に素晴らしいところに違いないと思ったのです。

そのため、私はバークリー音大以外で行きたい大学はありませんでした。

私のように「バークリー、一択!」という人もたくさんいるでしょう。

バークリー音楽大学に入学するためにやったことは?

バークリー音大の存在を知った私は、どうやったらバークリー音大に入学できるかを考え始めました。

学費は高いですし、その高額な学費を支払えるような家庭ではなかったので、どうしようかすごく悩みました。
※2025年時点、バークリー音大の1年間の学費は約700万円で、金額は年々上昇しています

その結果、学費が免除される特待生制度があることを知ったので、まずは特待生を目指して一生懸命準備をすることにしました。

バークリー音楽大学の入学試験体験談

最初はテキサスで試験を受けましたが、本当に惨めな内容で、全然うまくいきませんでした。

本当に頑張って先生と一緒に準備してきたのですが、その時の私はまだ自信がなかったのだと思います。

もし試験を受ける人がいたら、ぜひ自信をつけてから挑んでほしいです。

入学試験には合格したが、特待生にはなれなかった話

試験の数ヶ月後に手紙が届いて、入学試験には「合格」だったのですが、特待生にはなれませんでした。

学費が高すぎるので、特待生になれなければ入学はできません。

その1週間後に北テキサス大学から連絡が来て、学費がほぼ全額免除になる特待生として合格していることがわかりました。
※北テキサス大学には音楽学部があります

答えはもうほぼ決まっているようなもので、学費がほぼ全額免除になる北テキサス大学を選ぶ方が賢明な判断です。

しかし、長年の夢であったバークリー音大も諦めきれず、お世話になっていた先生(Mikolai)と相談しました。

そこで言われたのが、とある例え話です。

スーパーに行ったときのことを想像してください。
あなたは才能もスキルもお金もあります。
商品は全部棚に並んでいるので、生活に必要なものはなんでも選べます。
しかし、あなたに与えられた時間は4分間です。
4分間の間に、ほしい商品をカートの中に入れなければいけません。
さらに、スーパーにある在庫は豊富ですが、カートは小さいので全ての在庫を入れることはできません。
それでは、あなたはカートに何を入れますか?

この例で考えなければいけないのは、あなたが今まで何について調査し、どんな知識やスキルを身につけ、将来は何がしたくて、そのために何が必要なのかです。

たとえ自分が選べる選択肢が多かったとしても、実際に選べる選択肢は限られているでしょう。

そのため、大学に行って何を学びたいのか、大学卒業後に何をしたいのかを入学前に考える必要があります。

もし絶対にバークリー音大に行く必要があるなら、バークリー音大に行った方がいいでしょう。

しかし絶対にバークリー音大でなければいけないということでないのなら、バークリー音大以外の選択肢でもいいのです。

第一志望の大学に行くために、第一志望の大学を選ばなかった理由

この例え話を先生から聞いた私は、バークリー音大ではなく北テキサス大学を選び、2年間だけ通いました。

北テキサス大学なら学費はほぼ免除だったので、まず北テキサス大学に2年間通い、そこでしっかり力をつけてからバークリー音大を受験し、特待生を目指すことにしたのです。

北テキサス大学はとてもいい大学だったので、2年間通ったときにはバークリー音大に合格することができるほどのスキルを身に付けることができました。

転校のためにバークリー音大の試験をもう一度受けなければいけなかったのですが、しっかり練習と準備を重ねたので、その試験は無事に終わることができました。

そして結果は、試験も合格し、特待生にも選ばれました。

かなり大きな金額の奨学金を得ることができたので、学費に困らず入学することができました。

このように、第一志望の学校に行く前にしっかり準備期間を設ければ、高い学費に悩まされることなく入学することもできます。

ちなみに音大に行く前に準備期間を設ける大切さについては、他の音大・音楽学部卒業生も言及しています↓

音楽大学で大切なのは〇〇を学ぶこと

バークリー音楽大学では作曲専攻(Contemporary Writing and Production)で、副専攻はクリエイティブ起業ビジネス(Creative Entrepreneurship)でした。

この副専攻は、私にとってはとても有意義な内容でした。

もしみなさんが楽器演奏系(器楽系)の学部で、奨学金を一切得ずにバークリーに通っているとしたら、とても裕福な家庭で育っていると思います。

しかし、もしそのような人でも、音楽で起業したりビジネスをやっていく・お金を稼いでいきたいのであれば、器楽系の授業ばかり受けているのは本当にもったいないと思います。

楽器演奏のスキルだけのために年間700万円程度を支払って、卒業したら「はい、じゃあ1人で頑張ってくださいね」で放り出されるのなら、かなりもったいないのではないでしょうか。

やはり、楽器演奏のスキルだけではなく「音楽でどのようにして稼いでいくのか」がプロとして必要な知識だと思います。

私はこの副専攻のおかげで、楽器演奏だけではなく演奏することによって仕事にどう幅広くつなげていくか、音楽プロデュースの仕方、ミックスやマスタリングの仕方、マイクやDAWの使い方など、さまざまなスキルを学ぶことができました。

幅広く学べる内容だったので、卒業後もどうやって仕事を見つけていけばいいのか、どのようにして音楽が仕事になるのかがわかったのです。

言い換えれば、幅広い知識を得られたからこそ音楽で稼いでいくための「マーケティング」のスキルが身についたと思います。

高い学費を払ってでも音大に行く意味はあると思うか?

正直なところ、学費が免除される特待生になれないのであれば、音大に行く価値はないと思います。

私のように特待生になり、多額の学費を払う必要がないのであれば、音大に行くことをおすすめします。

音楽業界はそこまでシンプルな業界ではなく、「音楽大学に行けばこれぐらいの給料をもらえる仕事に就ける」というわけではありません。

もし学生ローンや返済が必要な奨学金を抱えているのであれば、卒業後はその返済に追われることになり、将来の保証がない音楽の仕事には就けない可能性もあります。

そのため、学生ローン・奨学金の返済をしなければいけないような状態になるのであれば、音大に行くことはおすすめできません。

私のように、特待生になれるぐらいスキルアップをしてから入学することを強くおすすめします。

バークリー音楽大学での生活は楽しかったか?いい友達はできたか?

私のバークリー音大での生活は、とてもよかったです。

生涯の友達もでき、友達同士のつながりでまた新しいつながりもでき、素晴らしい音楽仲間と出会うにはこれ以上ないと思うぐらいの場所でした。

しかし「友達を作る」ということだけにフォーカスするなら、音大に行かなくても実現可能です。

ロサンザルスなどの都心部に行って活動をしていれば、同様のネットワークを持つことはできると思います。

人とのつながり(ネットワーク)を作るためだけにバークリー音大に行くというのは、少しコスパが悪いと思います。

やはり、スキルアップをするために行くという目的の方がいいと思います。

そしてもし音大に行くのであれば、自分をよく見せようとせず、自然体で友達と接するのがいいと思います。

そのように自然体でいられる友達がいれば、私のように卒業後も一緒に音楽制作をすることもあるでしょう。

また、先生方とのつながりも大切にしましょう。

あくまで「先生」ではあるのですが、卒業後も仲良くつながりを持っていると、困った時に助けてくれると思います。


以上がBasiaによる「高い学費を払ってでも音大に行くべきか?特待生になるには?」でした。

当サイトでは他にもバークリー音大やジュリアード音楽院の現役生・卒業生による体験談をまとめていますので、ぜひこちらも参考にしてください。
(音大進学に関しては肯定的な意見から否定的な意見までさまざまありますので、ぜひいろいろな意見を見てみてください)


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