アレンジ・打ち込み

【DTM】音楽ジャンル別!キック(バスドラム)の作り方・ミックスのコツ

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

今回は、The Cosmic Academyが解説する「ジャンル別キックドラムの解説」をまとめました。

キック(バスドラム)は、特にダンスミュージックにおいて非常に重要な楽器の1つです。

そのため、周波数帯域や音の長さにも気をつけながら制作することで、さらにそのジャンルに適したサウンドに仕上げやすくなります。

ここからは、テックハウス・メロディックテクノ&ハウス・ドラムンベース・アフロハウス・テクノ・ダブステップ・トランス・ハードコアの、それぞれのキックの作り方のコツをご紹介します。

はじめに:スペクトラムとヒートマップの見方

はじめに、今回の解説で使うスペクトラムとヒートマップの見方について解説します。

https://youtu.be/rswG_lIggmY
https://youtu.be/rswG_lIggmY

上記の画像は、スペクトラムです。

今回の解説では色を2色に分けて解説をします。

色付きの部分:キックのスペクトラム
グレー:キックを除いたその他すべての音のスペクトラム

基本的に、グレーのスペクトラムの低音域はベースが多くを占めています。

https://youtu.be/rswG_lIggmY

上記の画像は、ヒートマップです。

上が高音、下が低音を表しており、色が赤くなるほど音量が大きく出ており、青くなるほど音量が小さいことを示しています。

上記画像は下側=低音(40~100Hz)が赤くなっているため、低音がとても大きく出ているということになります。

テックハウスのキックの作り方とコツ

まずは、Beatportでリリースされているこちらのテックハウスの楽曲3つのキックを分析してみます。

https://youtu.be/rswG_lIggmY

スペクトラムで見てみると、2番目(中央)のキックは、低音(左側)において特定の周波数帯域だけがグンと伸びています。

一方で、1番目と3番目のキックの低音は全体的に平らになっています。

これは、楽曲全体で聴いたときのバランスを考えるとその理由がわかります。

テックハウス:1曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

1つ目の楽曲をスペクトラムで見てみると、上記画像のようになります。

下側=低音(40~100Hz)が赤くなっているため、低音がとても大きく出ているということになります。

https://youtu.be/rswG_lIggmY

そのため、ベースはキックよりも少し高い音域にピークを持ってきていることがわかります。

キックとベースがぶつからないように、上手に周波数帯域を住み分けています。

テックハウスのキックの分析1曲目 0:50~1:11

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

テックハウス:2曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

2曲目のキックを見てみると、1曲目のキックよりもピークが大きく跳ね上がっていることがわかります。

キックが大きい代わりにベースが控えめになっているため、キックの根幹となる周波数帯域だけが大きくなっているように見えます。

テックハウスのキックの分析2曲目 1:11~1:32

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

テックハウス:3曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

3曲目のキックを見てみると、これまでの楽曲よりも低音域の音量がかなり控えめになっていることがわかります。

先ほどの2曲目はキックが大きくベースが控えめでしたが、この3曲目はその逆で、ベースはかなり音量が出ています。

テックハウスのキックの分析3曲目 1:33~1:54

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

テックハウスのキックの分析まとめ

以上3つのキックをまとめると、それぞれこのような特徴があります。

1・3曲目:キックとベースの根幹となる音域を棲み分けて両方同じぐらいの音量
2曲目:キック大きめ、ベース小さめ

テクノのキックの作り方とコツ

https://youtu.be/rswG_lIggmY

次は、テクノのキックを分析します。

こちらの3曲のスペクトラムを見てみると、いずれも50Hz~200Hzまでキックが出ていることがわかります。

これは、テクノでは「ダカダカ」「ゴロゴロ」という激しい音が含まれることが多いためです。

それでは、1つ1つ分析していきます。

テクノ:1曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY


1つ目の楽曲のキックを見てみると、まず40~200Hz付近に大きなエネルギーがあることわかります。

https://youtu.be/rswG_lIggmY

そして、キックの間にも赤く染まった部分があります。

これは、テクノでよく見られる「ダカダカ」「ゴロゴロ」という音の成分です。

おおよそ100Hz付近に大きなエネルギーを持っていることがわかります。

2:09~2:22

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

テクノ:2曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

2曲目も同様で、キックは30~100Hzの間が大きく出ていて、キックの合間に「ダカダカ」「ゴロゴロ」の音が挟まれています。

2:09~2:22

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

テクノ:3曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

3曲目のキックは、60Hz付近にピークが来ており、100~200Hz付近の音量は控えめになっています。

60Hz付近を大きくする代わりに、100~200Hz付近の音量を減らして調整しています。

2:37~2:51

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

メロディックテクノ・ハウスのキックの作り方とコツ

https://youtu.be/rswG_lIggmY

次は、メロディックテクノとハウスのキックを分析します。

メロディックテクノ・ハウス:1曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

1つ目の楽曲のキックは、ベースよりも大きめに出ています。

ベースは比較的広い範囲の周波数で鳴っていますが、音量はキックほど出ていません。

3:06~3:20

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

メロディックテクノ・ハウス:2曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

2曲目の楽曲も、ベースは大きく出ていないことがわかります。

3:21~3:34

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

メロディックテクノ・ハウス:3曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

3つ目の楽曲は、キックもベースも両方大きめに出ています。

3:35~3:50

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

ダブステップのキックの作り方とコツ

https://youtu.be/rswG_lIggmY

次は、ダブステップのキックを分析します。

ダブステップでは、ベースを目立たせるためにキックが場所を空けておくスタイルが多い傾向にあります。

ダブステップ:1曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY


1つ目の楽曲のキックは控えめで、ベースがかなり大きく出ていることがわかります。

4:03~4:16

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

ダブステップ:2曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

2つ目の楽曲も、キックよりベースが大きく出ています。

特にベースのサブベース(超低音域)が非常に大きく出ていることがわかります。

キックでは、ここまでのサブベースをコンスタントに鳴らすことはないでしょう。

4:17~4:31

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

ダブステップ:3曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

3曲目はキックが4つ打ちのため、低音域は音量が出過ぎないようになっています。

先ほどの1・2曲目と比べると、あまり音量が出てません。

4:32~4:44

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

ドラムンベースのキックの作り方とコツ

https://youtu.be/rswG_lIggmY

次は、ドラムンベースのキックを分析します。

ドラムンベースは全体的にキックの音量があまり出ていないため、相対的にベースが大きく聞こえるようになっています。

ドラムンベース:1曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY


1曲目のキックは、ベースよりも高い音域(60Hz付近以上)をピークにしており、音量もベースほど出ていません。

5:00~5:14

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

ドラムンベース:2曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

2曲目のキックは先ほどよりもさらに高い音域で、70Hz付近をピークにしています。

また、ベースは2箇所(40Hzと80Hzの1オクターブ違い)にピークを置いています。

5:15~5:25

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

ドラムンベース:3曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY


3曲目もまた、キックよりもベースの方が音域が低く、音量も出ていることがわかります。

5:26~5:40

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

トランスのキックの作り方とコツ

https://youtu.be/rswG_lIggmY

次は、トランスのキックを分析します。

トランスはオフビートに来るベースにスペースを空けるため、キックの長さは短めになる傾向にあります。

また、ドラムンベースのキックは-30dB程度の音量であることが多いですが、トランスは-27dB程度になります。

トランス:1曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

1曲目のキックは、ベースとキックがほぼ同程度の音量が出ています。

6:07~6:20

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

トランス:2曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

2曲目のキックも、ベースとキックがほぼ同程度の音量が出ています。

オフビートに来るベースにスペースを空けるために、キックは短めで、キックとキックの間にベースが上手く入り込んでいます。

6:21~6:32

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

トランス:3曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY


3曲目も同様のパターンで、キックとベースの音量がほぼ同じ+短めのキック+キックの間にベースが入り込む形になっています。

6:33~6:46

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

アフロハウスのキックの作り方とコツ

https://youtu.be/rswG_lIggmY

次は、アフロハウスのキックを分析します。

このジャンルは基本的に24~27dB程度の音量で、先ほどのトランスよりもキックが少し大きめになる傾向にあります。

アフロハウス:1曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

1曲目のスペクトラムを見てみると、このジャンルならではの特徴が見受けられます。

紫色のスペクトラムは基本的にはキックを表していますが、この曲ではタムも含まれています。

そしてこの曲では、キックよりもタムの方が低い音域が含まれているのが大きな特徴です。

7:06~7:20

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

アフロハウス:2曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

2曲目は、ベースの音が長め+大きめで、キックが短めになっています。

7:21~7:34

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

アフロハウス:3曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY

3曲目のキックは40Hz付近をピークにしており、ベースは100Hzをピークにしています。

キックとベースで1オクターブ以上の間隔が開いています。

7:35~7:50

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

ハードコアのキックの作り方とコツ

https://youtu.be/rswG_lIggmY

次は、ハードコアのキックを分析します。

ハードコアのキックはこれまでご紹介したジャンルとは大きく異なり、低音域だけでなく、中〜高音域にディストーションがかかっているのが大きな特徴です。

ハードコア:1曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY


1曲目のキックは、低音域も「ブォーン ブォーン」としっかり出ていながらも、中~高音域もはっきり聞こえます。

8:03~8:15

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

ハードコア:2曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY


2曲目も同様で、キックは低音域を担当しながらも、中~高音域でリズム楽器としての役割も果たしています。

8:16~8:28

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

ハードコア:3曲目のキックを分析

https://youtu.be/rswG_lIggmY


3曲目の楽器は先ほどの2曲とは異なり、キックとベースが一体となって聞こえるパターンです。

8:28~8:40

Every Genre's Kick Drum Explained In Detail

キック(バスドラム)のサウンドデザインにおすすめのプラグイン

最後に、キック(バスドラム)のサウンドデザインにおすすめのプラグインを3つご紹介します。

いずれも全ジャンルのキックに対応しており、今回ご紹介したキック特有の細かい調整ができる万能プラグインですので、ぜひチェックしてみてください!

The Him DSP社「Kick Ninja」

Next Level Kick Synth. Recreate any kick with AI!

世界的な人気DJのHardwellやNicky Romero、Sam Feldtなども絶賛したプラグインで、好きなサンプルや内蔵のオシレーターを使って、ピッチや音量(長さ)を自由に調整できるプラグインです。

キックが波形とグラフで表示されるため、視覚的にサウンドデザインをすることができ、初心者の方でも使いやすくなっています。

ディストーションやコンプレッサーなどのエフェクトが使えるのも嬉しいポイントです。

おすすめプラグインを購入する

Plugin Boutique社「BigKick」

BigKick Plugin - General Overview - With Dodge & Fuski Producer Rob Talbott

好きなサンプルを組み合わせて、自分だけのオリジナルキックを作ることができるプラグインです。

各サンプルに対してEQを使えるだけでなく、Attack・Hold・Decayなど音の長さを調整したり、ピッチを修正することもできます。

プリセットも豊富ですので、キックのサンプルをあまり持っていない方でもプロクオリティのキックを作成することができます。

おすすめプラグインを購入する

Tracktion社「Dawesome Chop Suey」

Chop Suey - Tutorial

キックを「Transient」「Body」「Tail」の3フェーズに分けてサウンドデザインができるプラグインです。

キックのサウンドデザインに精通しているドイツの開発者Peter V(Dawesome)とテクノアーティストBjörnがコラボして開発しているため、まさに「この機能が欲しかった」がたくさん詰まっています。

非常に見やすいデザインで小難しいパラメーターはなく、プリセットも非常に豊富ですので、初心者の方にもおすすめです。


以上で解説は終了です。

当サイトでは他にもキックやベースのサウンドデザインやミックスのコツをまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください🔻

おすすめ
おすすめ
おすすめ

人気記事

1

今回は、8-bit Music Theoryが解説する「セカンダリードミナントの使い方」をまとめました。 この記事では「基礎編」として、セカンダリードミナントとは何か、セカンダリードミナントの使い方について解説します。

2

今回は、DTMにおすすめのコンパクトなスピーカーを5つご紹介します。いずれも小さな机で手軽に使える上に、値段もお手頃で数万円程度で購入できます。世界的なプロも愛用しているスピーカーもありますので、初心者の方も、本格的にDTMをしたい方もぜひチェックしてみてください!

3

今回は、EDM Tipsが解説する「プロが使っている7つのトランジションの秘密」をまとめました。AメロからBメロへ行くとき、Bメロからサビへ行くときなど、楽曲中で場面転換をするときはスムーズに次へつなげたいでしょう。最も有名なのがドラムのフィルインですが、それ以外にも使えるトランジションはたくさんあります!

4

今回は、8-bit Music Theoryが解説する「セカンダリードミナントの使い方」をまとめました。この記事では「viコード編」として、セカンダリードミナントをviコードに対して使う時のポイントと例をまとめています。

5

今回は、MIX師やMIX初心者の方が持っておくと便利なおすすめのプラグインを3つご紹介します。プリセットを選ぶだけでプロレベルのサウンドにできる、まさに「5秒でMIXが終わるプラグイン」をご紹介します。

6

今回は、DTMで使えるおすすめのボコーダープラグインを7つご紹介します。いずれもロボットのような声にできるのはもちろん、ハーモニー作成もできる万能プラグインで、アレンジでもミックスでも使えます。サウンドの質感やプリセット、操作方法がそれぞれ異なりますので、いくつか持っておくと理想のボーカルに仕上げやすくなります。

7

今回は、音楽で使うスピーカーに付いている「謎の穴」について解説します。いろいろなスピーカーを見てみると、前面下側に細長く穴が空いていたり、側面に丸い穴が空いてあったり、中には背面に穴が空いていることがあります。この謎の穴は、いったいどのような役割があるのでしょうか?

8

今回は、世界中の作曲プロの声を参考に「DAWの選び方完全ガイド」をまとめました。これからDTMをはじめようと思っている方、DAWの種類が多すぎて迷っている方、これから複数のDAWを使い分けて効率よく作曲をしていきたい方のための内容です。

9

今回は「VUメーターの使い方とゲインステージングのやり方」をまとめました。 ミキシングやマスタリングでは「VUメーター」を使うことがありますが、そもそもVUメーターとは何か、なぜVUメーターを使うことが大切なのか、VUメーターの効果的な使い方について解説していきます。

10

今回は、MyAudioAcademyのJordan Easlerが解説する「プロのオーディオエンジニアになるなら音楽学校に行くべきなのか?」をまとめました。「音楽大学・専門学校に行くメリットとデメリット」と「プロになるための学習方法3つ」について解説します。

-アレンジ・打ち込み