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DTMにサブウーファーは必要なのか?おすすめの製品も紹介!

今回は「DTMにサブウーファーは必要なのか?」をまとめました。

サブウーファーは、低音域のみを再生することに特化したスピーカーです。

「低音域は普通のスピーカーでも出せるから必要ないのではないか?」
「何でわざわざ低音域しか出せないスピーカーを買う必要があるのか?」
「サブウーファーを買えばDTMが上達するのか?」

このような疑問をお持ちの方、必見の内容です。

DTMにサブウーファーは必要なのか?

「DTMにサブウーファーは必要なのか?」という質問の答えは「その人・使用環境による」です。

サブウーファーを使うことでDTM(音楽制作)がよりよく行えることは事実ですが、使い方を間違えると逆効果になります。

そのため、この記事ではそもそもウーファーとは何か、どんな人におすすめでどんな人にはあまりおすすめできないのか、おすすめのサブウーファーについて解説していきます。

そもそもサブウーファーとは何か?

サブウーファーとは、低音域専用のスピーカーのことです。

通常のスピーカーはエレキベースやバスドラムなどの低音域に加え、ギターやボーカルなどの中音域〜高音域も鳴らすことができます。

一方、サブウーファーは200Hz以下の非常に低い音を再生することに特化しています。

そのため、サブウーファーを使うことで「ドゥン」「ブーン」「ドシン」という重低音がより聞こえやすくなります。

JLB社「SLR310S」を購入する(サウンドハウス)

見た目は製品によってさまざまですが、多くの製品は正方形かそれに近い形をしており、円形のパーツ「ドライバー」が1つしかありません。

低音域を再生することに特化しているので、通常のスピーカーにプラスしてサブウーファーを使うのが一般的です。

サブウーファーを購入する「正しい理由」と「間違った理由」

サブウーファーを購入・使用する理由の中には、「正しい理由」と「間違った理由」があります。

正しい理由
・より低い低音域も聞こえるようにしたいから
・すべての音域を劣化させずに聞こえるようにしたいから
間違った理由
・低音域の音量がもっと欲しいから

それでは、1つずつ解説していきます。

ウーファーを使う正しい理由1.より低い低音域も聞こえるようにしたいから

サブウーファーを購入する理由が「低音域をより低い聞こえるようにしたいから」であれば、それはサブウーファーを購入する正しい理由と言えるでしょう。

確かに、通常のスピーカーは70~100Hz程度の低音域を出すことができる製品もありますが、60Hz以下の低域には対応していないことが多いです。

人間の耳に聞こえる音域(可聴領域)の最低音は「20Hz」と言われていますので、20Hz~60Hzの低音域がしっかりモニタリングできない環境は「完璧なDTM環境」とは言えないでしょう。

人間の耳に聞こえる音域なのに、その音域を捨てて音楽制作をしてしまっていることになるからです。

そのため、20Hz程度の非常に低い音域までしっかりモニタリングし、低音域もしっかり作り込みたいという理由でサブウーファーを購入・使用するのがいいでしょう。

聞こえない音はミックスできませんので、聞こえる音の範囲を広げ、聞こえる音の質を上げることで音楽制作が上達するでしょう。

ウーファーを使う正しい理由2.すべての音域を劣化させずに聞こえるようにしたいから

スピーカーは、主に「1Wayスピーカー」「2Wayスピーカー」「3Wayスピーカー」の3種類に分けられます。

これは、円形のパーツ「ドライバー」がいくつ使われているかで決まります。

このドライバーは、再生する音域ごとに担当が分かれています。

https://hub.yamaha.com/audio/gear/ultra-hi-fi-part-2-the-difference-made-by-speaker-driver-materials/

ツイーター:高音域を出すことに特化したドライバー
ミッドレンジドライバー:中音域を出すことに特化したドライバー
ウーファー:低音域を出すことに特化したドライバー

例えば「3Wayスピーカー」であれば、ツイーター・ミッドレンジドライバー・ウーファーの3つが別々で設置されています。
※Genelc社の「The One」シリーズのように、円形パーツが1つしか見えなくても3Wayスピーカーである場合もあります

2Wayスピーカーであれば「ツイーターとウーファー」もしくは「ミッドレンジドライバーとウーファー」など、3種類のドライバーのいずれかが使われています。

1Wayスピーカーは全ての音域が1つのドライバーで対応しているタイプです。

2Wayスピーカーの弱点とは?

ここで問題なのが、2Wayスピーカーはミッドレンジドライバーがツイーターの役割もしなければいけなかったり、ウーファーがミッドレンジドライバーの役割をしなければいけなかったりと、特定の音域に特化できない点です。

例えばミッドレンジドライバーはサブウーファーほど低音域に特化した構造ではないので、低音域を全く出せないということはありませんが、サブウーファーほどのパワーはありません。

そのため、例えば「低音域が聞こえにくいからもっと大きな音量で聞こう」と思って音量を上げると、ミッドレンジドライバーが許容範囲を超えてしまい、低音域の音質も中音域の音質も劣化してしまうことがあります。

そこでサブウーファーに低音域を任せることで、ミッドレンジドライバーが低音域を担当する必要がなくなり、それぞれのドライバーがそれぞれの音域に専念することができます。

例えば2Wayスピーカーを使っている人であれば、その2Wayスピーカーにサブウーファーを足すことで、3Wayスピーカーと同様の再生環境を作ることができます。

もちろん3Wayスピーカーを使っている場合でも、その3Wayスピーカーが対応できないぐらい低い低音域をサブウーファーで補うこともできます。

「解像度の高い低音域」をサブウーファーで実現する

YouTubeでは、同じ動画でも320pの解像度で再生した場合と4Kで再生した場合で画面の見え方が大きく変わります。

320pで再生すると、その人が何色の服を着ていて周りには何があるのかはある程度把握できます。

しかし、その人の肌ツヤや周りの草木が揺れる複雑な動きを、まるで実際にそこで見ているかのように見ることは難しいです。

一方、4Kで再生するとあらゆるモノの動きや質感がはっきり・くっきり分かります。

スピーカーもこれと同じで、低品質のスピーカーだと「音が鳴っているのはわかるが、どんな音がどんな質感で鳴っているのかはわからない」ということが起こります。

特に、低音域はドライバーにある程度の大きさが必要であったり、通常のステレオスピーカーでは「解像度高く再生する」ということが難しい音域です。

そのため、低音域はサブウーファーに任せ、解像度の高い低音域を再生するのがよりよい音楽制作への一歩となるでしょう。

「低音域の音量がもっと欲しいからサブウーファー」はNG

ここまででサブウーファーが必要な理由をご紹介しましたが、1つだけ気をつけて欲しい「購入理由」があります。

それは、「低音域の音量がもっと欲しいからサブウーファーを買う」という理由です。

サブウーファーは低音域の音量を上げるためのスピーカーではない

そもそも、サブウーファーはEQでもなければ、低音域をブーストする(音量を上げる)ために使うものでもありません。

サブウーファーは「より低い音域の音を」「キレイに(劣化させずに)」聞くために使うスピーカーです。

しかし「サブウーファーが必要だ」と考える人の中には、「低音域の音量だけ足りない気がするから」という理由で購入を検討する人がいます。

そしてそのような人の中には、そもそも低音域が聞こえづらくなるような環境でスピーカーを使ってしまっている人もいます。

部屋の特性やモニタリング環境を見直してみよう

実は「部屋のどこで音を聞くのか」によって、特定の低音域が聞こえにくくなることがあります。

例えば部屋の中心は急激に低音域が聞こえづらくなりますが、もしかしたらそのような場所でスピーカーから出た音を聞いているかもしれません。

それを知らないまま「低音域が聞こえにくいからサブウーファーが必要だ」と考えるのは、とてももったいないでしょう。

リスニングポイントを数十センチ移動するだけで、その問題は解決できるかもしれないからです。

リスニングポイントについてはこちらの記事で解説しています

このように、そもそも低音域をバランスよくモニタリングするための部屋の準備が整っていないのに、サブウーファーで解決しようとしている可能性もあります。

ご自身の部屋やお使いのスピーカーの特性に合わせて聞こえる音域のムラをなくすための製品もありますので、まずは現在のモニタリング環境を見直した上で、サブウーファーが必要かどうかを検討してみましょう。

おすすめアイテム「Sonarworks SoundID Reference」

「Sonarworks SoundID Reference」を購入する(サウンドハウス)

サブウーファーが必要ないケースとは?

場合によっては、サブウーファーが必要ない場合もあります。

例えばメインで使っているステレオスピーカーの質がとてもよく、そのスピーカーがあるだけで既に十分な低音域を聞くことができている場合です。

実際にプロの作曲家やエンジニアの音楽スタジオを見てみると、サブウーファーがなくステレオスピーカー2台のみが使われていることがあります。

質のいいステレオスピーカーであれば、サブウーファーが対応している非常に低い音域から高音域までを、十分な音量で、非常にキレイに鳴らすことができます。

このような場合は、サブウーファーは必要ないでしょう。

しかし、このような高品質のスピーカーは非常に高価であることが多いです。

そのため「高価だがサブウーファーは必要ない」もしくは「比較的安価だがサブウーファーが必要」のいずれかを選択することになるでしょう。

サブウーファーを買う前に準備するべきこと

仮にサブウーファーを購入しても、部屋の音響が整っていないとサブウーファーのポテンシャルを最大限発揮することはできません。

そのため、サブウーファーを使うときは部屋の音響を整えておくことが大切です。

サブウーファーを使うと、今まで以上に低音域が聞こえるようになります。

言い換えると、今まで以上に低音域が反響するようになります。

もし吸音材などを使って吸音処理ができていないと、パワフルな低音域がパワフルに反響してしまうことになります。

これでは、「低音域がしっかり聞こえる」を通り越して「低音域が邪魔をする」ぐらいになってしまうでしょう。

吸音材にはさまざまな種類がありますが、特に低音域は使っている素材によって吸音できるかどうかが大きく変わる音域ですので、低音域の吸音に特化した「ベーストラップ」と呼ばれるタイプの吸音材をおすすめします。

吸音材とベーストラップについてはこちらの記事で解説しています↓

自分に合ったサブウーファーの選び方

それでは、自分に合ったサブウーファーはどのような基準で選べばよいのでしょうか?

ポイントは大きく分けて3つあります。

・値段
・大きさ
・パッシブ or アクティブ

サブウーファーの選び方1.値段

サブウーファーは、3万円~数十万円程度と非常に幅広い価格帯で販売されています。

多くの場合は「サイズが大きい=値段が高い」となっています。

なぜサイズが大きいと値段が高くなるのかは、次の「サブウーファーの選び方2.大きさ」で解説します。

サブウーファーの選び方2.大きさ

サブウーファーは、製品によって大きさが異なります。

基本的にサイズが大きいほど値段が高くなり、その分音質もよくなる傾向になります。

なぜサイズが大きいほど値段が高く高音質になるかと言うと、これはスピーカーが音を出す仕組みに関係しています。

なぜサイズが大きいほどサブウーファーは高価格&高音質になるのか?

そもそもスピーカーは、ドライバーというパーツを前後に動かすことで音を出しています。

スピーカーを外から見たときに目に入る円形の部分がドライバーです。

スピーカーの仕組み解説動画(0:32~)

How Speaker Works, animation by OcS (www.octavesim.com)

中音域〜高音域の音は、ドライバーを細かく動かすことで鳴らすことができます。

しかし、低音域の音はドライバーを大きく動かさないと鳴らすことができません。

低い音であればあるほどドライバーの動きを大きくしなければいけないのですが、このときサイズが大きければ大きいほど、さらにキレイに音を鳴らすことができます。
※質の悪いドライバーだと音割れしやすかったり、「ブハァ」「ボワァ」と音の立ち上がり=トランジェントが崩れやすい傾向にあります

スピーカーの上にタバコの吸殻を置いた例(バスドラムやベースなどの低音域が鳴っているときだけタバコの吸殻が大きく飛び散ることがわかる)

https://www.youtube.com/shorts/TPBZ3sr27Kk

特に音楽制作の場合は、音量が大きいことだけではなく、音質もいいことが必須条件です。

そのため「より大きな音量で」「よりキレイな音で(パソコン内で鳴らした音に忠実な音で)」低音域を鳴らすためには、ドライバーのサイズが大きい必要があります。

もちろん、スピーカーに使われているダイアフラムやマグネット(磁石)、コイル、フレーム、エンクロージャー(外枠の箱)などの各パーツの素材の質によって音量と音質は左右されます。

しかし、特に低音域の場合は大きさそのものが音質と音量を左右する一因になります。

これらの理由から、よりよいとされているサブウーファーほどサイズが大きくなる傾向にあります。

サブウーファーの選び方3.パッシブ or アクティブ

スピーカーの中には、アンプを内蔵している「アクティブスピーカー」と内蔵していない「パッシブスピーカー」があります。

アナログ信号はアンプを使って増幅させないと非常に小さい音のままなので、「アンプを通さないスピーカー」は存在しないと言っても過言ではありません。

そのため、スピーカーの中にアンプを内蔵している「アクティブスピーカー」と、別売のアンプを使うことを想定した「パッシブスピーカー」があります。

アクティブスピーカーは、そのスピーカーさえあれば大きな音で聞くことができることがメリットです。

パッシブスピーカーは、自分でアンプを選んで好みの音で聞くことができるのが大きなメリットです。

人気のDTM用スピーカーはアクティブスピーカーであることが多いですが、アンプにもこだわりたい方は購入前に確認するとよいでしょう。

サブウーファーのメーカーはスピーカーのメーカーと揃えるべきか?

メインで使うスピーカーと一緒に使うためにサブウーファーを買い足すとき、両者のメーカーは揃えた方がいいのでしょうか?

例えばYAMAHAのスピーカーを使っているのなら、サブウーファーもYAMAHAの製品にした方がよいのでしょうか?

この答えは人によって異なるのですが、多くの音楽のプロフェッショナルは「NO」と答えています。

クロスオーバー周波数(サブウーファーで鳴らす音域と、メインのスピーカーで鳴らす音域の境目)の設定をきちんと行っていれば、どのメーカーのサブウーファーを選んでも問題ありません。

サブウーファーの使い方

サブウーファーの使い方はこちらの記事で詳しくまとめています↓

おすすめのサブウーファー

ここからは、おすすめのサブウーファーをご紹介します。

JLB SLR310S

JLB社「SLR310S」を購入する(サウンドハウス)

6万円以下のサブウーファーの中では、最も人気のあるサブウーファーの1つです。

ADAM Audio T10S

ADAM Audio社「T10S」を購入する(サウンドハウス)

リモートスイッチがついており、直接手を触れずにサブウーファーのON/OFFを手軽に切り替えることができます。

「夜間のみサブウーファーをOFFにする」などができ、非常に便利です。

BEHRINGER K10S NEKKST

BEHRINGER社「K10S NEKKST」を購入する(サウンドハウス)

3万円以下でとても手頃なサブウーファーです。

MACKIE CR6S-X

MACKIE社「CR6S-X」を購入する(サウンドハウス)

6インチの小型でコンパクトなサブウーファーです。

手元にあるコントローラを使って手軽にサブウーファーの音量を調整することができます。

KRK S10.4

KRK社「KRK 10" STUDIO SUBWF S10.4」を購入する(サウンドハウス)

これまでご紹介したサブウーファーよりも少し値段の高い8万円程度ですが、パンチのある低音域をクリアに聞くことができます。

グランドリフト機能のおかげでノイズも軽減でき、付属のフットスイッチでウーファーのON/OFFを手軽に切り替えることもできます。


以上で解説は終了です。

当サイトでは他にもサブウーファーを含むスピーカーの使い方や設置方法についてまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


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