楽曲分析

【DTM】ブルーノ・マーズ「24K Magic」で使われている作曲法3つ

どうやったら世界的スター・音楽家になれるの?
自分らしい・オリジナリティのある曲を作るにはどうしたらいいの?

今回はこのような疑問にお答えする内容です。

How Bruno Mars Wrote 24K Magic | The Artists Series S1E7

音楽教育・作曲を行なっているHolistic Songwritingによる「ブルーノ・マーズはどうやって24K Magicを書いたのか?」をまとめました。

今回はそのうち「レトロ感と現代感を兼ね備えるためのテクニック」について解説された部分をご紹介します。

「24K Magic」は、ブルーノの3rdアルバムです。

タイトル曲の「24K Magic」は、今では再生回数10億回を超える、超大ヒット曲です。

Bruno Mars - 24K Magic (Official Music Video)

このアルバムでは、一体どのようなテクニックが使われているのでしょうか?

さっそく見ていきましょう!

なぜレトロ感があるのに現代にも受け入れられるのか?

ブルーノの曲は、昔のサウンドを取り入れつつ、現代人の耳にも受け入れられやすい音楽。なぜこのようなことができるのか?

このような疑問を思った人もいるでしょう。

これには、「型にはまらない」「サウンド」「ライブ演奏を意識したアレンジ」が大きく関係しています。

ブルーノマーズの作曲法1.型にはまらない

よくある「作曲のルール」や型、いわゆる「公式」は、曲を聞いている時に注意を引きつけられるようにデザインされています。

つまり、これをもとに楽曲を構成したりアレンジをすれば、楽曲はより現代っぽく聞こえるようになります。

逆に言えば、これを多用するとレトロ感・昔の曲っぽさがなくなってしまうことになります。

ブルーノマーズの作曲法2.特定の時代を感じさせるサウンド

また、特定の時代を感じさせるサウンドも重要です。

より大きな音で派手に聞こえるようにしたいから、デジタルなサウンドを使いたい…こう考える人は多いでしょう。

しかし、ブルーノ・マーズは違います。

このアルバムを聞いてみると、70~90年代によく使われた、Talk Boxを使ったスクラッチサウンド、男性による合唱(Chants)、トランペット、打楽器、タムのフィルなどが使われていることがわかります。

Talk Box(7:31~7:45)

Idiot Tries to Use a Talk Box

音選びは、どんな作曲テクニックよりも、より「ある時代」のサウンドに聞かせるために重要です。

リスナーを「ある時代に戻らせたい」のであれば、正しいサウンドを使うことが大切なのです。

Auto Tuneは「理想のサウンド作りのため」

また、Auto Tuneの使い方も通常のポップスと少し違います。

ボーカルのピッチの修正やケロケロサウンドにするために使うAuto Tuneですが、ブルーノは、Auto Tuneをピッチ修正メインでは使いません。

彼は歌がものすごく上手く、Auto Tuneをピッチ修正ではなく「理想の音にするために」使うのです。

完璧な「ハーモニー」に使える

80年代の曲を聞いてみると、バッキングボーカルがかなり頻繁に使われていることがわかります。

Let's Groove
Prince and the Revolution - When Doves Cry (Official Music Video)

ブルーノの曲では、このようなきれいなボーカルハーモニーのサウンドを実現するために、Auto Tuneを巧みに利用しています。

技術的に「自由である」という強みを生かす

昔は技術がまだ進歩していなかったため、1曲につき8トラックや16トラックほどしか使うことができませんでした。

そのため、出来る限りトラック数を減らし、少ししか使わない楽器はなるべくなくしていたのです。

しかし今は技術が発達し、制限なくレコーディングすることができます。

そのため、完璧な音楽を作るためなら曲中の90%は無音であるような楽器でも遠慮なく使うことができます。

曲中に1~2音しかない楽器でさえも、トラック数を気にすることなく追加できます。

たとえばFinesseには「カコン」という音があります。

8:21~

How Bruno Mars Wrote 24K Magic | The Artists Series S1E7

この曲では、サビ(Chorus)だけにしかこの「カコン」という音が使われません。

これは、トラックに制限があった70年代では考えられなかったことです。
(使えるトラック数に制限があったため、たった一部でしか使われない曲に1トラック使ってしまうのはもったいないことでした)

このようなところでも、現代っぽさを出しているのです。

ブルーノマーズの作曲法3.「ライブ演奏」というゴールを視野に入れる

音楽制作におけるゴールは、「ライブで演奏する」ということです。

実際にブルーノ・マーズのライブでは、バンドによる演奏が行われています。

ライブでは、観客にもっと楽しんでもらったり、よりお金をかけてもらいたいと思うでしょう。

そのため、ライブで映えるような楽曲であるということも、重要な要素なのです。

トレーディングスペース(Trading Space)を考慮する

「トレーディングスペース」は、音楽において重要な要素の一つです。

トレーディングスペースとは、楽曲がステージで演奏されているように聞かせる、聞いている人に、ステージで演奏している様子を心の中で描かせることです。


画像:動画より

基本的には、上の画像のように「ある特定の1パートだけがスポットを浴びている」というのが基本になります。

人間の頭の中では、一度に1つの情報しかキャッチすることができません。

そのため、例えばボーカル以外の楽器を聞かせたい場合は、一旦ボーカルをストップして、別の楽器にスポットライトを当てるようにする必要があります。

これが「トレーディングスペース」です。

スポットライトを浴びるパートをトレード(交代)しながら、目立たせたいパートをしっかり目立たせてアレンジを考えていきます。

これを踏まえて、「24K Magic」を聞いてみましょう。

メインボーカル・シンセ・チャンツ(バッキングボーカル)など、新しい要素・楽器が代わる代わるスポットライトを浴びていく様子がわかります。

9:56~10:19

How Bruno Mars Wrote 24K Magic | The Artists Series S1E7

これらを踏まえて、「現代らしい」「昔っぽい」メロディーやコード進行を使うと、両方の要素を兼ね備える楽曲を作ることができます。

この現代感・レトロ感のあるコード進行やメロディー作りについては、こちらの記事でまとめていますので、ぜひご覧ください↓


人気記事

1

今回は、Waves社のリミッタープラグイン「L4 Ultramaximizer」の新機能と基本的な使い方をまとめました。最新作「L4 Ultramaximizer」は、これまでLシリーズを使ってきた方にもそうでない方にも非常におすすめできるプラグインですので、ぜひチェックしてみてください。

シンセのLFOとは? 2

今回は、Underdog Electronic Music Schoolが解説する「シンセの学び方」をまとめました。この記事では「基礎編」として、シンセを使いこなすために最低限必要な知識をやさしく解説していきます。

3

DTMをしていると、DAWのプロジェクトファイルや作曲に関わる資料が大量に作られてしまい、ファイル探しに難航したり、データを紛失したり、容量がすぐいっぱいになってしまいます。そこでこの記事では、このような「膨大な量のファイルを適切に整理する方法」と「ファイルを守るためのバックアップ術」について解説します。

4

今回は、DTMでおすすめのオーケストラ系楽器がすべて使える音源をまとめました。1つ購入するだけで弦楽器・金管楽器・木管楽器・打楽器すべてが揃うだけでなく、世界中のプロが愛用する高品質の製品ばかりですので、まだお持ちでない方はぜひチェックしてみてください。

5

今回は、これからDTMをはじめたいという方向けに「Amazonで買えるDTM初心者セット」を3つご紹介します。「これからDTMをはじめたいけど、何を買ったらいいかわからない」「とりあえずこれさえ買っておけばOKみたいなセットはない?」このような方のための記事ですので、ぜひ参考にしてください。

6

今回は、Spliceが解説する「自宅の音響を整える方法」をまとめました。スピーカーを使ってDTMをしている音楽のプロが必ず行っているのが、部屋の音響を整えることですが、質がいい吸音材ほど値段が高く、数万〜数十万円する製品も少なくありません。そこでこの記事では、できるだけ安価に音響を整える方法を3つご紹介していきます。

7

今回は「FLUX:: Pure Analyzer Systemの使い方」をまとめました。このプラグインは、世界中の音楽プロデューサー・DTMerに愛用されているアナライザープラグインです。とてもキレイな見た目をしていますが、いったいどのようなプラグインで、どのように活用すればいいのでしょうか?

8

この記事では、AmazonのKindle Unlimitedで読めるおすすめのDTM・作曲関連本をご紹介します。Kindle Unlimitedは、月額1000円程度で対象本がすべて読み放題になるサービスです。月に1冊読めば元が取れるので、2冊以上読むと非常にお得です。ぜひこの機会に登録してみてください!

9

今回は、Cableguys社が解説する「ドラムにパンチを加えるプロのテクニック」をまとめました。ほんの少しの工夫でドラムがかっこよくなるテクニックですので、ぜひお試しください。

10

ボーカルの録音に使うリフレクションフィルターって必要? 何のために使う?今回はこのようなお悩みにお答えする内容です。リフレクションフィルターはどのような効果があるのか?をまとめました。よくアーティストのレコーディング風景で見られるリフレクションフィルターは、マイクの後ろにつけるアイテムですが、この効果をご紹介します。

-楽曲分析
-