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ミュージシャンが体を壊さないためにやるべき7つのこと【怪我防止】

7 Steps to Fixing & Preventing Pain, Tendonitis & Injury For Pianists

数々の受賞経験のあるジャズピアニスト・Noah Kellmanが教える「ピアニストが体を壊さないためにやるべき7つのこと」をまとめました。

自身もケガが原因で非常に辛い経験をしたきたNoahが、音楽家がずっと音楽を続けるためにやるべき7つのポイントを紹介します。

動画ではピアニストを想定して解説されていますが、ピアノと同様に体を使って演奏するバイオリニストやギタリスト、ドラマー、ずっと座りっぱなしのDTMerなどにも大切なことが語られていますので、ぜひ最後までご覧ください。

はじめに:プロピアニストが実際に体験したケガ

ここで僕(Noah)が解説するのは、腱炎や腕の問題など、楽器を演奏する際に関わる体全体のケガ・問題に関わる内容です。

実は、僕は筋肉が安静な状態にならない神経の問題を抱えています。

プロの音楽家になるには

通常、人間は何もせずに座っていても、筋肉は勝手に修復されます。

しかし僕の場合は、(かなり小さいレベルではありますが)筋肉が痙攣(けいれん)し、通常の人のように筋肉が回復しないのです。

そのため、僕は他の人よりもずっと体の痛みに慎重にならなくてはいけません。

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またケガが原因で、過去に1年ほど全くピアノを弾けない時期もありました。

親が僕の部屋に来て、服を着せてくれないといけなかったほど酷かったです。

そこで今回は、このように体の不調を経験してきた僕が長年の試行錯誤でたどり着いた「音楽家がケガをしないためにやるべき7つのこと」をご紹介します。
※これからご紹介することは、Noah自身の経験に基づくものです。専門的な治療や予防方法に関しては、専門の医師やセラピストに相談してください。

覚えておきたいこと「ミュージシャンはアスリートと一緒」

プロの音楽家になるには

まずはじめに前提としてお伝えしたいのが、ミュージシャンもアスリートと一緒であるということです。

アスリートは、自分のテクニックや力を最大限発揮するために、ケガをしないように工夫しながらトレーニングをしています。

これは僕らミュージシャンも同じです。

筋肉を酷使して活動しているため、アスリートのように「健康的に体を使う方法」を学ぶことはとても大切なのです。

ミュージシャンがやるべきこと1:運動

ミュージシャンがやるべきこと1つ目は、運動です。

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「運動」と言っても、実際の演奏に関係ありそうな「腕や指を動かす練習」などではなく「体幹や筋肉を鍛える」「上半身全体を鍛える」という意味での運動です。

僕自身、ジムに通って特に上半身をしっかり鍛えるようになってから、体の問題が大きく解消され、演奏による痛みを感じにくくなりました。

この経験で感じたのは、上半身(腕、胸、腹筋、背筋など)を鍛えれば鍛えるほど、痛みを感じる時間も短くなるということです。

腕だけ屈強でも意味がない理由

僕の若い頃はとても痩せていて、ピアノの練習のことしか考えておらず、運動のことなどは考えていませんでした。

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本当に弱々しい体だったのですが、ピアノの練習だけはたくさんしていたので、前腕だけは屈強でした。

しかし、前腕をよりリラックスして、最大限のポテンシャルを発揮できるようにするためには、前腕だけではなく上半身全体の筋肉を鍛えることが大切です。

逆に言えば、上半身全体を鍛えておかないと、全ての負担(緊張や圧)が前腕だけに集中してしまうのです。

そのため、指や腕など演奏に直結する部分だけではなく、体全体をしっかり鍛えるようにしましょう。

ミュージシャンがやるべきこと2:常にウォームアップ

ミュージシャンがやるべきこと2つ目は、ウォームアップです。

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「最後に演奏したのが何時間前か?」にかかわらず、楽器を演奏する前には必ずウォームアップをしましょう。

たとえ最後に楽器を演奏したのが20~30分前だったとしても、いきなり激しい演奏を始めるのはNG。

まずは、やさしいフレーズを弾くなどして体をならしていきましょう。

最低20分はウォームアップの時間を取ろう

はじめにお伝えしたように、僕らは「アスリート」です。

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サッカー選手も、会場入りした後に30分程度座っているだけでは、筋肉が固まってしまいます。

そのような状態ままピッチに入っても、思うように体は動かないでしょう。

僕らミュージシャンも同じで、まずは20分程度のウォームアップを行い、最大限の力を発揮できる体の状態を作っておきましょう。

ミュージシャンがやるべきこと3:よい姿勢を保つ

ミュージシャンがやるべきこと3つ目は、よい姿勢を保つことです。

僕はこれまで姿勢に関わるテクニックをいくつか学んできましたが、その中でも特に役に立ったエクササイズをご紹介します。

ミュージシャンがよい姿勢を作るための練習方法

ここからは、ピアノを弾くときによい姿勢を作るための練習方法をご紹介します。

1.手を体の前で合わせて、祈るようなポーズを作る

ピアニストの正しい演奏姿勢
https://youtu.be/bMW6hBvZ2eo

2.一番低い黒鍵まで腕を伸ばす

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https://youtu.be/bMW6hBvZ2eo

※小指で黒鍵を直接押してOK

3.一番高い黒鍵まで腕を伸ばす

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https://youtu.be/bMW6hBvZ2eo

※小指で黒鍵を直接押してOK

よい姿勢を作る練習の2つのポイント

プロの音楽家になるには
https://youtu.be/bMW6hBvZ2eo
  • 足がしっかり床についていること
  • 腕だけを使って鍵盤までたどり着こうとしない
    →上半身全体を使って鍵盤までたどり着くこと

実際のピアノ演奏では、下の画像のように体全体を使って、下の鍵盤から上の鍵盤まで使って演奏します。

プロの音楽家になるには
https://youtu.be/bMW6hBvZ2eo

下の画像のように弾くことはありませんよね。

プロの音楽家になるには
https://youtu.be/bMW6hBvZ2eo

特に、ピアノではものすごく速いフレーズを弾くときがありますが、そのようなときは体が強張りやすいです。

どの鍵盤やどんなフレーズを弾く時も、常に「いい姿勢」で演奏できるよう、日頃から確認しておくことが大切です。

ピアノ演奏をする際に役に立つメソッドとしては、「アレクサンダーテクニック」などがありますので、ぜひこちらも勉強してみてください。

ミュージシャンがやるべきこと4:よい食事を取る

ミュージシャンがやるべきこと4つ目は、よい食事を取ることです。

驚かれるかもしれませんが、実は食事もミュージシャンに大きな影響を及ぼします。

プロの音楽家になるには

現代の食品の中には、体に炎症を起こすようなものがたくさんあります。

僕は栄養士ではありませんが、これまでの経験上、動物性の食品や糖分(砂糖)を多く摂れば摂るほど、より多く体に炎症が起こってしまいます。

動物性ではなく植物性の食品を多く摂取したり糖分を制限すると、少なくとも僕自身はとても体がスッキリし、演奏しやすくなりました。

ミュージシャンがやるべきこと5:ストレッチをする

ミュージシャンがやるべきこと5つ目は、ストレッチをすることです。

プロの音楽家になるには

特に、これまでストレッチの習慣がなかった人にぜひやってほしいと思っています。

前述の「やるべきこと2」でお伝えしたウォームアップの後に、体がしっかり伸びる程度にストレッチを取り入れてみることをおすすめします。

「柔軟性が著しく向上する」ぐらいガッツリではなく、「心地よいと感じる程度」「体がほぐれる程度」で構いません。

ガッツリとストレッチをしてしまうと、逆にケガにつながりますので、「体があったまってきたな」と感じる程度に留めましょう。

関連記事

ミュージシャンがやるべきこと6:スマホの使用を控える

ミュージシャンがやるべきこと6つ目は、スマホの使用を控えることです。

プロの音楽家になるには

僕はある日、「スマホを使う時間が長いと、腕の痛みや腱鞘炎などが起こりやすい」ということに気づきました。

逆にスマホをほぼ使わなかった日は、そのような痛みがあることすら忘れるぐらい体が楽になりました。

よく考えてみると、僕らミュージシャンは日頃から長時間楽器やパソコンに触れており、一般の人よりも腕や手指を酷使しています。

これに加えて、毎日長時間スマホを使ってしまうと、腕や手指に痛みが発生してしまうのは無理もありません。

そのため、何時間も音楽活動で楽器やパソコンを使うような日は、できるだけスマホの利用は避け、体をしっかり休めることをおすすめします。

ミュージシャンがやるべきこと7:できるだけ多くの睡眠を取る

ミュージシャンがやるべきこと7つ目は、できるだけ多くの睡眠を取ることです。

プロの音楽家になるには

睡眠の重要性に関しては、僕以外にも多くの研究者が提唱していることですが、やはり十分な睡眠はミュージシャンにかかせません。

しっかり健康的であるために、音楽をする体としてベストな状態にするためには、今回ご紹介した「やるべきこと1~6」だけではなく、ぜひ睡眠も大切にしてください。

ミュージシャンとしてケガをしない体を作るために

当サイトでは、他にもミュージシャンの健康に関わる記事をご紹介しています。

ぜひこちらもご覧ください↓


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