今回は、バークリー音楽大学で助教授を務めるCecil Alexanderが解説する「3ステップでできるビバップソロのやり方」をまとめました。
ビバップはジャズの中でも音が多くテンポも速いことで有名です。
そんな難しそうなビバップでソロを演奏するには、どうしたらよいのでしょうか?
この記事では、ビバップソロを演奏する方法を3ステップでご紹介します。
ビバップジャズでソロを演奏するポイント3つ
ビバップでソロ演奏するときに大切なポイントは、こちらの3つです。
・ビバップスケールの下降移動
・アルペジオでの上昇移動
・半音移動
これら3つを習得すると、ビバップジャズが簡単に弾けるようになります。
ビバップソロの弾き方1.ビバップスケールの下降移動を使う
ビバップでソロを演奏するときは、まずビバップスケールを覚えましょう。
ビバップスケールは、通常のスケールにパッシングトーン(Passing Tone)を加えたスケールです。
パッシングトーンとは「追加することでより滑らかなスケールが出来上がる音」のことで、通常のスケールにはない音が追加されます。
例えば、Gドミナントビバップスケールの例を見てみましょう。

https://youtu.be/2PKO9Mca9Xk?si=4dIxVoR3mcHOgcMF
Gドミナントビバップスケールは「G,A,B,C,D,E,F,♭G」の8音です。
通常のスケールに♭7thの音(♭G)が加わり、Gミクソリディアンスケールと同じ音使いになります。
コードがG7のときにGドミナントビバップスケールに沿って演奏すると、非常にビバップらしいソロになります。
ビバップスケールは強拍に重要な音が来る
通常のメジャースケールやマイナースケールは、合計7音で成り立っていることが多いです。
一方で、ビバップスケールは8音で成り立っています。
なぜ8音で成り立っているかと言うと、これはスケール通りに演奏したとき、強拍(表拍)にコードトーンが来るからです。

https://youtu.be/2PKO9Mca9Xk?si=4dIxVoR3mcHOgcMF
例えば上記画像の楽譜では、コード(G7)のルート音であるGからスケール通りに下降しています。
すると、各小節の1拍目にはルート音が、3拍目には5thの音が、4拍目には3thの音が来るようになっています。
G7(G,B,D,F)の構成音が重要な強拍に来ているので、聞き手がコードを感じやすくなります。
言い換えれば、これらの重要なコードトーンさえ押さえておけば、これ以外の場所(裏拍など)でコードトーン以外のトリッキーな音が来ても、コード感を崩さずに演奏することができます。
コードトーンのどこからでも下降できる
ビバップでは、基本的にスケールを1音ずつ下がっていく下降形で演奏されることが多いです。
このとき、コードトーンのいずれから演奏し始めてもOKです。
例えばコードがG7のときは、Gから下がっても、Bから下がっても、Dから下がっても、Fから下がっても構いません。
Gからスタート:G,♭G,F,E,D,C,B,A
Bからスタート:B,A,G,♭G,F,E,D,C
Dからスタート:D,C,B,A,G,♭G,F,E
Fからスタート:F,E,D,C,B,A,G,♭G
いずれのコードトーンからスタートしても、重要な強拍・表拍にコードトーンが来るので、コード感は常にキープできます。
ビバップソロの弾き方2.アルペジオでの上昇移動を使う
ビバップでソロを演奏するときは、前述のビバップスケールを使いながらアルペジオを演奏することができます。
アルペジオとは、コードトーンを1つ1つバラバラにして演奏することです。

例えばコードがG7(G,B,D,F)のときは、G・B・D・Fの4音を同時に演奏せず、バラバラに弾きます。
ビバップでは、上昇形はアルペジオで、下降形はビバップスケールに沿って演奏されることが多いです。
Fmaj7のとき
F A C E | D C B A G ♭G F E D
Dm7のとき
D F A C | B A G ♭G F E D C B
Bm7 ♭5のとき
B D F A | G ♭G F E D C B A G
G7のとき
G B D F | E ♭E D C B A G ♭G F
G7のときのみ、下降するときにコードトーンではないEの音が強拍・表拍に来ます。
このとき、そのままビバップスケール通りに演奏すると、それ以降の強拍・表拍でもコードトーンではない音が来てしまいます。
そのためEの後に♭Eの音をパッシングトーンとして付け足し、順番を調整しています。
パッシングトーンを追加することで、コード感をキープしながらスケールを下降することができます。
ビバップソロの弾き方3.半音移動を使う
ビバップのソロでは、半音移動を使うとさらに魅力的になります。
例えば僕(Cecil)が個人的に好きなのは、3連符で半音移動をするこのようなフレーズです。
このフレーズは、最初の音と次の表拍の音がマイナー3rdの音の関係になっているときに使えます。

これまでご紹介したテクニックと組み合わせて「3連符の半音移動+ビバップスケールの下降形」というプレイもできます。
実際にビバップソロを演奏してみよう
それでは最後に、これまでご紹介した3つのテクニックを使いながらソロを作ります。
ここでは、ジャズの基本形である「ii - V - I」のコード進行に沿って演奏します。

まずはじめに3連符の半音移動を使ったフレーズを使って上昇し、次にビバップスケールに沿って下降し、最後はアルペジオを使って上昇します。
このようにさまざまなテクニックを組み合わせても、強拍・表拍にはしっかり各コードトーンの音が来ているのもポイントです。
以上で解説は終了です。
当サイトでは他にもジャズで使えるテクニックを多数まとめていますので、ぜひこちらもご覧ください。