ミキシング・マスタリング

ミキシング(MIX)上達のための7つのトレーニング【後編】

今回は、世界的に有名なプラグイン・ソフトウェアを開発するiZotope社が解説する「ミキシング(MIX)を上達させるための7つのトレーニング」をまとめました。

この記事では後編として、7つのトレーニングのうち3つをご紹介します。

ミキシングトレーニングで使うもの

このトレーニングをする前に、まず以下の2つを用意しましょう。

・DAW
・マルチトラック(パラデータ)

「マルチトラックがない!」という人は、ネットでリミックスコンテストを行なっているサイトを探してみてください。

リミックスコンテストでは、企業やアーティストが多くの場合無償でマルチトラックを提供しています。

ミキシングトレーニング5.デジタルシーリング チャレンジ


これは「クリップせずに、できるだけ高いシーリング値を目指してミキシングする」というチャレンジです。

「シーリング(Ceiling)」は日本語にすると「天井」で、マキシマイザーなどにこのパラメータがあります。

きれいにミキシングできていると、各トラックの音量を上げてもクリッピング(音割れ)しにくいです。

逆にそれができていないと、各トラックの音量はそれほど上げていないのにクリッピングしやすくなります。

つまり、「Stereo Outから出る音量が高いのにクリッピングしていない状態=美しいミックスを目指す」というのがこのチャレンジのねらいです。

のちに解説しますが、このチャレンジではコンプレッサーやリミッターを使ってはいけません。

通常はそれらを使えばある程度クリッピングを避けることができるのですが、このチャレンジでは使えないので、少しでもピークを過ぎたらすぐクリッピングします。

いわゆるセーフティネットがないので、かなりチャレンジングなトレーニングになります。

このトレーニングで高められるスキル

・ゲインやオートメーション、ミックスバランスを適切に理解し処理するスキル
・クリッピングの原因を即座に察知できるスキル

ルール

・クリッピングしないようにミックスする
・できるだけStereo Outの値が大きくなるようにミックスする
=できるだけシーリング(天井)に近づける
・どのトラックやBusにも、リミッターやコンプレッサーを使わない

ミキシングトレーニング6. チェンジアップ・バス チャレンジ

これは、「いつもとはちがうことをBus(グループトラック)でやってみる」というチャレンジです。

たとえばいつもStereo Outにプラグインを挿してミキシングしているなら、それをやらずにミキシングしてみましょう。

逆にいつもステレオに何も挿さずにミキシングしているなら、キャラ付けのためのコンプレッサーを使うようにしてみてください。

ミキシングトレーニング7. マッチ・ミックス チャレンジ

これは、「オリジナルのバージョンと全く同じようにミックスする」というチャレンジです。

冒頭で、「マルチトラックはリミックスコンテストにエントリーすればGETできる」という話をしました。

これを利用し、リミックスコンテストで配布されたマルチトラックを使って、オリジナル版(iTunesやYouTubeで配信されているバージョン)と全く同じ聞こえ方になるようにミックスしてみましょう。

リミックスではなく、ミキシングだけでOKです。

いわゆる「ミキシングのコピーをする」ということになります。

ミキシングされていないDryの状態のマルチトラックを、オリジナル版と「マッチ(Match)」させるのが、このチャレンジです。

ただし、大事なのは完璧にやることではなく、そのプロセスですので、これを心に留めて進めてくださいね。

このトレーニングで高められるスキル

・聞いた音を再現できるスキル
・プロのようなサウンドにするミキシングスキル

進め方

1.リミックスコンテストのサイトなどから、マルチトラックを入手する。

2.その曲のオリジナル版を、iTunesやYouTubeなどでも聞けるようにしておく。

3.マルチトラックを使って、オリジナル版に近づけるようにミックスする。

4.ミックスが終わったら、1週間置いて耳をリセットする。

5.オリジナル版と自分のミックスを比較する。
まだ手直しできるところがないかチェックする。

ミキシングするときのチェック項目

まだミキシングに慣れていない方は少し難しいかもしれませんので、最初は以下の内容をチェックしながらこのチャレンジを進めてみてください。

・それぞれの楽器はどれぐらいの音量で聞こえているだろう?
・Panはどのように振られているだろう?
・とりわけ目立っている楽器は何だろう?

最初のうちは、複雑なプラグインの処理を行わなくてもいいのです。

このような、ベーシック且つ重要な部分から始めていきましょう。

聞こえてきたものをそのまま再現できるようにトライしてみてください。

EQするときのポイント

このチャレンジではおそらくEQを使うことになると思うので、EQに関するポイントも1つご紹介します。

ある楽器をEQしたら、別の楽器の聞こえ方がどう変わるかもチェックしてください。

たとえば、シンセの中音域をカットしたとします。

このとき、シンセの中音域をカットしたことで、ボーカルやキックの聞こえ方が変わっていないか、変わったならどう変わったのかをチェックしてみてください。

これをやっていけば、どんどん耳がよくなることを実感できるようになるはずです。

ミキシングトレーニングまとめ

今回は3つのミキシングチャレンジをご紹介しました。

  • デジタルシーリング チャレンジ
  • チェンジアップ・バス チャレンジ
  • マッチ・ミックス チャレンジ

どれもゲーム感覚でできるおもしろいチャレンジですので、ぜひトライしてみてください。

はじめの4つは前編でご紹介しています!

前編はコチラ


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