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曲の再生回数が上がらない作曲家がやるべき4つのこと

今回は、音楽プロデューサー・オーディオエンジニアのJustin Collettiが解説する「自分の曲を聴いてもらう方法」をまとめました。

Justinは長年音楽業界でプロとして活躍しており、音楽プロデュース、ミキシングエンジニア、マスタリングエンジニア、音楽大学の講師など、幅広い分野で活躍しています。

そんな彼が、自分の曲の再生回数が上がらない人のために「より多くの人に曲を聴いてもらうために必要な4つのコツ」を解説します。

How To Get Your Music Heard (By Actual People)

作曲家・ボカロPによくあるお悩み

作曲をしている人によくあるのが、以下のようなお悩みです。

「自分の曲を誰にも聴いてもらえない」

「すごく頑張って作ったのに、全然再生回数が上がらない」

「新人なので全然ファンがいない。どうやったらファンを作れる?」

このような方に共通しているのは「必要になる前にネットワークを作っていない」ということです。

曲をリリースをしてから「ファンがいない」「リスナーがいない」と嘆くのではなく、曲を聴いてもらうために必要な準備=ネットワーク作りを事前に行うことが大切です。

そこでここからは、曲の再生回数が上がらない作曲家がやるべき4つのことをご紹介します。

「いい曲なのに再生されない理由」についてはこちらの記事でご紹介しています↓

曲の再生回数が上がらない作曲家がやるべき4つのこと

  • 既存のリスナーに周知する
  • 同業者と協力する
  • ライブをする
  • プロの力を借りる

それでは、1つずつ解説していきます。

作曲家がやるべきこと1.既存のリスナーに周知する

もし既存のリスナー(ファン)がいるのであれば、そのリスナーがあなたの楽曲をいつでも聴けるように周知しましょう。

「○月○日に新曲 ”△△” をリリースします」

「Apple Music、Spotify、YouTube Musicで聴けます」

「いつから」「どんな方法で」を明記することで、リスナーは自分に合った再生環境であなたの音楽を聴くことができます。

「誰かに興味を持ってもらう」だけでなく「誰かに興味を持つ」

自分のファンになってもらうための方法として真っ先に思いつくのは「リスナーに興味を持ってもらうこと」でしょう。

当たり前だと思うかもしれませんが、実はファンになってもらう方法はこれだけではありません。

「あなたが他の誰かに興味を持つこと」もできます。

自分が興味を持った相手に連絡してみよう

例えば、自分が本当にリスペクトできるアーティストを見つけたとき、その人に連絡してみましょう。

〇〇というバンドの「△△」という楽曲を聴いたのですが、クレジットにあなたの名前が載っていたので、ご連絡しました。

この楽曲が、もう頭から離れません。

この曲を聴いていて□□(他のアーティスト)の●●という楽曲を思い出しました。

このように、その曲を聴いて自分がどう思ったのかを具体的に伝えることで、そのアーティストは新しいことに気づくかもしれませんし、何より嬉しくなるでしょう。

もしあなたが音楽関係のコネクションを持っているなら、「私はシンガーの〇〇さんとつながりがあるので、あなたにご紹介することもできます」などと伝え、自分が相手の新しいリスナー構築の助けになれることを伝えてもよいでしょう。 

実際に、僕(Justin)も同じような経験をしたことがあります。

ある日、僕が携わった作品に対して次のようなメールが来たのです。

あなたが手がけた〇〇という作品を聴きました。

とても好きな楽曲ですし、こういうところがとても勉強になりました。

その学びのおかげでこのような活動をすることができました。

あなたもきっと気に入ると思いますし、あなたにもぜひ参加してほしいです。

そしてこの数ヶ月後に、「新作を作ったのでよかったら聴いてください」という連絡も来ました。

これはメールでのやり取りでしたが、最初のメールの時点ですでに心がつながっているような気持ちになっていました。

そのため、その人の新作に関する連絡が来たときは「もちろん聴くよ!」という気持ちになりました。

これは「汚い手口」でもなく「うわべだけの関係」でもなく、純粋な人と人の心のつながりから生まれたネットワークです。

みなさんが求めているリスナーとのつながりは、まさにこのようなネットワークなのではないでしょうか?

作曲家がやるべきこと2.他の人とコラボする

協力(コラボ)することも、自分の曲を聴いてもらうために大切な要素の1つです。

他の音楽家とコラボするのはもちろん、同じクリエイターとして活躍している人と協力するのもよいでしょう。

そのクリエイターのファンが、あなたの曲に興味を持ってくれるかもしれません。

・イラストレーターやグラフィックデザイナーにアルバムジャケットを作ってもらう

・音楽関係のブログを書いているライターに自分の記事を書いてもらう

・ファッションデザイナーに衣装を作ってもらう

・ラジオで自分の曲を流してもらう

・YouTubeやSpotifyのプレイリストに入れてもらう

音楽関係者以外にも、コラボできる相手はたくさんいます。

正しい協力相手を選ぼう

ここで大切なのは、協力してもらう相手を正しく選ぶということです。

自分が「新しいアーティストを探しているリスナー」だったとして、あなたのようなアーティストを見つけるためにどんな場所・人・コミュニティを使いそうかを考えてみましょう。

あなたの音楽を好きになりそうな人が、どんな方法を使って音楽を聴いているか、音楽を探しているのかを想像してみることが大切です。

コラボ相手に嫉妬しているうちは「半人前」

場合によっては、コラボ相手が自分よりも成功していて、嫉妬してしまうことがあるかもしれません。

ここで考えてほしいのは、そのコラボ相手が開いたドア(=成功体験)は、あなたの顔を直撃するものではないということです。

あなたを傷つけるために開かれたドアなのではなく、その人が努力して開けたドアなのです。

人によっては全く成功していないようなアーティストしか好きにならない人もいますが、それは自分が嫉妬するような相手ではないからでしょう。

自分が嫉妬するような相手を好きになってしまうと自分が辛くなるので、自分にとって脅威にならない人を好きだと言っているのです。

そのため、成功している人ほど本当に素晴らしい人々とコラボしています。

成功者がすべてを奪っていくわけではない

誰か1人が成功したからと言って、この世の全てをその人に奪われるわけではありません。

限られた市場のシェアを奪い合うのではなく、その市場は成長させることができるので、誰かが一人勝ちして終わるわけではありません。

「円グラフの何%を誰に奪われている」と考えず、「円グラフはいくらでも大きくできる」と考えてみましょう。

競争心を持つ=相手を蹴落とすことではない

嫉妬に少し近い感情として「競争心」がありますが、競争心を持つことは必ずしも悪いことではありません。

「あの人よりも上手くなりたい」と思うことは、成長に必要な感情です。

競争心=相手の失敗を願うことではありません。

相手を落とすことではなく、自分を高めようとする気持ちが「競争心」なのです。

作曲家がやるべきこと3.ライブをする

新しいリスナーを獲得する上でとても大切なのが、ライブをすることです。

地元に留まらず、さまざまな地域で可能な限り多くライブをしましょう。

地元を離れると音楽文化が異なることがあるので、「新しい音楽」として捉えてもらうこともできます。

何度もその地域でライブをすることで、自分を覚えてくれる人も増えますし、その地域に自分の音楽を根付かせることもできます。

作曲家がやるべきこと4.プロの力を借りる

音楽に限らず、プロの力を借りることは自分の音楽をパワーアップさせたり広めることに大きく役立ちます。

例えばプロモーションをするならPRのプロフェッショナルに相談し、クリエイターを紹介してほしいならたくさんのクリエイターとつながりのある人に声をかけてみましょう。

1人ですべてのことを理解・実行することはできないので、その道のプロに協力を依頼することは大切です。

いい曲なのに聞いてもらえない理由

厳しい現実ですが、「すごくクオリティが高い曲なのに全然再生回数が上がらない」という人がいる一方で「全然力を入れて作っていないのにすごく再生されている」という人もいます。

これは、今回ご紹介した4つの項目をどれだけしっかりできているかが大きく関わっています。

どんなに時間をかけていい曲を作ったとしても、リスナーに聴いてもらうための努力をしていなければ聴いてもらえません。

逆に、そこまで時間をかけて作っていなくても、リスナーに聴いてもらうための工夫が十分にできていればたくさん聴いてもらえることもあります。

「クオリティはそこそこ高いはずなのに全然聴いてもらえない」という方は、ぜひ今回ご紹介した4つの項目を見直してみてください。

なお、このトピックに関しては以下の記事でも深掘りしていますので、ぜひ参考にしてください↓

ファンを作るためにおすすめの書籍

なお、アーティストとしてファンを作るために必要なスキルについてはこちらの2冊がおすすめです。

非常に勉強になりますので、ぜひチェックしてみてください。


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