ミキシングのコツ

EQだけを使ってミックスでボーカルをなじませる方法【DTM・歌ってみた】

I Reveal How The Pro’s Mix Vocals

今回は、音楽プロデューサーのStreakyが解説する「プロのボーカルミックス術を公開します」をまとめました。

・インスト(オケのトラック)とボーカルがなじまない…
・ボーカルだけ浮いて聞こえる…
・調整しようとしたら、今度はボーカルだけ埋もれて聞こえる…

このようなお悩みは、ボーカルミックスを経験したことのある方なら誰もがお持ちでしょう。

今回は、DTMerなら誰でも持っている人気EQプラグイン・Fabfilter社「Pro-Q3」を使ってこれらの問題を解決するミックス術をご紹介します。
※今回は2mixのインスト音源とボーカルトラックを使って解説しますので、「歌ってみた」に近いミックス方法になります。そのため、MIX師の方も必見です!

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ミックスでボーカルをなじませる方法1.ボーカルトラックの周波数を分析する

まずは、ボーカルトラックの周波数を分析します。

Fabfilter社「Pro-Q3」にはトリガー先のトラックの周波数帯域を分析&表示してくれる機能があるため、これを利用します。

分析方法

  • インスト音源にEQを追加する
  • EQにサイドチェインの設定をし、トリガーをボーカルにする(ボーカルが鳴ったらEQがかかる、という設定になります)
  • 画面下の「Analyzer」から「EQ Match」を選択する
  • 「Reference」を、サイドチェイン先(ボーカルトラック)に設定する
  • ボーカルトラックを再生し、分析を開始する

2:48~3:30

I Reveal How The Pro’s Mix Vocals

ミックスでボーカルをなじませる方法2.インスト音源にダイナミックEQをかける

ボーカルトラックの周波数を見て、どの周波数帯域の音量が大きくなっているかをチェックします。

https://youtu.be/Cf0DCaVa5sM?si=fJFfC19vklMDe06G

例えば上記の画像では、ボーカルトラックの周波数帯域がグラフで表示されています。

このうち、下に出っ張っている部分はボーカルがあまり含まれていない周波数帯域ですので、ここは無視しても大丈夫です。

https://youtu.be/Cf0DCaVa5sM?si=fJFfC19vklMDe06G

問題は、上に出っ張っている部分です。

これらはボーカルがよく出ている周波数帯域になりますので、インスト音源でもこの音域がたくさん出ていると、ボーカルを邪魔してしまうことになります。

そのため、この部分のバンドをまとめて選択し、逆に音量を減らします。

https://youtu.be/Cf0DCaVa5sM?si=fJFfC19vklMDe06G

Pro-Q3では「ダイナミックEQ」を使うことができます。

各EQバンドには音量を調整できる「Gain」のツマミがありますが、その外側の円を回すと、ダイナミックEQのレンジを調整することができます。

今回は通常のEQのように「常にその音域を決められた量だけ減らす」という処理ではなく、「ボーカルが鳴っている音量に合わせて減らす」という処理をしたいので、ダイナミックEQを使用します。

https://youtu.be/Cf0DCaVa5sM?si=fJFfC19vklMDe06G

ダイナミックEQの適用量は、ダイナミックEQのツマミの上にある「Auto」ボタンをクリックした後、Threshold(スレッショルド)のフェーダーを調整することで変更できます。

https://youtu.be/Cf0DCaVa5sM?si=fJFfC19vklMDe06G

3:35~4:27

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ここで、この処理がしっかりできているかを確認します。

ボーカルに200Hz以下の低音域は含まれていないことが多いので、ややこしい場合は先にローカット用のEQを付け足していても構いません。

また、よりピンポイントで処理をしたい場合はQ幅も変更しながら行うとよいでしょう。

4:45~6:07

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このようにダイナミックEQをかけた状態で聞いてみると、インスト音源でくり抜かれた部分にボーカルがすっぽり入っているようなサウンドになりました。

確かにこれだとインスト音源もボーカルもしっかり聞こえるのですが、インスト音源に対してダイナミックEQをかけすぎると、いかにも「EQをかけて調節しているな」ということがバレてしまうレベルになります。

もしこのレベルでEQをかけてしまっている場合は、ダイナミックEQで減らす量を少し控えめにしてみましょう。

https://youtu.be/Cf0DCaVa5sM?si=fJFfC19vklMDe06G

このようにして見ると、もはやEQをかけているのか、EQの意味があるのかどうか疑ってしまうレベルかもしれません。

しかし、たった1dBの変化でも複数の周波数帯域(バンド)に対して使われていますし、たった1dBでも大きな変化を生み出すことがあります。

ときには、これぐらいの設定がちょうどいい時もあります。

EQの縦軸の表示設定にも注意

https://youtu.be/Cf0DCaVa5sM?si=fJFfC19vklMDe06G

また、この時点ではEQの表示設定が「最大30dB」にしてあるため、1dB程度の変化だと全くEQがかかっていないように見えてしまいます。

https://youtu.be/Cf0DCaVa5sM?si=fJFfC19vklMDe06G

ここで、最大3dBに設定すると上記画像のようになります。

こうするとEQのグラフが拡大されたように見えるので、しっかりEQがかかっているような印象を受けます。

このように、 縦軸の最大音量を示す表示設定によって印象が変わりますので、こちらにも注意してみてください。

ミックスでボーカルをなじませる方法3.Threshold、Q幅、周波数帯域などを微調整する

最後に、Threshold、Q幅、周波数帯域などを微調整します。

EQのON/OFFを交互に行いながら確認すると、EQによる変化がよりわかりやすくなります。

7:26~8:05

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ミックスでボーカルをなじませる方法まとめ

以上が「ミックスでボーカルをなじませる方法」でした。

・Pro-Q3のダイナミックEQ機能を利用しよう
・「Analyze」でボーカルの周波数帯域を分析しよう
・ボーカルによく含まれている周波数帯域だけを抑えよう

今回の解説で登場した「Pro-Q3」の最新版「Pro-Q4」はこちらから購入できます↓

当サイトでは他にもEQを使ったミックステクニックをまとめていますので、ぜひこちらもご覧ください↓


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