ボーカル・楽器演奏

プロが教える「音楽ジャンル別・おすすめのギター」とは?

The Best Guitar for Each Genre (Is NOT What You Think)

今回は、Music is WinのTyler Larsonが解説する「音楽ジャンル別・おすすめのギター(あなたの予想とは違うでしょう)」をまとめました。

Tylerはバークリー音楽大学のギター専攻を卒業し、現在はプロとして活動しています。

そんな彼が、音楽ジャンル別におすすめのギターをご紹介します。

よくある「ジャンル別おすすめのギター」の回答

https://youtu.be/LQkGaKw7UC4?si=dN9ACpuYNAcGB6Sv

「ジャンル別おすすめのギター」を調べると、「カントリーミュージックにはテレキャスター」「ブルースにはレスポール」「ジャズにはホロウボディー」などという回答が出てきます。

これらは確かに間違っておらず、スマートな回答だと思います。

しかし一方で、このような回答があなたの選択肢を狭めてしまっているとも思います。

そのため、僕(Tyler)としては「特定のギター=特定の音楽ジャンル」とは言えないと思っています。

「カントリーミュージックにはテレキャスターがいい」は本当か?

例えば「カントリーミュージックにはテレキャスターがいい」という話を聞くことがあると思います。

確かに、テレキャスターは軽快で弾けるような音が出しやすいので、カントリーミュージックには向いているタイプだと思います。

しかし、ギターの要素は音色だけではありません。

ピックアップ、ギターのネックの大きさ・太さ・形、ボディーの形なども楽器それぞれです。

そのため、テレキャスターでなくてもテレキャスターのような音を出すことはできます。

もっと言えば、テレキャスター以上にカントリーミュージックに合う音を出せるギターもあります。

例えばレスポールのギター(ギブソン社・SG)でカントリーミュージックを演奏すると、このようなサウンドになります。

2:11~2:57

The Best Guitar for Each Genre (Is NOT What You Think)

ブリッジの近くでピッキングをして、バチッとした音を出すように工夫し、アンプの高音域(Treble)を上げれば、このようにテレキャスターのような音を出すことができます。

さらに、スラップディレイ(とても短いエコー)をかけたり、カントリーミュージックによくあるスライド奏法などを取り入れたり、ビブラートをかけたりすれば、カントリーミュージックに合うギターにすることができます。

このように工夫すれば、テレキャスターを使っているかどうかをリスナーが疑問に思うことはないのでしょうか?

「メタルにはハムバッカーがいい」は本当か?

別のジャンルで考えてみましょう。

「メタルにはハムバッカーピックアップがいい」という話を聞くことがあると思います。

重くビッグに、アグレッシブに聞こえるような音を出すには、ピックアップはハムバッカーが合うと考える人は多いです。

確かにハムバッカーは重くどっしりとしたサウンドを出すのが得意ですが、一方で温かく丸みのある音が出やすいという特徴もあります。

そのため、バキッと鋭い音を出すにはシングルコイルピックアップの方が向いていることもあります。

ギターのタイプで言えば、ストラトキャスターが合うでしょう。

例えばシングルコイルピックアップを使ったPRS社の「Silver Sky」を使ってメタルを演奏すると、このようなサウンドになります。

4:45~5:46

The Best Guitar for Each Genre (Is NOT What You Think)

少し乱暴でエッジの効いた音は、まさにメタルにぴったりではないでしょうか?

同様に、テレキャスターはより多くの低音域を含んだサウンドを出しやすいので、メタルやロックなどの重みのあるジャンルに向いていることもあります。

このように、一般的には「メタルにはハムバッカーピックアップがいい」「ロックならレスポール」などと言われていても、実はシングルコイルの方が向いていたり、テレキャスターの方が向いていることもあります。

つまり「どの音楽ジャンルをやるからどのタイプのギターやピックアップが正解」ということはないのです。

「ジャズにはホロウボディーがいい」は本当か?

今度は、ボディーのタイプで考えてみましょう。

ギターの中がアコースティックギターのように空洞になっている「ホロウボディー」のギターは、ジャズなどの温かみや懐かしさのある、やさしいサウンドが欲しいジャンルに向いているとされています。

それでは、ホロウボディーの特徴とは逆の音が出そうなギターでジャズを演奏したら、どうなるでしょうか?

ここでは、よりモダンでソリッドボディーのPRS社「Custom 24」を使って演奏をしてみます。
ソリッドボディー:ホロウボディーの真逆で、ギター本体の中に空洞がないタイプ

7:34~8:26

The Best Guitar for Each Genre (Is NOT What You Think)

ジャズには合わなそうなギターですが、実際にやってみるとピッタリな音が出ています。

「ジャズだからホロウボディーじゃないとダメ」と自分の首を絞めてしまうのは、とてももったいないです。

いろいろなギターでいろいろなスタイルを試してみることを恐れず、実験してみることが大切です。

プロが教える「音楽ジャンル別・おすすめのギター」とは?まとめ

今回の内容をまとめると「音楽ジャンル=特定のギターではない」「音楽ジャンル=特定の形やピックアップではない」ということが一番大切です。

「〇〇じゃなきゃいけない」と自分の音楽の可能性を狭めず、ぜひいろいろなギターやスタイルにチャレンジしてみることをおすすめします。


今回の解説者・Tylerによる「音大に行く意味はあるか?」の解説記事はこちら↓

他のプロギタリストによる「ギターの選び方ガイド」はこちら↓


人気記事

1

今回は、BeatsbyVinityTVが解説する「Skrillexのようにリミッターとクリッパーを使って音圧を上げる方法」をまとめました。Skrillexと言えば、激しい音楽と爆発的な音圧が特徴的です。今回は、彼のように音圧を爆上げするにはどうしたらいいのか、その方法を解説していきます。

2

今回は「SM7B vs SM58」をまとめました。ボーカルやギターのレコーディングによく使われるのが、SHURE社のSM7BとSM58です。どちらも超定番のマイクですが、一体何が違うのでしょうか?この記事ではそれぞれの特徴をじっくりご紹介しながら、どちらのマイクを選ぶべきか、その基準を解説します。

スプリングリバーブとは 3

今回は、Sweetwaterが解説するよく使われる5種類のリバーブ(Hall・Chamber・Room・Plate・Spring)の違いについてまとめました。これら5種類のリバーブの特徴や違いをそれぞれ解説しますので、読み終わる頃には、自分が今欲しいリバーブをすぐに判断できるようになります!

4

この記事では、ヒット曲を作曲するための方法を解説した記事をまとめています。作曲・編曲・ミキシング・マスタリングなど、音楽制作の工程ごとに分けてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

5

今回は、Cableguysが解説する「ShaperBox 3の紹介」をまとめました。Cableguys社のプラグイン「ShaperBox」は、作曲からミックスまで幅広く使える超万能プラグインです。この記事では、ShaperBoxの主な機能5つと、特に魅力的な機能の使い方をご紹介します。

6

今回は、数々のモニタースピーカーを販売しているAdam Audio社が解説する「自宅スタジオ~3レベル~」をまとめました。自宅の小さな寝室でDTMをしている方からプロを目指している方まで、レベル別におすすめのDTMセットをご紹介します。

Oeksound 「Soothe2」の驚くべき使い方【DTM MIX】 7

今回は、Riffs,Beards&Gearが解説する「Oeksound Soothe2の秘密」をまとめました。発売以降、「このプラグインのおかげでミックスの効率がものすごく上がった」「もうこのプラグインなしではミックスできない」というプロが世界中で続出したこのプラグインを驚くべき方法で使いこなす方法をご紹介します!

8

今回は「CPUパフォーマンスとリアルタイムパフォーマンスの違い」をまとめました。DTMをしていてよくあるのが「DAWの動作が遅くなる」というトラブルです。ここで重要なのが、この2つのパフォーマンスの違いを理解しておくことです。そこでこの記事ではこれら2つを解説し、サクサクとDAWを動かすためのコツをご紹介します。

iLokが故障・盗難・紛失したときにやるべきことと、事前にやっておくべきことまとめ 9

今回は、DTMerにはおなじみの「iLok」が故障・盗難・紛失したときにやるべきことと、故障・盗難・紛失前にやっておくと安心する5つの項目をまとめました。万が一のときにどうするべきかを知っておくだけでも安心材料になりますので、ぜひご覧ください。

ドリアンモードを使ったゲーム音楽 10

今回は、8-bit Music Theoryが解説する「ドリアンモードの使い方」をまとめました。この記事では前編として「ドリアンモードの基礎」と「ドリアンモードを使ったシリアス&ダークなゲーム音楽の例」をご紹介します。

-ボーカル・楽器演奏