ミキシング初心者がやりがちな5つの間違い【海外プロ解説】
- 2019.10.10
- 2019.11.04
- ミキシング・マスタリング
- ミキシング, マスタリング

今回は、このようなお悩みをお持ちの方に役立つ内容です。
世界的に有名なプラグイン・ソフトウェアを開発するiZotope社が解説する「ミキシング初心者がやりがちな5つの間違い」をかんたんにまとめてみました。
5つの間違いによって起こる問題と、解決方法を合わせて紹介しています。
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間違いその1:加工しすぎる
初心者がやりがちな間違いの1つ目は、1つのトラックに対し、何重にも重ねてプラグインを追加するなど、加工しすぎることです。
初心者の方の中は、ネットでチュートリアル動画・解説記事などを見て学んでいる方がいるでしょう。
そしておそらく、解説者の人がこのようなやり方をしているのを見て、自分もそうしてしまうことがあると思います。
ここで大事なのは、その解説者の人は、どのプラグインがどのような目的で使われているかをきちんと把握しているということです。
初心者の方が同じことをしようとすると、プラグインを使う意図を把握しないままむやみに加工を繰り返してしまいかねません。
解決策
この間違いを避けるためには、「今やろうとしてる加工に関して正しい動きは何かをきちんと調べること」「新しい音づくりを実験してみる」が有効です。
ただし、ミキシングの段階でそういった実験をすると、ときにそれが害となってしまうことがあります。
そんなときは、iZotope社の「Neutron」を使うと、「やりすぎ」を防ぐことができます。
間違いその2:各トラックにReverbを使う
2つ目の間違いは「各トラックにReverbを使う」です。
よく初心者の方が、ほぼすべてのトラックに対してReverbを使うことを拒むところを見受けます。
しかし、こういった時間ベースのエフェクトを使うことには何の問題もありません。
ただしこの方法は、コンピューターに負荷をかけたり、濃すぎるサウンドにしてしまう原因にもなります。
解決策
「Reverbとは何か?」「そのトラックや楽曲全体において、このReverbはどんな効果をもたらすのだろうか?」ということを考えましょう。
また、1つの楽曲に対して使うReverbの数を4~5個に制限するとよいでしょう。
(もっと少なくてもOKです)
さらに、よりReverbを効果的に使うためにAux(Sendトラック)を利用しましょう。
これで、1つ1つのトラックに対してReverbプラグインを立ち上げる必要がなくなります。
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間違いその3:位相関係に気を配らない
3つ目の間違いは「位相関係に気を配らない」です。
2つのオーディオの信号が逆位相になっているかどうかを見極めるのは難しいですし、誰かが教えてくれるわけでもありません。
これは生ドラムやベースをレコーディングしたときによく発生します。
位相が不一致の状態だと、本来の音よりも音が痩せて聞こえたり、はっきり聞こえなくなったりします。
解決策
位相反転の機能を使って、位相反転させてみましょう。
(DAWによっては、位相反転の機能がついたプラグインが付属していることがあります。)
たとえばドラムのオーバーヘッドを、プラグインの位相反転ボタンを使って位相反転させてみます。
オーバーヘッド:部屋の奥側に設置するマイク。LとR、2つのマイクを置く。
このとき、位相反転させた方が音にまとまりがあったり、しっかりとした音になったりするかどうか確かめましょう。
ちなみにiZotope社のプラグインでは、NeutronとRelayに位相反転ボタンがついています。
この位相反転を2つのオーディオに対しいろいろな組み合わせで行なっていきましょう。
(たとえばオーディオAを位相反転させ、オーディオBは何もしない状態、など)
そして、どの組み合わせの時が低域・中低域がはっきり聞こえるようになるのかを確認します。
この確認には、メーター系プラグインなどを使ってもよいでしょう。
もっともメーターの値が高くなった状態=「位相が一致している状態」です。
オーディオデータをもらったら、まずは位相反転していないか確認することが大切です。
間違いその4:長時間Soloの状態で作業する
4つ目の間違いは「長時間トラックをSoloの状態にして作業する」です。
確かに、Soloにして聞いた方がトラックをより鮮明に、正確に聞くことができます。
ネットにあるミキシングのチュートリアルなどでも、有名なエンジニアが「Soloにして確認しましょう」と言っているのを見受けますが…
彼らは、Soloにして聞くときの注意点を述べていないことがあります。
全体像を見失いやすいため、トラックをSoloにしながらミキシングを進めていくのは一般的にはよくないです。
解決策(Soloにするタイミングは?)
音の問題のある部分に、一時的に目を向ける場合はSoloにした方が適切です。
また、バランスを整えるためにグループをSoloにして聞くのも問題ありません。
(グループ=Vocal系トラックのグループ、Bass系のトラックのグループなど)
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間違いその5:高音と低音をたくさん足す
最後、5つ目の間違いは「高音と低音を足しすぎる」です。
これは、やりすぎると耳の疲労にもつながったり、スピーカーシステムがうまく動作しない原因にもなります。
たとえば低域を不必要にブーストすると、音が誇張されるようなヘッドフォンやスピーカーで再生されたとき、音が歪んでしまうことがあります。
(この「音が誇張されるような製品」というのは、人気ブランドにもあります)
また、低音が出すぎているせいで高音域すらもマスキングされて聞こえにくくなってしまうのです。
解決策
iZotope社の「Tonal Balance Control」などをMasterに挿して、全体の周波数バランスをチェックしましょう。
似た曲を参考曲としてプロジェクトに取り込み、同じようなミックスバランスになるようにしてもよいですね。
まとめ
今回の内容をまとめると、このようになります。
間違いその1:加工しすぎる
間違いその2:各トラックにReverbを使う
間違いその3:位相関係に気を配らない
間違いその4:長時間Soloの状態で作業する
間違いその5:高音と低音をたくさん足す
また、過去には別のエンジニアが解説する「ネットで見つけたよくないミキシングの方法10選」をまとめています。
非常にためになる内容ですので、こちらも合わせてご覧ください。
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