プロのオーディオエンジニアになるには?【経験者が語る】
現在海外で活躍しているオーディオエンジニアのGさんが、「どうしたらオーディオエンジニアになれるのか?」というテーマについて、実体験を話してくれました。
彼曰く、「忍耐力が大切」とのこと。
一体彼はどのようにしてプロのオーディオエンジニアになったのでしょうか?
さっそく彼の体験談を聞いてみましょう。
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はじめに
「オーディオエンジニアになるにはどうしたらいい?」と、多くの人が悩んでいるでしょう。
たくさんの人が音楽学校に行ってオーディオエンジニアリングを学んでいるのに、それに対して音楽市場は非常に狭いですよね。
そして競争が激しいがために、その道をすぐ簡単に諦めてしまう人を何人も見てきました。
私は現在33歳ですが、運は関係なく、自分と自分の選択を通してここまで来ることができました。
音楽学校時代、決してムダじゃなかった
まずはじめに、私は3年間音楽学校に行き、音楽プロデュース&テクノロジーを専攻していました。
音楽業界で学位なんて無意味だと言う人もいますが、個人的に私はこの考えに賛成しません。
私は今でもデビューの海を泳いでいるでしょうか?そうだと思います。
でも気にしていません。
学校での経験は誰とも交換できません。この経験は今の私を作ってくれました。
あとはあなたのスキルと、仕事への価値観が決め手です。
もし音楽スタジオが大量の履歴書を受け取っていたら、その履歴書を送った全員に連絡はとりません。
でもちょっとでも音楽の学歴があれば、その中でも目立つことができます。
もちろん、その後採用されるかどうかはあなた次第です。
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大学卒業後、レコーディングスタジオでインターン
大学を出た後は、コネティカット州(生まれ故郷)のレコーディングスタジオでインターンを始めました。
私は「いい子」に徹して、ほとんどのことには口を挟まず、お茶汲みをしていました。
だんだんチーフエンジニアと仲良くなり、そのうちいくつかのプロジェクトに携われることになりました。
生計を立てられるレベルではなかったですが…。
また、その時「Mohegan Sun Casino」でライブサウンドと舞台スタッフの仕事を任されました。
素晴らしい仕事ができる保証がありましたし、多くのキャリアを積むことができましたが、自分の名前を売り出したり、何でもできるような環境はありませんでした。
当時の私は20代中盤ぐらいで、「人生の1/4が終わったんだ」と危機感がありました。
そして車を準備して、ロサンゼルスに移り住んで、そこで1人友達ができました。
友人の助けを借りながら、履歴書を送りまくる日々
私は当時、ロサンゼルスではTVや映画のサウンドチェックができると思っていました。
映画の学校に通っていたわけではなかったので、映画やテレビのサウンドについては何にも知らなかったんです。
だからロサンゼルスに行って、3ヶ月友達と一緒に住み始めようと思ったんですね。
その友達は自分にいろいろアドバイスをくれましたね。
その4ヶ月の間に、イケると思ったところに履歴書を送りまくりました。
メールはもちろん、直接持ち込んだこともありました。
非常識だったどころか、何も変わりませんでした。
だんだん自分は何か間違ったことをしているんじゃないかと心配になっていましたが、それでも続けました。
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TVのポストプロダクション会社へ
そしてちょうど資金不足になってきたころ、”Craigslist”のサイトで、TVのポストプロダクション会社がオーディオ編集者を募集しているという広告を偶然見つけたんです。
その会社を調べてみると、彼らはポストプロダクションの音楽に関わる全てのこと、例えば編集、ADR、フォーリー、ミキシングなどをやっていることがわかりました。
面接に行ったら、最初に「あなたに就いてもらうポジションは、あなた向きじゃないかもしれない。あなたはサウンド関連のことがやりたいかもしれないけど、こちらとしてはそのポジションに長くいてもらう人が欲しい」と伝えられました。
そのポジションは管理・事務側のポジションで、彼らはしばらくの間そこにいてくれる人を探していたようでした。
私は「全然大丈夫です。LAにいられること、このエンターテイメント業界で働けることが嬉しいです。」と伝えました。
事務仕事を4年、夢のポジションのために
そして私はこの事務仕事をやるようになり、結局4年ぐらい続けました。
この仕事は本当に散々でした。
でもTVのポストプロダクションのいろはについてまだ知らなかったので、最初はこの仕事を頑張りました。
そしてこの4年の間で、サウンド部門の人たちと仲良くなりました。
できる時はそのプロジェクトを少し見させてもらって、業務後に彼らと連絡を取って、できる限りいろいろな話を聞きました。
仕事は好きではなかったけど、会社自体や会社の人たちのことは好きでした。
唯一の問題は、何も変わらなかったことです。
オーディオ部門の人材は固定化されていたし、誰も異動しませんでした。
でも私はその時、計画を変えたんです。
誰かが会社を離れるか異動した時はすぐ上司に「もうこの仕事はいやです!」と伝えました。
すると、あることが起こりました。
ミキシングエンジニアの一人が、大きなスタジオからより良い仕事を持ってきたのですが、マシーンルームで働いている別のエンジニアがミキシング部門に異動するので、そのポジションが空いているというのです。
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ついにミキシングのプロに
4年の間、私はいつも自分の仕事をしっかりこなしていましたし、一番ストレスのかかるような仕事でも、いつも笑顔でやっていました。
これは、私に幸せになってほしい、成功してほしいと思ってくれた上司のおかげです。
その時はすぐ異動できましたね。
上司は映画編集部に私を入れてくれたのですが、控えめに言っても給料は良かったです。
もう4年も経ちますが(この会社は8年目です)、自分でどんな場面でも使えるような人間になることができたと思います。
編集もできるし、ADRやフォーリーもできるし、エンジニアのカバーもできるし、リラックスもできるし、成果も出せるようになりました。
2週間前までは、究極も目標であるミキシングの役員を除いて、ほとんど全てのことをやっていました。
有名番組のサウンドを担当
私たちが全てのサウンドを務めた番組の一つに、Grey’s Anatomyがあります。クライアントであるそのプロデューサーは、ミキサーの一人をクビにしてしまいました。
なので、彼らは新しいサウンドFXミキサーが必要になったんです。
私の上司はクライアントに私を紹介しました。
彼女(そのプロデューサー)は、彼らは有名な番組を持っていたし、私がミキシングの信用がなかったので私を採用したがりませんでした。
でも彼女に選択の余地はなかったので、結局私に2話分のサウンドFXのミキシングを任せてくれることになりました。
ミキシングの後、彼女が私を怖がっていたから仕事をあげた、ということを知りました。実はこれは、昨日のことです!
10年続くビッグコンテンツのサウンド担当
私がミキシングを担当した番組の回は2夜前に放送され、放送を通じて私のミキシングを聞くことができました。
そして初めて、全国ネットのテレビのエンディングクレジットに私の名前が載りました。
私は残りの回17話分のミキシングも担当する予定です。
しかし、多くのシーズンはピックアップされ、10年間も放送され、もっと強力なコンテンツとなっています!
私のミキシングのパートナーは対話や音楽をミキシングしているのですが、本当に多くの、誰もが知っているような番組や映画を担当したことがあります。
これはメジャーなキャリアを築くための1つの方法かもしれませんね。
大切なのは「笑顔・継続・忍耐」
時間を戻しますが、8年前、私は不安定で、現実的でない仕事分野で大胆なデビューを果たし、バカなことをするのではないかと思っていた子供でした。
私のストーリーを通して伝えたいのは、「本当に好きなら続けよう。頼まれたことはとびっきりの笑顔で受け入れて、こなして、絶対に不満を言わないこと」。
現実世界でよく見るのが、多くの人がすごくネガティブで不満を言っている光景。
私は何が起きても、何か悪いことが起こってもいつも笑顔でいました。
この人間性は私を他の人よりも目立たせてくれて、私のキャリアにアドバンテージを与えてくれました。
全てのことを笑顔でこなし、何事も継続し、忍耐強くいましょう。
私は昇進してから、20代ぐらいの若い子たちを受け入れるようになりました。
しかし、彼らの多くは「何も起こらない、変わらない」と言ってすぐやめてしまいます。
彼らはすぐ満足したい、すぐ結果が欲しいのだと思います。
私は彼らにアドバイスをするのですが、ほとんどの子たちは話を聞いてくれません。
好きなことをして、自分やっていることを好きになって、もし成功できそうにないなと思ってもストレスに思わないこと。
今日やれることに集中すれば、時間とともにつぼみは開いていくでしょう。
まとめ
Gさんのストーリー、いかがでしたか?
ただ音楽のためのお金を貯めるために嫌な仕事をしていたのではなく、「サウンドチームの人と仲良くなる」という目的を持って仕事をしていたのは、非常に戦略的ですね。
そして実際にそれを実現し、音楽のプロとしてのキャリアをスタートさせています。
音楽のプロになりたいという方にとって、非常に参考になる方法が詰まったお話でした。
みなさんもできることから1つずつトライしていきましょう!
第2弾はコチラ
ちなみに、今回の話でカギとなった人脈やフリーランス・音楽家の仕事術に関しては、こちらの本がおすすめです。
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