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【DTM】1176コンプレッサーはなぜおすすめ?魅力と使い方を解説!

今回は「1176コンプレッサーの使い方」をまとめました。

「有名なコンプレッサー」としてよく名前が挙げられる製品の1つが「1176コンプレッサー」です。

この記事では、なぜこのコンプレッサーは世界中のDTMerに愛されているのか、その魅力と使い方を解説していきます。

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw
https://www.youtube.com/watch?v=ouYQ84thM5c
https://www.youtube.com/watch?v=K_r5AGkihYg

1176コンプレッサーとは?

https://www.uaudio.jp/hardware/1176ln.html

1176コンプレッサーとは、UREI社が開発し、1967年に発売されてから現在まで多くのミュージシャンに愛されてきたFETタイプのコンプレッサーです。

多くのプロ用音楽スタジオでも使われていたため、世界中の数々の名曲でこの1176コンプレッサーが使われてきました。 

「伝説のコンプレッサー」と言われるほどの人気であり、実機(ハードウェア)だけでなく、この1176コンプレッサーをエミュレートしたプラグインもたくさん販売されています。
※おすすめの1176系プラグインはこの記事の最後にご紹介します

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw

例えば、ドラムに使うとこのようなサウンドになります。

0:03~0:15

The MAGIC of the 1176 Compressor: How to use it...

1176コンプレッサーの魅力5つ

1176コンプレッサーの魅力は、大きく分けて5つあります。

  • FETタイプでパンチのある音が出る
  • アタックがとても速い
  • RATIOを変えるだけでリミッティングもできる
  • 強いコンプレッションがかかってもナチュラル
  • さまざまなバージョンの使い分けができる

それではここからは、1176コンプレッサーの特徴や使い方について詳しく解説していきます。

FETタイプのコンプレッサーの特徴とは?

1176コンプレッサーをはじめ、FETタイプのコンプレッサーは「速く動く」「強く動く」というのが特徴です。

そのため「とてもアグレッシブで」「カリっとした」「パンチのある」サウンドにすることができます。

具体的な数字を挙げると、1176コンプレッサーのアタックは20~800μs(マイクロ秒)です。

他のコンプレッサーではミリ秒(ms)単位であることが多いので、マイクロ秒単位で動作するのは非常に速いと言えます。
※1マイクロ秒= 0.000001秒

リリースは50~1100ms(ミリ秒)で、こちらは他のコンプレッサーと大きな差はありません。

1176コンプレッサーの各パラメーターと使い方

1176コンプレッサーで使われるパラメーターは、主に5つあります。

https://www.uaudio.jp/hardware/1176ln.html

・INPUT(入力レベル)
・OUTPUT(出力レベル)
・ATTACK(アタック)
・RELEASE(リリース)
・RATIO(レシオ)

他のコンプレッサーに見慣れている人は、「スレッショルドがない」「INPUTがある」という2つの点を不思議だと感じるかもしれません。

実は、この2つのポイントが1176コンプレッサーを特徴づけているのです。

1176コンプレッサーにはスレッショルドがない

コンプレッサーは「出過ぎた音を抑える」というのが基本的な動きなので、多くのコンプレッサーにはスレッショルド(THRESHOLD)と呼ばれるパラメーターがあります。

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw

スレッショルドは「これよりも大きい音が出たら音量を抑えてください」という基準になります。

しかし、1176コンプレッサーにはこのスレッショルドがありません。

これは、1176コンプレッサーではすでにスレッショルドが決まっている=固定されているからです。

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw

そのため、1176コンプレッサーでは「スレッショルドを下げて出過ぎた音かどうかを決める」のではなく、「INPUTレベルを上げることで出過ぎた音かどうかを決めている」ということになります。

INPUTレベル(入力レベル)を上げることで最初から決まっているスレッショルドに到達・超過させ、INPUTレベルをあげたことでスレッショルドを超えた音にコンプレッションをしていきます。

つまり、INPUTを上げるほどスレッショルドを超えやすくなるため、コンプレッションがかかりやすくなります。

しかし、INPUTを上げると全体の音量も大きくなったように感じることがあります。

そのため、INPUTを上げた後はOUTPUTを調整して、コンプレッション前後で音量差がないように調整するとよいでしょう。

1176コンプレッサーはアタックとリリースの数字が逆転する

多くのコンプレッサーには「アタック(ATTACK)」「リリース(RELEASE)と呼ばれるパラメーターがあります。

アタックは、スレッショルドを超えた音を検知した後に、どれだけ速くコンプレッサーをかけ始めるかを決める数字です。

リリースは、スレッショルドを超えた音がスレッショルドを下回り始めた後に、どれだけ長くコンプレッサーをかけつづけるかを決める数字です。

多くのコンプレッサーでは数字が小さいほど=ツマミを左に回すほど「アタックが速い」「リリースが速い」という設定になりますが、1176コンプレッサーでは「ツマミを左に回すほど遅い」という設定になります。

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw

上の画像は左に振り切っているので「アタックが遅い」設定です。

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw

上の画像は右に振り切っているので「アタックが速い」設定です。

リリースも同じで、左に回すほど「リリースが遅い」、右に回すほど「リリースが速い」という設定になります。

例えばアタックが速すぎると、特に低音域でディストーションが発生してしまうことがあります。

このときは、アタックを少しだけ遅めにするとディストーションを回避しやすくなります。

アタックを遅くしてディストーションを減らす例 7:18~8:03

Which 1176 is BEST? (for you)

RATIO(レシオ)は4段階+2つのモード

1176コンプレッサーは、4段階のRATIO(レシオ)を選択できます。

このうち比率の低い方は「コンプレッション」が、比率の高い方は「リミッティング」が行われます。

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw

コンプレッションモード

・4:1
・8:1

リミッティングモード

・12:1
・20:1

なぜ「コンプレッション」と「リミッティング」が分かれている?

それで、なぜRATIOの値によって「コンプレッション」と「リミッティング」が分かれているのでしょうか?

そもそも、このRATIOの値は「スレッショルドを超えた音を、何分の1の音量に抑えるか」を決める値です。

https://www.masteringthemix.com/blogs/learn/what-is-audio-compression

例えばRATIOが「2:1」であれば「出過ぎた音を半分にする」ということになります。
※スレッショルドを1dB超えていたら、0.5dBになるまで抑えます

12:1や20:1だと、スレッショルドに限りなく近い音量まで抑えることになります。

これだと、もはや「スレッショルド以上の音は出させない」ぐらいの強いコンプレッションになります。

つまり、リミッティング(絶対にこの音量以上は出させない)と同じ程度になるので、高い比率のRATIOは「リミッティング」されるようになっています。

そのため、12:1や20:1のときは「リミッティングモード」になり、4:1や8:1のときよりもスレッショルドが高い位置(より大きい音量)まで引き上げられます。

リミッティングモードにすると、クリッピング(音割れ)しないと程度まで音量を抑えることができます。

メーター表示の変更(METER)とバイパス切り替え

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw

「METER」の欄では、メーターに表示する内容を切り替えることができます。

GR:Gain Reductionを表示する
+4:メーターの0 = +4dB相当
+8:メーターの0 = +8dB相当
OFF:プラグインをOFFにする(バイパスにする)

UAD社バージョンではHRとMIXの調整もできる

UAD社が開発したプラグインバージョンの1176コンプレッサーでは、これに加えて「HR」と「MIX」の設定があります。

HR

ヘッドルームの量を調整する
マイナスにするとヘッドルームの量が減り、INPUTレベルが低くてもコンプレッションがかかり始める
プラスにするとヘッドルームの量が増え、INPUTレベルをある程度大きくしないとコンプレッションがかからなくなる

MIX

DryとWetの割合を調整する(コンプレッションがかかった音とかかっていない音の割合)
1176はアグレッシブなコンプレッションが得意なため、MIXを調整して音に程よいパンチや厚みを加えやすくなっている


ヘッドルームが少ないと、INPUTを少し上げただけでコンプレッションがかかるようになります。

HRの調整例 17:28〜17:37

Which 1176 is BEST? (for you)

「OFF」にしてコンプレッションはせずカラーだけ付け足すこともできる

UAD社のプラグイン版では、ATTACKのパラメーターの下にある「OFF」を選択すると、コンプレッションがかからなくなります。

https://youtu.be/ouYQ84thM5c?si=5VVd4DQgGngNXKxU

1176は使うだけで程よいディストーション=カラーを付け加えることができるため、コンプレッションはしたくないけれど1176独特の音が欲しいというときはOFFにするとよいでしょう。

ディテクターにローカットフィルターをかけて余分なコンプレッションを防ぐ

https://youtu.be/ouYQ84thM5c?si=5VVd4DQgGngNXKxU

RELEASEのパラメーターの下にあるスラッシュ「/」をクリックすると、ディテクターにローカットフィルターをかけることができます。
(実際に聞こえる音にローカットフィルターがかかるわけではありません)

低音域の音量を考慮してコンプレッションがかからなくなるため、バスドラムやベースなど、低音域の楽器の音量に左右されにくくなります。

例えば、バスドラムが鳴っているときだけコンプレッションが強くかかる、などを防ぐことができます。

1176で高レシオを選ぶときはINPUTの量に注意

1176を使っていると、レシオを高くしているのにVUメーター上のゲインリダクション量がどんどん小さくなっていくことがあります。

例えば4:1に設定しているときよりも、20:1のときの方がゲインリダクションが小さくなることがあります。

高レシオの方がゲインリダクションが小さくなる例 12:09~12:56

This 1176 compressor has a SECRET! Do you know it?

これはバグなのではないかと思うかもしれませんが、実はバグではありません。

https://www.youtube.com/watch?v=K_r5AGkihYg

オリジナル版(ハードウェア版)のマニュアルを見ると、「高いレシオを選ぶとスレッショルドのレベルが上がるように設計されている」と記載されています。

つまり、レシオを高くするとスレッショルドも自動的に上がるように設計されているので、INPUTを増やさないとコンプレッサーがかかりにくくなっています。

レシオを高くしたときにあまりコンプレッションがかかっていないように感じたら、ぜひゲインリダクション量を確認してINPUTの量を調整してみてください。

1176コンプレッサーのオールボタンモードを活用しよう

1176は、ハードウェア(実機)の時代からオールボタンモードが使われていました。

これはRATIOのボタンをすべてONにするテクニックです。

例えばUniversal Audio社のプラグイン版1176では、シフトボタンを押しながらRATIOのボタンをクリックするとすべてのボタンをONにすることができます。

オールボタンモードにすると、非常に強いコンプレッションやディストーションをかけることができます。

ベースにオールボタンモードを使う例 9:17~9:34 

Which 1176 is BEST? (for you)

オールボタンモードにすると楽器の存在感がUPし、音が太くしっかり前に出て聞こえるようになります。

そのため、アグレッシブなサウンドが欲しいときや、ボーカルが目の前で張り付いているように聞かせたいときなどに便利です。

ちなみに、ボタンは2つだけ・3つだけ押すことも可能です。

それぞれ異なるキャラクターがありますので、ぜひお気に入りの組み合わせを見つけてみてください。

ボタンの組み合わせを変える例 10:06~10:16

Which 1176 is BEST? (for you)

レシオが20:1になると、全体の音量が小さくなったように聞こえることがあります。

このようなときは、OUTPUTを少し上げて最終的な音量を調性するとよいでしょう。
(OUTPUTはコンプレッサーをかけた後の音に対して適用されるので、OUTPUTを上げたからと言ってますますコンプレッサーがかかりやすくなることはありません。コンプレッサーをかかりやすくするにはINPUTの方を調整します。)

ボーカルに1176コンプレッサーを使ってみよう

それでは、ボーカルに1176コンプレッサーを使った音を聞いてみましょう。

今回はUAD社の1176系コンプレッサープラグイン「UA 1176」を使います。

画面に「BYPASSED」と表示されている間は、コンプレッサーをOFFにしている状態です。

4:00~4:41

The MAGIC of the 1176 Compressor: How to use it...

アタックが速いおかげで、出過ぎた音がしっかり抑えられ、ボーカル全体が前に出てくるようなサウンドになりました。

それでは、今度はアタックのパラメーターを調整しながら聞いてみましょう。

5:10~5:24

The MAGIC of the 1176 Compressor: How to use it...

アタックを非常に速くして(ツマミを右に動かして)も、音量が出過ぎている部分だけがしっかり抑えられ、いかにも「コンプレッサーをかけました」という人工的な違和感はありません。

メーターは「GR」に設定しているので、メーターにはゲインリダクションが表示されるようになっています。

このメーターを見ると、ゲインリダクションの量がとても多い=とても強くコンプレッションがかかっていることがわかりますが、コンプレッサーがかかりすぎている音のようには聞こえません。

とてもナチュラルにトランジェント(音の立ち上がりの部分)だけが取れています。

それでは、今度はStam Audio Engineering社の1176系コンプレッサー「SA-76D+」を使ってみます。

こちらは実機(ハードウェア)版です。

5:43~6:35

The MAGIC of the 1176 Compressor: How to use it...

ボーカルにおすすめの設定

1176コンプレッサーをボーカルに使うとき、はじめは以下のような設定で使い始めるのがおすすめです。

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw

INPUT小さめ
大きくすると、スレッショルドを大きく超えてコンプレッサーがかかりすぎてしまうため

アタック遅め・リリース速め
次の音にもコンプレッサーがかかってしまわないように、リリースは速めにする

RATIOは小さめ(4:1)
出過ぎた音を整える程度にしたいときは、小さめの比率にする

1176コンプレッサーの場合、「アタックが遅め」と言っても他のコンプレッサーよりは圧倒的に速いマイクロ秒単位の動作になりますので、アタックが遅めでも十分「速い」設定になります。

1176はボーカルを埋もれさせずしっかり前に出すときに有効

1176はとても速く動作するため、出過ぎた音をしっかり抑えるのが得意です。

そのため、音量差が激しくダイナミクスレンジが大きすぎている楽器に使うと、音量バランスが整えられ、常に前にしっかり出ているように聴かせることができます。

例えばこちらのボーカルをお聴きください。

7:01~7:210

This 1176 compressor has a SECRET! Do you know it?

メインボーカルがバッキングボーカルに埋もれてしまっているように聞こえます。

メインボーカルの音量差が激しいので、ちゃんと聞こえる音もあればそうでない音もあるような状態です。

こんなときに1176を使うと、ボーカルの出過ぎた音(トランジェント)をしっかり抑えることができるので、常にボーカルが前に出て聞こえやすくなります。
(アタックとリリースをそれぞれ速く設定しておくのがおすすめです)

8:10~8:30

This 1176 compressor has a SECRET! Do you know it?

ちなみにレシオを20:1にすると、さらに音量を抑えることができます。

レシオを20:1にした例 9:00~9:16

This 1176 compressor has a SECRET! Do you know it?

1176コンプレッサーのおすすめの使い方「1個目のコンプレッサーとして使う」

楽器を問わず、1176コンプレッサーにおすすめの使い方はこちらです。

おすすめの使い方

  • 最初に1176コンプレッサーを使う
    キツいトランジェント(ピーク)を最初に抑え、聞きやすい音量に整える
  • 2つ目のコンプレッサーで、音量全体を持ち上げる
    音がより前に出てくるような印象になる

このとき、2つ目のコンプレッサーとして1176コンプレッサーを使うのもよいでしょう。

この場合は、以下のような設定がおすすめです。

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw

・INPUT小さめ
・アタックとリリースは最速
・RATIOは大きめ(20:1)

こうすると、RATIOを20:1にしているのでリミッティングモードになり、大きすぎる音がしっかり抑えられ、小さい音と大きな音の差が縮まり、結果的に音全体が持ち上がったような印象になります。

さまざまな1176のバージョンを使い分けよう

1176コンプレッサーには全部で5種類があり、特に人気なのはこちらバージョンです。

Rev E “Blackface”

https://www.uaudio.jp/hardware/1176ln.html

・黒地
・クリーンでナチュラル
・今回の解説で使ったバージョン

Rev A “Bluestripe”

https://www.uaudio.jp/blog/analog-obsession-1176-history/

・白地+メーター部分が青色
・明るい+アグレッシブ
・サチュレーションで中音域が目立つ
・強めのボーカルにしたいときにおすすめ

Rev G and H "Silver Face"

https://vintageking.com/urei-universal-audio-1176ln-compressor-limiter

・新しいアンプ(OPアンプ)を採用
・よりクリーンなサウンド

AE”Anniversary Edition”

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw

・黒地+メーター部分が青色
・見た目も中身もBlue StripeとBlack Faceを組み合わせているようなモデル
・AEは「Anniversary Edition」の略で、ハードウェアで限定モデルとして2008年にリリースされたバージョン
(数百台しか生産されていない貴重なモデル)
・RATIOで「2:1」が使える
(やさしく音量を整えたいときにおすすめ) 
・アタックで「SLO」を設定できる
(アタックが10ms以上になる)

AEをドラムに使った例(9:08~9:39)

The MAGIC of the 1176 Compressor: How to use it...

アタックが速すぎるとトランジェントがすべてなくなってしまいますが、SLOにすることでパンチも重みもUPすることができます。

AEでアタックとリリースを最速+RATIOを8:1にした例 10:02~10:25

The MAGIC of the 1176 Compressor: How to use it...

特にハイハットの演奏のニュアンスが細かに伝わるようになりました。

UAD社のプラグインバージョンのAEではRATIOのスイッチを全てONにできる

ちなみにUADのプラグインバージョンのAEでは、Shiftキーを押しながらクリックするとRATIOのスイッチを全てONにすることができます。

11:17~12:19

The MAGIC of the 1176 Compressor: How to use it...

とても強いコンプレッションがかかり、サチュレーションもより多く得ることができるので、独特の歪みを得ることができます。

さらにMIXのパラメーターがあるので、この強く歪んだ音と元の音をブレンドすることで、程よくパンチの効いた音にすることもできます。

UAD社のプラグインバージョンのRev AではアタックをOFFにできる

https://www.youtube.com/watch?v=N39epYqDfGw

UAD社のプラグインバージョンのRev Aでは、アタックをOFFにすることができます。

OFFにするとコンプレッションがかからなくなるので、「1176コンプレッサーを使ったときの独特のサチュレーションだけが欲しい」というときにおすすめです。

この場合は、アタックをOFFにした上でINPUTとOUTPUTのレベルを調整します。

INPUTを多め、OUTPUTを少なめにするとこのように音を歪ませることができます。

12:55~13:13

The MAGIC of the 1176 Compressor: How to use it...

1176コンプレッサーのリリースは常に変わる?

1176コンプレッサーは「Program Dependent Release」と呼ばれるシステムを採用しており、実際に処理をする音によってリリースタイムが変わるようになっています。

例えばスネアドラムは「パンッ」と短く演奏されることが多いため、リリースも少し速くなります。

逆に、エレキベースやキーボードなどで「ボーン」と長く鳴らしているときは、リリースが遅くなります。

このリリースタイムの調整の仕方も、Blue StripeとBlack Faceでそれぞれ異なります。

Blue Stripeの方が速く動作しやすいため、よりパンピングエフェクト(音量がグンと上がったり下がったりする現象)が強く出る傾向になります。

Black Faceの方がよりゆっくり動作しやすいため、Blue Stripeよりもパンピングエフェクトが少ない傾向にあります。

おすすめの1176系コンプレッサープラグイン

最後に、おすすめの1176系コンプレッサープラグインをご紹介します。

UAD社「1176 Limiter Collection」

UA 1176 Classic Limiter Plug-In Collection | UAD Quick Tips

1176系プラグインの中でも最も有名な製品の1つです。

単体でも購入できますが、よりお得に購入したい方はPlugin Boutiqueで販売されている「Producer Edition」をおすすめします。
※同じく伝説の名機とされるLA-2AやPultec EQのプラグイン版も収録されています

関連記事

Wave社「CLA Classic Compressors」

エンジニアの巨匠・Chris Lord-Algeが開発に携わったプラグインバンドルです。

このバンドルに収録されている「CLA-76 Compressor / Limiter」が、1176をモデルとしたコンプレッサーです。

別記事で紹介している「LA-2A」をモデルにしたコンプレッサーも収録されていますので、単体で購入するよりもこちらのバンドルを購入した方がお得です。

1176コンプレッサーはなぜおすすめ?魅力と使い方を解説まとめ

以上が1176コンプレッサーをおすすめする理由・魅力・使い方でした。

1.FETタイプでパンチのある音が出る
すべての楽器に使えるオールラウンダー

2.アタックがとても速い
20~800μs(マイクロ秒)まで対応

3.RATIOを変えるだけでリミッティングもできる
音を抑えることも、全体を持ち上げることもできる

4.強いコンプレッションがかかってもナチュラル
自然に音量を整えられる

5.さまざまなバージョンの使い分けができる
「Blackfabe」「Bluestripe」「AE」など全部で5種類
AEではコンプレッサーをかけずサチュレーションを強くかけることも可能

当サイトでは他にも音楽制作における名機についてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


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