アレンジ・打ち込み

ジャズアレンジのやり方 6ステップ【ポップス・クラシックを編曲】

今回は、Piano With Jonnyが解説する「クラシック音楽をジャズにする方法」をまとめました。

ベートーベンの「エリーゼのために」をジャズにアレンジした方法を6ステップに分けて解説します。

原曲「エリーゼのために」を聞いてみよう

まずは、みなさんも一度は聞いたことがある原曲「エリーゼのために」を聞いてみましょう。

0:42~0:53

Aマイナーキーで3/8拍子、とてもシンプルな楽曲です。

今回は、この楽曲をジャズにアレンジしていきます。

ジャズアレンジのやり方1:コードを確認する

ジャズアレンジをするときは、まずはじめにコードを確認しましょう。

例えば「エリーゼのために」は「Am - E - Am」の繰り返しになっています。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

実際に弾いてみると、このようになります↓(1:05~1:34)

ジャズアレンジのやり方2:リード楽譜を作る

原曲のコードを確認したら、次はリード楽譜を作ります。

リード楽譜は、ジャズプレイヤーがメロディーとコードを把握するために使われるとてもシンプルな楽譜のことです。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

今回はジャズアレンジにするので、まずは3/8拍子から4/4拍子に変更する必要があります。

拍子が違っていても、1つ1つの音の長さを変えて4/4拍子に変更することができます↓(2:12~3:00)

また、ピアノで弾くときはリズムもスイングにします。

この段階ではまだまだジャズ感がありませんが、このリード楽譜を作る段階では拍子とメロディー、コードが確認できればOKです。

ジャズアレンジのやり方3:ジャズらしい音を追加する

リード楽譜を作り終えたら、次はジャズらしい音=ジャズノートを追加していきます。

ジャズはとてもシンプルな3和音だけで作られることが少なく、多くの場合が7thや9th、11thなどのテンションノートを使って作られます。

例えば、Amコード(A,C,E)に6thの音を足してAm6(A,C,E,F#)にしてみましょう。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

コードにジャズノートを加えるだけで、一気にジャズらしさが出てきます↓(3:29~3:38)

同様に、Eコード(E,G#,B)には7thを加えてE7(E,G#,B,D)にします。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

AmとEmにジャズノートを加えることで、一気にブルージーな、ジャジーなサウンドになります↓(3:51~4:04)

ジャズアレンジのやり方4:フィルターコードを追加する

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=TMCFe71RUlJcr8eZ

この時点でかなりジャズらしさは出てきましたが、今度はコード進行を変更して、さらにジャズらしさを加えます。

特に、今回アレンジをしている「エリーゼのために」は「Am」と「E」の繰り返しなので、コード進行がとても単調です。

そのため「フィルターコード(パッシングコード)」を追加することで、コード進行にバリエーションを加えます。

ジャズにおけるフィルターコード(パッシングコード)とは?

ジャズにおけるフィルターコード(パッシングコード)とは、同じコードを長い間演奏するときなどに、コードに動きをつけるために加えられるコードのことです。

次のコードに行くまでの間に経過音(パッシングノート・パッシングコード)としてさまざまなコードを追加すると、音楽に動きが加わるほか、ジャズらしさも倍増します。

フィルターコード(パッシングコード)の作り方

フィルターコード(パッシングコード)を作るには、ターゲットコード(次のコード)の5thコードを直前に入れます。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

例えば、「エリーゼのために」ではAmとEが使われており、この2つが「メインのコード」…つまり「ターゲットコード」となります。

このターゲットコードに向かうために使うのがフィルターコード(パッシングコード)です。

フィルターコードは、このターゲットコードの5個上のコードになります。

Aから5個上:E
Eから5個上:Bb

iiコードはハーフディミニッシュコード(m7b5)に変更できる

ジャズでは、iiコードが来たときに「m7(b5)」にすることが多いです。

例えば今回の「エリーゼのために」はAmキーですので、iiコードはBmコード(B,D,F#)となりますが、このiiコードをm7(b5)にすることができます。

ハーフディミニッシュコード(m7b5):マイナーコード + 7thを追加 + 5thを半音下げる

このハーフディミニッシュコードをフィルターコードとして使うのもよいでしょう。

iiコードはメジャーに変更できる

https://www.youtube.com/watch?v=YAMQz_htumo

iiコードは、メジャーコードにも変更できます。

例えばE7の前にフィルターコードとしてB7コード(B,D,F#,A)を加えてもOKです。

フィルターコードは2つ以上連続で追加してもOK

フィルターコードは、ターゲットコードの前に2つ以上続けて追加することもできます。

例えば「ターゲットコードの5thコード」と、「その5thコードの5thコード」をつなげることができます。

https://www.youtube.com/watch?v=YAMQz_htumo

上の画像の例では、Am6がターゲットコードで、その5thコードはE7です。

E7はAm6のフィルターコードですが、「このフィルターコードのフィルターコード」として、さらにBm7(b5)を追加することができます。

ちなみにこの「フィルターコードのフィルターコード(5thコードの5thコード)」は、iiコードになりますので、ジャズアレンジであればハーフディミニッシュコードにするとよいでしょう。

「エリーゼのために」にジャズらしいフィルターコードを追加する例

それでは、「エリーゼのために」にジャズらしいフィルターコードを追加してみましょう。

原曲のコード進行は「Am - E - Am」の繰り返しでしたが、このようにアレンジすることができます。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

楽曲を通して弾いてみると、このようになります↓(6:11~7:30)

ジャズアレンジのやり方5:スパイスノートを追加する

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

コード進行をアレンジした後は、スパイスノートを加えてみましょう。

前述の「ジャズアレンジのやり方3」ではジャズらしさを加えるための「ジャズノート」を加えましたが、今度はさらにジャズらしくかっこいいサウンドにするための「スパイシーノート」を加えます。

音を聞くととても難しそうに聞こえますが、スパイシーノートはとても簡単に追加できます。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

例えば、E7コードのときは4つのスパイシーノート「b9」「9」「#9」「b13」を使うことができます。

E7のb9:F
E7の9:F#
E7の#9:G
E7のb13:C

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k


B7コードのときは「13」「b13」を使うことができます。

B7の13:G#
B7のb13:G

このようにスパイシーノートを加えることは「コードエクステンション(Chord Extensions)」や「コードオルタレーション(Chord Alterations)と呼ばれます。

8:08~9:10

スパイシーノートのバリエーションは非常にたくさんありますので、その時の気分や音の響きの好みに合わせて、自由に追加してみましょう。

ジャズアレンジのやり方6:リズムやハーモニーを変更する

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

拍子やリズムを調整し、コードを変更したら、いよいよ仕上げの段階です。

これまで作ってきたものをベースに、リズムやハーモニーのボイシングを変更してアレンジを完成させます。

まずは、完成形をお聞きください↓(10:08~10:34)

それでは、変更した部分を1つずつ解説します。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k


例えば、1小節目の左手(下段)は、コードを2つに分割して、飛ぶようなフレーズに変えています。

そして右手では、メロディーを単音ではなく和音にしている部分を増やしています。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

2小節目は、コードのボイシング(音の順番)を変えて、少し広がるようなサウンドにしています。

E7には「b9」のスパイシーノートを加えています。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

3小節目のAm6では、音が少し狭まるような(両手が内側に寄るような)フレーズにしました。

E7には、今度は#9を加えています。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

5小節目では、はじめはBに13thのG#を加え、次はb13(G)に変更しています。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

6小節目では、Eに9th(F#)を加えています。

1週目の折り返しである8小節目では、Bm7(b)=ハーフディミニッシュコードとE7(#9,b13)を使っており、これらは2つともAmコードへ向かうためのフィルターコードです。

E7の次のコードがAmなので、「5thコードの5thコード(Bb7(b5)→5hコード(E7)→ターゲットコード(Am)」の流れになっています。

このフィルターコードにも#9やb13などのスパイシーコードを使っているため、さらにジャズらしくなっています。

https://youtu.be/YAMQz_htumo?si=LSbVcd24J8dLgL7k

2週目の最後も、9thを加えたり、リズムを変えたりコードをバラバラに弾くなどをして、最後はロールアップしてキレイに終わるようにしています。

10:34~13:32

ジャズアレンジのやり方 6ステップまとめ

以上が「ジャズアレンジのやり方 6ステップ」でした!

1:コードを確認する
2:リード楽譜を作る
3:ジャズらしい音を追加する
4:フィルターコードを追加する
5:スパイスノートを追加する
6:リズムやハーモニーを変更する

当サイトでは他にもジャズアレンジやコードのアレンジに関する記事をまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


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