アレンジ・打ち込み

DTMでブラス(金管楽器)の打ち込みをリアルにする方法5つ

Your MIDI Horns Don’t Sound Real (How to Fix it)

今回は、音楽プロデューサーのxJ-Willが解説する「あなたの打ち込みブラスがリアルに聞こえない理由」をまとめました。

ブラス(金管楽器)はジャンルを問わず使われますが、いざ打ち込みをしようとするとリアルに聞かせるのが難しい楽器です。

この記事では、どのようにすればブラスが本物のように聞こえるようになるのか、そのコツを5つ解説します。

ブラス(金管楽器)の打ち込みをリアルにする方法5つ

ブラス(金管楽器)の打ち込みをリアルにするコツは、こちらの5つです。

打ち込みをリアルにする方法5つ

  • レイヤーする
  • アーティキュレーションを変える
  • ステレオワイドニングツールを活用する
  • エクスプレッションとダイナミクスを調整する
  • リバーブを使う

これらのコツを使うと、安っぽいブラスもリアルで迫力のあるブラスに変身させることができます。

打ち込みBefore/After 4:30~4:43

Your MIDI Horns Don’t Sound Real (How to Fix it)

今回は、Bruno Marsのヒット曲「Uptown Funk」のサビに出てくるブラスセクションを再現しながら、これらのコツを1つずつ解説していきます。

Mark Ronson - Uptown Funk (Official Video) ft. Bruno Mars

ブラス打ち込みのコツ1.レイヤーする

ブラスを打ち込むときは、単音(1パートのみ)ではなく、たくさん重ねてレイヤーすることが大切です。

https://youtu.be/RayjiChQU_8?si=Kegn-YcmCNBdQ0xs

例えば、Native Instruments社の「Session Horns」を使ったこちらのトランペットの音をお聞きください。

0:29~0:34

Your MIDI Horns Don’t Sound Real (How to Fix it)

機械的で、とてもつまらないサウンドになっています。

ちなみにMIDIはこのように打ち込んでいます。

https://youtu.be/RayjiChQU_8?si=Kegn-YcmCNBdQ0xs

なぜこんなにリアルに聞こえないのかと言うと、まず挙げられるのは「レイヤーをしていないから」です。

そのため、たくさん音源を重ねていきます。

https://youtu.be/RayjiChQU_8?si=Kegn-YcmCNBdQ0xs

今回は、Native Instruments社「Session Horns」のトランペットパートに加え、Big Fish Audio社「Vintage Horns2」、Orchestra Tools社「Glory Days」の音源を重ねています。
こちらのブラス音源のリンクは、記事の最後にまとめて記載しています

Burno Marsの「Uptown Funk」のようなサウンドにしたいのであれば、最低でもトランペット2本、サックス1本、トロンボーン2本があるとよいでしょう。
トロンボーンのように音程が低い楽器は、1本だと聞こえにくいので2本以上あると聞こえやすくなります

MIDIを一切変えずに、音源をレイヤーするだけでサウンドに変わります。

レイヤーのBefore/After 1:17~1:25

Your MIDI Horns Don’t Sound Real (How to Fix it)

音源をレイヤーしただけで、大きく変わりました。

しかし、これではまだ「Uptown Funk」のようには聞こえません。

ブラス打ち込みのコツ2.アーティキュレーションを変える

Bruno Marsの「Uptown Funk」のサビを聴くと、ブラスはもっとタイトではっきり聞こえます。

「Uptown Funk」のサビ 1:27~1:32

Your MIDI Horns Don’t Sound Real (How to Fix it)

そこで、ブラスをレイヤーをしたあとはアーティキュレーションを調整します。

ブラス音源では「レガート」「スタッカート」などアーティキュレーションを変更できることが多いので、キースイッチ機能などを使いながら変更します。
音源によってアーティキュレーションの調整方法は異なります。
ご不明の方は「音源名 アーティキュレーション」などで検索してみましょう。

必要であれば、オクターブ上下のレイヤーも足してもOKです。

アーティキュレーションと新しいレイヤーを調整する流れ 1:40~2:20

Your MIDI Horns Don’t Sound Real (How to Fix it)

キースイッチを使ってブラスのアーティキュレーションを変えるコツ

音源によっては、MIDIを使ってアーティキュレーションを変更できるキースイッチ機能が搭載されていることがあります。
「C0を同時に打ち込むとレガート」「D1を同時に打ち込むとスタッカート」など

基本的には鍵盤のうち非常に低い音域か、非常に高い音域を使うことが多いです。

このとき、1音1音のアーティキュレーションをしっかり操作したいのであれば、打ち込んだMIDIノートをそのままコピペして使うと便利です。

https://youtu.be/RayjiChQU_8?si=Kegn-YcmCNBdQ0xs

音を鳴らすためのMIDIノートをそのままコピペして使えば、キースイッチ用に新しくMIDIを打ち込み直さずに済みます。

レイヤー&アーティキュレーションのBefore After 2:09~2:20

Your MIDI Horns Don’t Sound Real (How to Fix it)

ブラス打ち込みのコツ3.ステレオワイドニングツールを活用する

https://youtu.be/RayjiChQU_8?si=Kegn-YcmCNBdQ0xs

ステレオワイドニングツールを活用すると、さらにリアルなブラスに聞こえます。

そもそも「ステレオワイドニングツール」とは、1つの音を左右2つの音に分割し、片方(もしくは両方)のタイミングや音程をほんの少しだけズラし、より左右に広がりがあるように聞かせるツールです。

つまり人工的に音にズレを加えるプラグインなのですが、これはブラスのように人間が生演奏している質感を出したいときに使えます。

なぜなら、どんなプロのプレイヤーでも、全員が必ずすべての音のタイミング・音程を完璧に演奏しているわけではないからです。

「ちょっとズレた人間らしい感じ」を出すためにも、ステレオワイドニングツールは有効です。

今回使うステレオワイドニングツールは、soundtoys社「MicroShift」です。

ステレオワイドニングツールを使った音 2:29~2:34

Your MIDI Horns Don’t Sound Real (How to Fix it)

ブラス打ち込みのコツ4.エクスプレッションとダイナミクスを調整する

よりリアルに聞かせるには、1音1音の演奏の揺れや音の強さを調整することが大切です。

例えばすべての音を全く同じ強さで演奏するのではなく、ベロシティーを少しだけ変えたり、クレッシェンドさせたりしてみましょう。

エクスプレッションとダイナミクスを調整する例 2:49~3:10

Your MIDI Horns Don’t Sound Real (How to Fix it)

ブラス打ち込みのコツ5.リバーブを使う

さまざまな音源を使ってレイヤーをしたあと、同じリバーブを使うとまるで同じ部屋で一緒に演奏しているように聞かせることができます。
おすすめのリバーブの種類はプレートリバーブ(Plate Reverb)です

これにプラス、Panを±10〜20ぐらい動かすと広がりが出ます。

リバーブとPanを調整する例 3:12~3:33

Your MIDI Horns Don’t Sound Real (How to Fix it)

その他微調整(EQ、サチュレーション、リバーブ、コンプレッサー)

その他、必要であれば、出過ぎた中音域や低音域をEQで減らすとよいでしょう。

また、少しだけサチュレーションを使ったり、明るさを加えるためのリバーブを加えたり、音をタイトにするためにコンプレッサーを使うのもよいでしょう。
使いすぎると音がキツくなってしまうことがあるので、注意してください

EQ・サチュレーション・リバーブ・コンプレッサーの調整例 3:33~4:27

Your MIDI Horns Don’t Sound Real (How to Fix it)

今回の解説で使ったブラス音源とプラグイン

最後に、今回の解説で使ったブラス音源とプラグインをまとめてご紹介します。

今回の解説で使ったブラス音源

Native Instruments社「Session Horns」

単品でも購入できますが、「KOMPLETEシリーズ」を購入した方が圧倒的にお得です。

次にご紹介する「KOMPLETE Standard」「KOMPLETE Ultimate」「KOMPLETE Collector’s Edition」に同梱されています。

初心者〜中級者向け「Komplete Standard」

Native Instruments社「Komplete Standard」を購入する(サウンドハウス)

中級者〜上級者向け「Komplete Ultimate」

Native Instruments社「Komplete Ultimate」を購入する(サウンドハウス)

たくさん音源が欲しい人向け「Komplete Collector's Edition」

Native Instruments社「Komplete Collectors Edition」を購入する(サウンドハウス)

Big Fish Audio社「Vintage Horns2」

Vintage Horns 2 | Demo #1

Orchestra Tools社「Glory Days」

Glory Days - Big Band Horns - Trailer

今回の解説で使ったその他プラグイン

soundtoys社「MicroShift」「Decapitator」

Soundtoys MicroShift
Decapitator - 808 Kick

soundtoys社の製品はバンドルで一括購入ができるので、よりお得に購入したい方はこちらのリンクをご利用ください↓

Slate Digital社「Fresh Air」(高音域強化)

Fresh Air - Slate Digital (the best free plugin?)

こちらのプラグインは無料でダウンロードできます。

Native Instruments社「Supercharger GT」(コンプレッサー)

SUPERCHARGER GT Walkthrough - KOMPLETE NOW | Native Instruments

打ち込みブラス関連記事


人気記事

1

今回は、DTMにおすすめのストリングス・弦楽器音源をまとめました。ストリングス音源は1つ1つ使える音色やアーティキュレーション、マイキング、操作性が異なります。そのため、できるだけたくさん持っておくと自分の理想のサウンドにしやすく、レイヤーしたときの充実感がUPします!

2

この記事では、映画音楽やゲーム音楽で使える打楽器・パーカッション音源をご紹介します。ハリウッド映画トレイラーのような迫力のある打楽器アンサンブルから、繊細なオーケストラパーカッションを作りたいときまで幅広く使えますので、ぜひチェックしてみてください。

3

今回は、Alex Romeが解説する「10個のコードパターンで10種類の違う感情を表現!」をまとめました。 自分の表現したいものを、コード進行でうまく表現できない…そんな方に必見の内容です!

4

今回は、FabFilter公式が解説する「Saturn 2の紹介」をまとめました。「Saturn 2」は一言で言うと「サチュレーション・ディストーションプラグイン」なのですが、この記事を読めば「一体どんな使い方ができるのか?」「なぜこれだけ世界中で多くのプロに愛されるプラグインなのか?」がお分かり頂けます。

5

DTMをしていると、DAWのプロジェクトファイルや作曲に関わる資料が大量に作られてしまい、ファイル探しに難航したり、データを紛失したり、容量がすぐいっぱいになってしまいます。そこでこの記事では、このような「膨大な量のファイルを適切に整理する方法」と「ファイルを守るためのバックアップ術」について解説します。

6

今回は、DTMでおすすめの和楽器プラグイン・音源をまとめました。それぞれ特有の音色・アーティキュレーション・奏法が使えるため、なるべくたくさん持っておくと目的に合ったサウンドを作りやすくなります。まだお持ちでない方は、ぜひチェックしてみてください。

7

エモくてかっこいい曲を作りたいんだけど、いい感じのコード進行ってある?いつも使ってるコードを、かっこいいコード進行にしたい!今回はこのような要望にお答えする内容です。「Em」「C」などのシンプルなコードを、ほんの少しの工夫でエモいコードにする方法をご紹介!このコードを使った「エモいコード進行」も同時にご紹介します。

8

今回は、初心者からプロまで使えるおすすめのDTMイヤホン・ヘッドホン14選をまとめました。値段順にご紹介しますので、ぜひ予算に合わせてご自身に合う製品を見つけてください。

9

今回は、DTMでおすすめのオーケストラ系楽器がすべて使える音源をまとめました。1つ購入するだけで弦楽器・金管楽器・木管楽器・打楽器すべてが揃うだけでなく、世界中のプロが愛用する高品質の製品ばかりですので、まだお持ちでない方はぜひチェックしてみてください。

10

この記事では、世界中の作曲家・音楽プロデューサーが使っているおすすめの木管楽器音源をご紹介します。ここでご紹介するのは、フルート・クラリネット・オーボエ・サックス・ファゴットなどさまざまな木管楽器が使える音源です。同じ楽器でも音源によって音色が少し異なりますので、複数持っていると使い分けることができるほか、レイヤーしたときもリアルさと壮大さを増すことができます。

-アレンジ・打ち込み