普段よく聞いているポップスの曲をかっこよくリハーモナイズしてみたいけど、どうやったらできる?
今回はこのような疑問にお答えする内容です。
ベーシストであり、数々の音楽理論の解説動画をアップしているAdam Neelyが解説する「ジャズフュージョンスタイルのリハーモナイズ」まとめました。
この記事では、解説者であるAdamが実際に行った「ポップスの楽曲をジャズフュージョンスタイルにリハーモナイズする方法」のうち、以下についてご紹介します。
・テンションを入れる
・セブンスコードを使ったサイクル5ルートモーション
・トライトーン・サブスティテューション
ジャズフュージョン リハモシリーズ
Part1:ダイアトニック・リハーモナイゼーション、ノンサイクリックコードとサイクリックコードハーモニックリズム
Part2:テンションを入れる方法、セブンスコードを使ったサイクル5ルートモーション、トライトーン・サブスティテューション
Part3:リハーモナイズにおけるメロディーとコードの関係、クロマティックにリハーモナイズ、リハーモナイズにおけるコードの選び方、ミラーコード、マルチ・トニックシステム、十二音技法
※このシリーズでは、エド・シーランの「Shape of You」をDmキーでリハーモナイズしていく方法をご紹介しています。
手っ取り早くジャズっぽくアレンジする方法
まず、手っ取り早く曲をジャズっぽくするには「テンションを入れる」という方法が有効です。
画像:動画より
Dm Gm - Bb C
このように、通常のトライアドでできているコード進行に7thや9th、11th、13thなどのテンションの音を入れるだけでOKです。
7thをテンションとして入れる場合
Dm7 Gm7 - DbM7 C7
画像:動画より
9thをテンションとして入れる場合
Dm9 Gm9 - BbM9 C9
画像:動画より
11thをテンションとして入れる場合
Dm11 Gm11 - BbM9(#11) C11
画像:動画より
13thをテンションとして入れる場合
Dm11(b13) Gm13 - BbM13(#11) C13(sus4)
画像:動画より
このようにすると、原曲のコード進行とは大きくかけ離れることなく、ジャズらしい雰囲気にすることができます。
組み合わせて使うと、このようになります。
画像:動画より
セブンスコードを使ったサイクル5ルートモーションを利用する
よりジャズらしい響きにしたい場合は、「セブンスコードを使ったサイクル5ルートモーション」を使うのがよいでしょう。
セブンスコードを使ったサイクル5ルートモーションとは?
セブンスコードを使ったサイクル5ルートモーションとは、五度圏の考え方を使った考え方で、単純にコード進行を5度ずつ下げる/上げる+そのダイアトニックコードにセブンスを足す方法です。
ジャズでよく使われるので、これを使うだけでもジャズらしくなります。
画像:五度圏(https://dn-voice.info/music-theory/godoken/より)
上記の五度圏の画像を見ると、右に一つズレると音が5度ずつ上がり、左に一つズレると音が5度ずつ下がっていることがわかります。
これを利用し、たとえば「Gm7 C7 - FM7 BbM7」のようにします。
画像:動画より
Gm7 C7 - FM7 BbM7
Em7(b5) A7 - Dm7 - Dm6
トライトーン・サブスティテューションとは?
ジャズらしいサウンドにする別の方法として、「トライトーンサブスティテューションをパッシングコードとして使う」が挙げられます。
ルート音をベースとして、トライトーンを目的のコードのレラティブドミナント5thコードから離して使う、というものです。
…と言ってもわかりにくいと思うので、例を見ていきましょう。
トライトーン・サブスティテューションの入れ方
たとえばターゲットコード(次にメインになるコード)をFメジャーコードにする場合、FメジャーコードのドミナントセブンスコードはC7です。
そのため、まずはFメジャーコードの1小節前・1拍目に、C7コードを置きます。
画像:動画より
次に、C7の「C」から見てトライトーンとなる音のセブンスコードを、C7の次に入れます。
トライトーンとは、半音6つ分離れた音を指します。
CのトライトーンはGbですので、Gb7をFとC7の間に入れます。
画像:動画より
ターゲットコードの半音上のコード
ここで使ったトライトーンは、ターゲットコードの半音上の音になります。
今回の場合、Gb7をトライトーン・サブステューション、Fをターゲットコードとしていますが、GbとFは半音違いです。
この半音移動の響きが、より面白いかつスムーズなコード進行になるのです。
それでは、実際の例を見てみましょう。
Gm C7 - FM7 B7 Bbm7
Em7(b5) Bb7 A7 Eb7 - Dm7 Dm6
画像:動画より
かなりジャズっぽい響きになりました!
実は、リハモで使えるテクニックはまだまだあります。
知れば知るほど面白くなってきますので、ぜひトライしてみてください。