ミキシングのコツ

【MIXのコツ】DTMでプロのようにリバーブを使う方法3つ

今回は、BigZが解説する「リバーブを使うときにやってみてほしいこと」をまとめました。

DTMで広がりのあるサウンドにしたいとき、まず行うのがリバーブをたくさんかけることでしょう。

実際にリバーブをかけると、このようなサウンドを作ることができます。

0:09~0:12

Instead Of Using Reverb, Try This

しかしリバーブの使い方をほんの少し工夫するだけで、さらに広がりと奥行きのあるサウンドにすることができます。

例えば、このようなサウンドです。

0:16~0:25

Instead Of Using Reverb, Try This

この記事では、リバーブを使わずにこれだけ広がりのあるサウンドにする方法を3つご紹介します。

DTMでプロのようにリバーブを使う方法1.別の音色のリバーブトラックをレイヤーする

DTMでプロのようにリバーブを使う方法1つ目は「別の音色のリバーブトラックをレイヤーする」です。

まずは、リバーブなどのエフェクトをかけていないこちらのサウンドをお聞きください。

0:47~0:51

Instead Of Using Reverb, Try This

ここに、別の音をレイヤーします。

ここでのポイントは、「広がりを出したい元の音を複製せず、全く異なるプリセットや音色を使う」という点です。

さらに、以下の条件を満たすようなサウンドに調整します。

・アタックが遅め
ふわっとだんだん音量が上がるような音

・リリースが長め
指を鍵盤から離しても、ずっと音が伸びるような音

シンセサイザーのエンベロープ(ADSR)で言うと、下記画像のような形になるようにします。

https://youtu.be/w1yI8I2AVxY?si=HdCqkm5EYUs8fKU2

そしてリバーブをインサートで追加し、MIXが100%(Wet100%)になるように調整します。

https://youtu.be/w1yI8I2AVxY?si=jaMc20YNlF5OKmho

リバーブをかけるとこもったような音になりやすいので、気になる場合はローカット&ハイカットしてもOKです。

https://youtu.be/w1yI8I2AVxY?si=jaMc20YNlF5OKmho

最後に、リバーブの後ろにサイドチェイン用のコンプレッサーをかけます。

https://youtu.be/w1yI8I2AVxY?si=jaMc20YNlF5OKmho

サイドチェインのトリガーは、広がりを出したいトラックに設定します(今回はBus22に設定)。

こうすると、リバーブ100%の音は広がりを出したいメインの音が鳴っていないときに大きく鳴るようになります。

つまり、最も目立たせたい音を邪魔せずにリバーブ感を出すことができます。

一連の手順(0:55~1:29)

Instead Of Using Reverb, Try This

リバーブはSendトラックを使えばいいのではないか?

「メインの音を邪魔せずに広がりを出したいなら、メインの音をリバーブ用のSendトラックに送ればいいのではないか?」と思うかもしれません。

https://youtu.be/w1yI8I2AVxY?si=jaMc20YNlF5OKmho

確かに、リバーブプラグインを追加したSendトラックを作り、メインの音をそのSendトラックに送れば、リバーブを使うことができます。

加えて、Sendトラックを使えばリバーブの量も調整しやすいです。

しかしSendトラックをそのまま使うことの問題の1つは、リバーブ音がメインの音と同じようになってしまうことです。

例えばこのように、メインの音とリバーブの音がほぼ変わりなく、周波数帯域も被ってしまいます。

1:38〜1:53

Instead Of Using Reverb, Try This

統一感が出るという意味ではいいかもしれませんが、場合によってはありきたりでつまらなく聞こえてしまいます。

しかしリバーブ音の音色を変えれば「広がりが出て、奥行きも出て、ありきたりな感じがしないサウンド」を作ることができます。

2:06~2:12

Instead Of Using Reverb, Try This

リバーブ用のプリセットを変えれば異なる空間を演出できる

この方法を使うと、リバーブ用トラックに使っている音色を変えるだけで、また違った空間を演出することができます。

例えばEQやサイドチェインの設定はそのままで、シンセサイザーのプリセットだけ変えてみると、このような違いが出ます。

2:20~2:32

Instead Of Using Reverb, Try This

音色によってリバーブの雰囲気・テクスチャが変わるので、いろいろなプリセットを試してその曲に合ったリバーブ音を探してみましょう。

DTMでプロのようにリバーブを使う方法2.オクターブ上下のリバーブトラックをレイヤーする

DTMでプロのようにリバーブを使う方法2つ目は「オクターブ上下のリバーブトラックをレイヤーする」です。

メインのサウンドをもっと大きくしっかり聞かせたいときによく行うのが、オクターブ上下の音をレイヤーすることです。

全く同じフレーズをオクターブ上(もしくは下)に追加することで、そのフレーズがさらに太く目立つようになります。

それでは、オクターブ上下に追加する音を「メインの音そのまま」ではなく「リバーブ音」にしたらどうなるでしょうか?

手順

  • 新規トラックを作成し、メインの音と異なる音色を用意する
    (アタック遅めでリリース長めにする)
  • メインの音と全く同じMIDI(フレーズ)をコピーする
  • MIDIをオクターブ上(もしくは下)に移動する
  • インサートでリバーブを追加し、MIX100%(Wet100%)にする

2:50~3:02

Instead Of Using Reverb, Try This

一部の音だけ音程を変更&削除してもOK

このとき、リバーブ音におけるすべての音をそのままオクターブ上下させるのではなく、一部の音だけをオクターブ上下させたり、ミュートするのもよいでしょう。

リバーブの音は音程が異なるので、メインの音にアクセントをつけるようなサウンドになります。

3:10~3:25

Instead Of Using Reverb, Try This

DTMでプロのようにリバーブを使う方法3.ピッチベンドする

DTMでプロのようにリバーブを使う方法3つ目は「ピッチベンドする」です。

従来のように、メインの音にそのまま使っているリバーブ音だけをピッチベンドするには、その都度バウンスしなければいけなかったりなど少し手間がかかります。

加えて、このようにサウンドもかなり不自然になります。

4:03~4:06

Instead Of Using Reverb, Try This

しかし、これまでご紹介したようにリバーブ音専用のレイヤーを別で作っていれば、リバーブ音だけピッチを変えるというトリッキーなテクニックもカンタンに行うことができます。

シンセサイザーと同じように、リバーブ音もピッチベンド(音程変更)してみましょう。

https://youtu.be/w1yI8I2AVxY?si=jaMc20YNlF5OKmho

MIDIデータに対してピッチベンドを行えば、カンタンに&自然にピッチベンドさせることができます。

4:13~4:20

Instead Of Using Reverb, Try This

リバーブ音だけピッチが下がり、とてもクールで不思議な雰囲気にすることができました。

おすすめのリバーブプラグイン

最後に、おすすめのリバーブプラグインをご紹介します。

スタンダードなものから異空間を演出するユニークなリバーブまでご紹介しますので、ぜひチェックしてみてください。

おすすめのスタンダードなリバーブプラグイン

Fabfilter社「Pro-R」

Introduction to FabFilter Pro-R 2

世界中のプロに使われている、オールジャンルOKの万能リバーブです。

W.A.Production社「KSHMR Reverb」

KSHMR Reverb | Next-level Reverb Plugin (VST / AU / AAX)

人気DJ&音楽プロデューサーのKSHMRが監修したリバーブプラグインです。

特にポップスやEDMなどにおすすめです。

Valhalla DSP社「Valhalla Vinage Verb」

今回の解説に登場したリバーブプラグインです。

おすすめプラグインを購入する

Sonnox社「Oxford Reverb」

Oxford Reverb tutorial

オールジャンルOKの万能リバーブです。

おすすめプラグインを購入する

おすすめのユニークなリバーブプラグイン

Eventide社「Blackhole」

TMT | Spring Reverb Effect with Blackhole by Eventide

「ブラックホール」という名前の通り、非現実世界を感じるようなユニークなリバーブを作るのにおすすめのリバーブです。

おすすめプラグインを購入する

Output社「Thermal」

THERMAL by Output | Interactive Distortion FX Plugin

ディストーションプラグインですが、リバーブにユニークなディストーションをかけることができます。

リバーブ音のサウンドデザインを楽しみたい方、いつもとは違うリバーブを作りたい方におすすめです。

DTMでプロのようにリバーブを使う方法3つまとめ

以上が「DTMでプロのようにリバーブを使う方法3つ」でした。

別の音色のリバーブトラックをレイヤーする

リバーブ音のテクスチャを自由に変えてみよう

オクターブ上下のリバーブトラックをレイヤーする

メインの音にアクセントをつけるようなリバーブも作れる

ピッチベンドする

リバーブ音だけピッチベンドして、自然かつ不思議なリバーブを作ろう

当サイトでは他にもリバーブの使い方に関するテクニックをまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


人気記事

1

今回は、ドラムセットのレコーディングの仕方をまとめました。 ドラムはたくさんマイクを使うし知識がないと大変そう…と思うかもしれませんが、コツを掴めばレコーディング初心者の方でもクオリティ高くレコーディングすることができます。 ここでは必要な機材やマイクのセッティング方法についてご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

2

今回は「モードの確認のしかた」をまとめました。音楽ではミクソリディアンモードやリディアンモードなど「モード」がさまざまな種類があります。しかし、そもそもモードとは何かよくわからなかったり、その曲がモードなのかどうか、何モードなのかを聞き分けるのに苦戦する方も多いでしょう。この記事ではモードについて徹底解説していきます!

3

今回は低音域の吸音が重要な理由をまとめました。200Hzの低音域は部屋でどのように鳴り、人間の耳にはどのように聞こえ、それが映画や音楽を楽しむときにどう影響するのか、どのような吸音材を選べばいいのか、おすすめの吸音材もまとめてご紹介します。

4

ドラムに使われるスネアは、打面=ヘッドによって音が大きく変わります。ここでは、ドラムヘッドの中でも特に有名な10種類のヘッドを使いながら、その特徴を解説していきます。

5

今回は、Universal Audio社「API 2500 Bus Compressor」を使うコツをまとめました。コンプレッサーの中でも非常に有名なこの人気製品同社がリリースしているプラグイン版を使用しながら、このコンプレッサーを使いこなすためのコツをご紹介します。

6

ボーカルのレコーディングがうまくできない…どれぐらいの音量で録音すればいいの?という方のための記事です。海外エンジニアが教える「ボーカルをプロのクオリティで録音するためのコツ」をご紹介!コツはたったの2つ、今日からすぐ実践できます!

7

今回は、Waves社のリミッタープラグイン「L4 Ultramaximizer」の新機能と基本的な使い方をまとめました。最新作「L4 Ultramaximizer」は、これまでLシリーズを使ってきた方にもそうでない方にも非常におすすめできるプラグインですので、ぜひチェックしてみてください。

8

今回は「バスドラムのチューニングの仕方」をまとめました。バスドラムのチューニングをする前に知っておきたいことと、実際のチューニング方法をご紹介します。

9

この記事では、映画音楽やゲーム音楽で使える打楽器・パーカッション音源をご紹介します。ハリウッド映画トレイラーのような迫力のある打楽器アンサンブルから、繊細なオーケストラパーカッションを作りたいときまで幅広く使えますので、ぜひチェックしてみてください。

10

今回は、音楽好きの方や音楽家・DTMerにおすすめのふるさと納税返礼品をまとめてご紹介します。楽器本体、楽器関連機器、パソコン関連機器、音楽関係のチケット、音楽関係の雑貨など、音楽に関係する返礼品は非常にたくさんあります。気になる返礼品があれば、ぜひチェックしてみてください!

-ミキシングのコツ