REC機材

ボーカル定番マイクSHURE社SM58とSM7Bの違い5つ

今回はボーカル定番マイク「SM7B vs SM58」の違いをまとめました。

ボーカルやギターのレコーディングによく使われるのが、SHURE社のSM7BとSM58です。

値段は大きく異なり、SM58は1万5000円SM7Bは6万円です。

どちらも超定番のマイクですが、一体何が違うのでしょうか?

この記事ではそれぞれの特徴をじっくりご紹介しながら、どちらのマイクを選ぶべきか、その基準を解説します。

SHURE SM58とSM7Bの違い1.必要なプリアンプのパワー

SHURE SM58とSM7Bの違い1つ目は「必要なプリアンプのパワー」です。

SM58はどんな機材と接続していても十分な音量を出すことができますが、SM7Bはある程度インプットゲイン(Input Gain)を上げないと音量が小さくなります。

そのため、マイクとオーディオインターフェースだけでなくマイクプリアンプを追加したり、より強力なプリアンプが内蔵されたオーディオインターフェースを使う必要があります。

例えばSM7Bでは、マイクプリアンプ「SE ELECTRONICS DM2 TNT」を使ったときと使わなかったときではこれぐらい音量に差が出ます。

0:58~1:06

Shure Mic Showdown | SM7B vs. SM58

SM7Bを使うとき、十分なプリアンプのパワーないと必要な音量で録音できないかもしれません。

そのため、マイクプリアンプを追加したり、Apollo Twinのような強力なプリアンプが内蔵されたオーディオインターフェースを使うことをおすすめします。

Apollo Twinについてはこちらの記事で詳しく解説しています↓

SHURE SM58とSM7Bの違い2.破裂音の録れ方

SHURE SM58とSM7Bの違い2つ目は「破裂音の録れ方」です。

マイクには「ダイアフラム」と呼ばれるパーツがあり、マイクの中で耳のような役割をしています。

ダイアフラムが揺れることで電気信号を作り、それがデータとしてパソコンなどに取り込まれる仕組みです。

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

マイクの外側の金網(ウィンドスクリーン)を外すと、ダイアフラムが見えます。

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

「p」「b」など息が強く出る破裂音が出たとき、このダイアフラムに直接風が当たってしまわないよう、外側にはウィンドスクリーンが付いています。

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

このウインドスクリーンの形や質で、破裂音の録れ方が変わります。

破裂音が出たときの比較 1:56~2:07

Shure Mic Showdown | SM7B vs. SM58

SM58の方が破裂音が出たときに「ボンッ」「ボワッ」とした音が大きく、SM7Bの方が自然で不快感のない音になります。

SHURE SM58とSM7Bの違い3.ダイアフラムの位置

SHURE SM58とSM7Bの違い3つ目は「ダイアフラムの位置」です。

例えば下記画像のようにマイクを立てて横に並べてみたとき…

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

マイクを立ててみると、全長は同じぐらいの長さでも、口元(音源)との距離はSM7Bの方が近くなります。
※左側のSM58の方が口元と並行の位置にダイアフラムがある

このため、レコーディングをするときはマイクの指向性だけでなく、ダイアフラムがどの位置になるのかをよく考えてセッティングすることが大切です。

SHURE SM58とSM7Bの違い4. 近づいたときの低音域の録れ方

SHURE SM58とSM7Bの違い4つ目は「近づいたときの低音域の録れ方」です。

SM7Bは近づいたときに低音域も安定して録れるように設計されているため、ボワっとした不快な低音域がなく、スッキリとした音になります。

マイクに近づいたときの低音域の録れ方の違い 3:30~4:06

Shure Mic Showdown | SM7B vs. SM58

SHURE SM58のフリークエンシーレスポンスの特徴

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

SHURE社の定番マイクにはSM58(上記画像右)とSM57(上記画像左)があります。

両者はどちらも100Hz以下の低音域を減らすように設計されており、マイクを動かしたときに発生するハンドリングノイズが録れにくくなっています。

しかし、どれぐらい低音域を減らすかは自由に調整できません。

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

SM7Bなら、低音域をどれぐらい減らすかをスイッチで調整することができます。

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

例えば上記画像左の「Bass Rolloff」の設定にすると、不要な低音域をカットすることができます。

上記画像右の「Presence Boost」の設定にすると、音がより明るく聞き取りやすい音になります。

SHURE SM58とSM7Bの違い5.音を拾う範囲

SHURE SM58とSM7Bの違い5つ目は「音を拾う範囲」です。

SM58とSM7Bはどちらも単一指向性(カーディオイド)です。

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

単一指向性のマイクは、マイクに対して正面から出てくる音を拾いやすく、真横や後ろから出た音はあまり拾わないという特徴があります。
※エアコンの音など不要な生活音・ノイズを拾わないなどのメリットがあります

しかし、SM58よりもSM7Bの方が少し広い範囲の音を拾いやすくなっています。

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

上記画像は、左がSM7B、右がSM58の指向性を図にしたものです。

左側のSM7Bの方が、前方(画像の下側)に向かって広くグラフが広がっています。

つまり、SM7Bの方が少し左右に動いてもしっかり音を拾ってくれるということです。

SHURE SM7Bがラジオや動画配信に向いている理由

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

SM7Bが動画配信やポッドキャストで使われることが多いのは、これが理由の1つです。

基本的にはマイクに向かって話していますが、パソコンを操作するために少し横に動いたり、話す相手に顔を向けたり、姿勢を正そうとイスに座り直したりすることもあるでしょう。

このようなときも、SM7Bなら音が小さくなり過ぎずしっかり音を拾ってくれます。

ラジオや動画配信ではイスに長時間座って話すため、基本的にマイクは手に持たず、場所を固定していることが多いので、これは大きなポイントでしょう。

SHURE SM58が音楽ライブに向いている理由

SHURE SM58が音楽ライブに向いている理由は、音を拾う範囲が狭いからです。

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

SM7B(上記画像左)も単一指向性ですが、SM58(上記画像右)の方が音を拾う範囲が狭くなっています。

つまり、ノイズの拾いにくさで言えばSM58の方がよいでしょう。

例えば音楽ライブでは、観客の歓声やあらゆる楽器の音が会場に広がっています。

https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8

もしマイクがあらゆる方向からの音をすべてキャッチしてしまうと、すべての音がマイクを通して広がってしまいます。

そのため、SM58のように指向性の範囲が限定されている方が、そのマイクで一番拾いたい音だけを拾ってスピーカーから鳴らすことができます。

例えばボーカル用のマイクにSM58を使えば、マイクの真正面から入ってきたボーカルの音だけを拾うことができます。

ただし指向性の範囲が狭い分、常にマイクに対して真正面から歌う必要があるので、マイキングのテクニックは必要です。

SHURE SM58とSM7B、どちらがおすすめ?

ここまででご紹介した通り、SHURE SM58とSM7Bはどちらも特徴があり、魅力があるマイクです。

そのため、どちらを選んでも不正解ではありません。

しかし、どちらかと言うと「ボーカルやポッドキャスト用に使うならSM7B」「音楽ライブで使うならSM58」が向いているでしょう。

SHURE SM58とSM7Bを購入する

以上でSHURE SM58とSM7Bの比較解説は終了です。

当サイトでは他にもマイクの選び方について解説していますので、ぜひこちらもご覧ください↓

https://www.shure.com/en-US/insights/faq-whats-the-difference-between-the-sm58-and-the-sm57
https://www.youtube.com/watch?v=DPw0-UHq3f8
https://www.youtube.com/watch?v=DZKV7GfOSjo
https://www.youtube.com/watch?v=6CfeatnHj4M


人気記事

1

今回は、ジャンル・シチュエーション別に2025年のブラックフライデーで買っておきたいプラグインと機材をまとめました。多くのメーカーや通販サイトで大規模なセールが開催されていますので、お持ちでない製品があればぜひこの機会にGETしてください!

2

今回は「絶対に買って損しない、おすすめDTM音源・プラグイン」をまとめました。特に多くの音楽プロデューサーに愛用され、世界中でベストセラーになり、買っても絶対に損しないと思えるプラグインはかなり絞られます。ここでは初心者からプロまで使えて「これさえ買っておけば問題なし」と断言できる「世界で愛用されているおすすめDTM音源・プラグイン」をご紹介します。

LA2Aコンプレッサー 3

今回は「LA-2Aコンプレッサーの使い方」をまとめました。「有名なコンプレッサー」としてよく名前が挙げられるのが、Teletronix社の「LA-2A」です。なぜこのコンプレッサーは世界中のDTMerに愛されているのか、その魅力と使い方を解説していきます。

4

今回は、DTMで伝説と言われているEQの1つ「Pultec EQ」の魅力と使い方ついてまとめました。なぜこのEQが世界中で使われているのか、Universal Audio社のプラグインを使いながらその魅力と使い方をご紹介します。

5

今回は、MIX師やMIX初心者の方が持っておくと便利なおすすめのプラグインを3つご紹介します。プリセットを選ぶだけでプロレベルのサウンドにできる、まさに「5秒でMIXが終わるプラグイン」をご紹介します。

6

今回は、DTMでおすすめのオーケストラ系楽器がすべて使える音源をまとめました。1つ購入するだけで弦楽器・金管楽器・木管楽器・打楽器すべてが揃うだけでなく、世界中のプロが愛用する高品質の製品ばかりですので、まだお持ちでない方はぜひチェックしてみてください。

7

今回は、DTMでおすすめの民族楽器系音源・プラグインをまとめました。通常のポップスやオーケストラではあまり使われない楽器や、非常にニッチな国・地域特有の楽器が使える製品もまとめています。インド・中国・北欧・ケルト系・アラブ・ガムラン系など幅広くご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

8

今回は、DTMで使えるおすすめのボコーダープラグインを7つご紹介します。いずれもロボットのような声にできるのはもちろん、ハーモニー作成もできる万能プラグインで、アレンジでもミックスでも使えます。サウンドの質感やプリセット、操作方法がそれぞれ異なりますので、いくつか持っておくと理想のボーカルに仕上げやすくなります。

9

今回は、ユニークな音がすぐ作れるおすすめのマルチエフェクトプラグインを5つご紹介します。 いずれも1つのプラグインでさまざまなエフェクトが使えますので、1つ持っておくだけでもサウンドデザインの幅が広がります。 「何でもいいから何か変化を加えたい」というときにも効果的ですので、ぜひチェックしてみてください。

10

今回は「UAD社「Apollo Twin X」は高いけど買うべき10の理由」をまとめました。他社では2万円程度の製品がある中で、Apollo Twinは約10万~20万円です。この記事では、Apollo Twinは値段相応の価値があるのかについて解説します。

-REC機材