
今回は、Fabfilter社「Pro-L2」をクリッパーとして使う方法をまとめました。
Pro-L2はリミッターとして非常に有名ですが、設定を工夫することでクリッパーに近いサウンドを作ることもできます。
本記事では、リミッターとクリッパーの違いと、Pro-L2をクリッパーのように使う設定をご紹介します。
そもそもリミッターとクリッパーの違いは何か?
リミッターは「一定以上にならないように音量を滑らかに抑える」のに対し、クリッパーは「一定以上になった部分をそのままカットする」のが大きな違いです。

https://www.soundonsound.com/sound-advice/q-there-difference-between-clipping-and-limiting
リミッターは元の波形(Original Signal)の形状をできるだけ保ったまま=曲線を維持したままピークを滑らかに抑えているのに対し、クリッパーははみ出た部分をバッサリカットしているので、波形の先がやや四角のようになっています。
クリッパーはリミッターのように滑らかに抑えるのではなく、ピークをより直接的に切り詰めるような動作をします。
この際にカットした部分にパキッとした程よいディストーションがかかり、パンチや存在感のある音になることがあります。
一方で、リミッターは元の音のニュアンスをなるべく変えずに音圧を高める目的で使われることが多いです。
Fabfilter Pro-L2をクリッパーとして使う方法
Pro-L2はリミッタープラグインで、明確に「クリッパーモード」が存在するわけではありません。
しかし、設定を工夫するとクリッパーのような動作をさせることができます。
ポイント
アタックを最遅、リリースを最速にする

よりクリーンな音にしたい場合は、オーバーサンプリングモードを使用したり、Output Levelを-1.0dBTPに設定したり、Look Aheadを少し大きくするのがおすすめです。
(使用後のノイズを減らすことができます)
なぜこの設定にするとクリッパーのような効果が得られるのか?

アタックを遅くすると、リミッターのエンベロープ(音量調整)が動作する反応速度が遅くなります。
アタックを長くすると、リミッターが十分なゲインリダクションを行うまでに時間がかかります。
そのため、10s(10秒)のように極端に長く設定すると、瞬間的なピークに対してはエンベロープによる音量調整がほとんど間に合わなくなります。
それではエンベロープの段階をすり抜けてスレッショルドを超えた大きな音はどうなるのかと言うと、最終的には出力が設定した上限を超えないよう強制的に制限されます。
エンベロープを使えば自然に音量を抑えることができますが、アタックが遅いせいでエンベロープが適用されません。
しかし、リミッターは「音を限界値まで絶対に越えさせない」というルールに沿って動くプラグインなので、最終的には強制的に音を制限して限界を超えないようにしています。
この「エンベロープを使って音量調整できなかった部分を、最終的に制限する」という動作によって、クリッパーと近いサウンドを得ることができます。
Fabfilter社「Pro-L2」は視覚情報に囚われすぎないことが大事

Pro-L2はとても見やすいデザインが特徴的で、波形に赤い部分があると「たくさんリミッティングされているんだな」ということがわかります。
しかし、「赤い部分が多すぎる」と感じれば「やりすぎで良くない」というイメージになりやすく、「赤い部分が少なすぎる」と感じれば「ちゃんと効果が得られていない」と感じやすくなるデメリットもあります。
赤い部分が多すぎるからと言ってダメということでもなければ、少なすぎるからと言って「ちゃんと効果が出ていない」というわけでもありません。
特に今回のようにクリッパー的な使い方をする場合は、ほんの一瞬だけ動作するので赤い部分がかなり少ないように感じられるかもしれません。
大切なのは視覚情報ではなく聴覚情報ですので、バイパスやA/B比較などを使いながら、自分が欲しい効果が得られているかをチェックしてみてください。
Fabfilter Pro-L2を使ってクリエイティブなディストーションサウンドを作る方法
この方法はサウンドデザインにも応用することができます。
クリッパー的なディストーションを利用すれば、音圧を上げるだけでなくユニークな音作りにも活用できます。
例えば、下記の動画ではPro-L2のアタックを遅くすることにより、ベースにディストーションを加えています。
リミッターとクリッパー、どちらを先に使うべきか?
リミッターとクリッパーは、ミックスBusやマスタリングなどで使われることが多いです。
一般的には、クリッパーを先に使用するケースが多いと言われています。
※目指すサウンドによっては順番が逆になるケースもあります。
- クリッパーを不要なピーク(突発的に音が大きくなった部分)を削って音を程よくフラットにするために使用する
- クリッパーのおかげで波形がある程度フラットになっているので、特定の箇所だけにリミッターが強くかかりすぎずに音圧を上げることができる
詳しくはこちらの記事で解説しています🔻
おすすめのクリッパープラグイン
最後に、Pro-L2も含めておすすめのクリッパープラグインをご紹介します。
Fabfilter社「Pro-L2」
使い方解説記事はこちら🔻
iZotope社「Ozone」シリーズ
マスタリングで有名なプラグインですが、Soft Clip機能が搭載されています。
初心者の方は「Elements」、中級者以上の方は「Standard」か「Advanced」をおすすめします。
Softube社「Clipper」
IK Multimedia社「Classic T-RackS Clipper」
音圧を上げるのにおすすめのテクニック集
クリッパーを使う以外にも、音圧を上げる方法はたくさんあります!
詳しくはこちらをご覧ください🔻





