このシリーズでは、Galen DeGrafが解説する「どんなシーンにも合うテーマ音楽の作り方」をまとめています。
今回はPart1として、メロディーのバリエーションを増やす方法を解説します。
映画「ヒックとドラゴン」で実際に使われた例をもとに、どんなシーンにも合う1つのメロディー(テーマ)を作る方法をご紹介します。
映画「ヒックとドラゴン」より「Test Drive」の例
まずは、John Powellが作曲した映画「ヒックとドラゴン」の「Test Drive」という楽曲を聞いてみましょう。
これは、主人公・ヒックが危険なドラゴンとようやく仲間になり、そのドラゴンの背中に乗って飛ぶシーンで使われます。

原曲の公式YouTube
このようなサウンドになっています。
実はこのテーマの別バージョンが、このシーンより前にも使われています。
ヒックとドラゴンがまだ仲間になる前、ヒックが「あの恐ろしいドラゴンは、稲妻と死神の間に生まれた子どもである」「その姿を見て生きて帰れた者はいない」など、ドラゴンに関する恐ろしい事実が発覚した時のシーンです。
このシーンでは、このようなサウンドになっています。

原曲の公式音源
「本当に別のバージョン?」「全く別の曲ではないか?」と思う方が多いでしょう。
そして、さらにまた別バージョンが登場するのですが、今度はドラゴンが水の中で溺れてしまい、ヒックがそれを助けようとするシーンです。

原曲の公式音源
これもまた、先ほどの2曲とは全く違う雰囲気です。
そして最後に、ヒックのお父さんがヒックが生きていると知って安心と喜びに満ちたときのシーンで別バージョンが登場します。

原曲の公式音源
以上の4曲を聞いて「同じメロディーが使われている」「似ているな」と思った方は少ないでしょう。
しかし、実はどれも最初の「Test Drive」のメロディーを巧みにアレンジした「別のバリエーションの楽曲」なのです。
このように、1つのメインテーマがシーンに合わせてキー(調)や拍子、ハーモニー、アレンジを変えてさまざまなバリエーションで使われることがあります。
そこでこのシリーズでは、「1つのメロディーを変えてテーマのバリエーションを増やす方法」にフォーカスして解説をしていきます。
つまり、映画音楽で使える「1つのテーマをそのシーンに合わせてアレンジする方法」が理解できるようになりますので、ぜひマスターしてください。
映像音楽の「テーマ」に含まれる要素とは?

次のパートに入る前に、まず「テーマ」に含まれる要素を洗い出してみましょう。
一般的に「テーマ」に含まれる要素には、次のようなものがあります。
・メロディー
・リズム
・拍子
・ハーモニー
・オーケストレーション
・テンポ
・アーティキュレーション
このようなテーマに含まれる要素を少しずつ変更することで、楽曲にバリエーションを与えることができます。
このシリーズでは、このような要素1つ1つに着目しながら、どのようにしてバリエーションを広げていくかをご紹介します。
Part1から順に読み進めることを推奨しますが、どのPartからお読みいただいても今すぐ使えるテクニックになっていますので、気になる項目があればぜひチェックしてください↓