ゲーム・映像音楽

どんなシーンにも合う映画音楽の「テーマ」の作り方 Part6

このシリーズでは、Galen DeGrafが解説する「どんなシーンにも合うテーマ音楽の作り方」をまとめています。

今回はPart6として、ストーリーに合わせて音楽を変更する方法を解説します。

映画「ヒックとドラゴン」で実際に使われた例をもとに、どんなシーンにも合う1つのメロディー(テーマ)を作る方法をご紹介します。

How to Make a Musical Theme fit any Context

ストーリーに合わせて音楽を変更する

キャラクター同士の人間関係や物語の内容によって、音楽も変化していくテクニックはよく使われます。

例えば「キャラクター同士が友情を育んで心を一つにする」という物語だった場合は、各パートのメロディーを登場させた後、それぞれ徐々に簡略化し、最後にそれらの断片を合体させて1つのメロディーに仕上げるというテクニックが使われることがあります。

簡略化して新しいメロディーを作るときは、フレーズの一部を削除したり、スタートの音を変えたり、下降系のフレーズを上昇系のフレーズに変えたりします。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

実際に「ヒックとドラゴン」の楽曲「Forbidden Friendship」では、テーマがBメジャースケールで元々のメロディーがBで始まるとき、5thであるF#からスタートするように変更しています。

Forbidden Friendship
https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

さらに、F#から始まるフレーズをミクソリディアンにとらえてフレーズを展開させています。

Bメジャースケール:B,C#,D#,E,F#,G#,A#
F#ミクソリディアン:F#,G#,A#,B,C#,D#,E,
ミクソリディアンはスケールの7thの音にフラットがつく

19:18~19:35

How to Make a Musical Theme fit any Context

このような断片的なフレーズを登場させた後は、Dbキーに変更し、3度上でハーモニーを作るようなメロディーラインを重ねて、クライマックスで完全体のフレーズを登場させます。

19:45~20:02

How to Make a Musical Theme fit any Context

重視したいコードトーンに合わせてメロディーを変更する

さらに、このバージョンに装飾音(メインメロディーの間に入れる音)をつけるバージョンも登場します。

20:23~20:33

How to Make a Musical Theme fit any Context

楽曲がEマイナーキーで、メロディーのはじまりが3rdであるGになり、そのまま機械的に元のメロディーのインターバルに合わせると次の音がDとなった場合は、次のような楽譜になります。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

Eマイナーのハーモニーに聞かせたいのに次の音がDになると、Dの音がEmのサウンドに合わないような気がしてしまうかもしれません。

このようなときは、重視したいコードトーンに合わせてメロディーの音を変化させても構いません。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

2番目の音をDではなくEにすることで、EマイナーキーやEマイナーコードの響きをキープしやすくなります。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

実際に映画「ヒックとドラゴン」の楽曲のうち「Training Out There」では、元のテーマのメロディーでは「-3、+3」というインターバルであったところを、コードトーンを重視して「-2、+2」という音程に変更しています。

21:15~21:29

How to Make a Musical Theme fit any Context

また、コードがBbmのときも音程を調整し、Bbmのコード構成音になるようにしています。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

インターバルは±1程度の変化なので、メロディーが大きく変わったようには聞こえません。

そのため、聞かせたいコードトーンに合わせながらメロディーを継続・発展させていくことができます。

また、前述で登場した「ボディとテール」のテクニックも使われており、楽曲の一部でテールが連続する部分が登場します。

22:10~22:29

How to Make a Musical Theme fit any Context

また、ダークな雰囲気や冒険の険しさ・厳しさを演出するため、ボディで使われている音程の動きを大きくしたり、半音移動を増やす(スケール音以外の音を使う・スケールを変える)などの工夫もされています。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

さらに、各小節の1拍目の音を1音ずつ下げることで、だんだん下がって暗くなっていくような雰囲気も演出しています。

https://youtu.be/6joUB_0BOiE?si=m7a2vrdcKJ_2rrME

23:05~23:20

How to Make a Musical Theme fit any Context


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